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もはや成熟期? 2015年の電子書籍市場を展望する
(2015/6/26 06:00)
2012年10月にAmazonが日本での電子書籍サービスを本格化させてから約2年半が経過した。普及の課題とされてきたフォーマットや閲覧用端末についても一応の決着を見ており、肝心の出版点数も増加。もはや電子書籍は普及期・成熟期にさしかかりつつある。
今回は、電子書籍市場を形成する主要なサービス・企業のウェブサイトを見ていきながら、これまでの発展を振り返っていこう。加えて“セルフパブリッシング”や“読み放題”など、今後を占うであろうトピックにも迫る。
文芸・コミックなんでも来い! 総合力が魅力の大規模サービス
まずは、大手の電子書籍サイトから見ていこう。これらのサイトは文芸・ノンフィクション・コミックなどあらゆるジャンルの書籍をワンストップでそろえられる利便性に加え、さらにはキャンペーンの名を借りての価格競争も激しい。マルチデバイス対応もすでに当たり前の要素となった。
Amazon Kindleストア
http://www.amazon.co.jp/b/?node=2250738051
ご存じAmazon.co.jpの電子書籍ストア。独自の閲覧用端末「Kindle」シリーズの充実ぶりに加え、もともとの紙書籍販売で培った知名度を武器に、電子書籍の分野でも“事実上の標準”の立ち位置を確保している。6月30日には電子ペーパーを採用する「Kindle Paperwhite」の新モデルが発売予定。
楽天Kobo
http://books.rakuten.co.jp/e-book/
Kindleと同じく、独自の閲覧用端末「Kobo」シリーズを展開する。最新モデルは防水仕様の「Kobo Aura H2O」。アプリを使って、スマートフォンやタブレットでも電子書籍を閲覧できる。ポイント増量キャンペーンなども随時実施中。
Reader Store
http://ebookstore.sony.jp/
ソニーグループの電子書籍ストア。2014年には北米などでの営業が終了したが、日本での営業は現在も続けられている。電子ペーパー採用の専用端末を販売するほか、携帯ゲーム機「PlayStation Vita」向けにもサービスを提供中。
Kinoppy
http://k-kinoppy.jp/
大手書店チェーン「紀伊國屋書店」のサービス。ウェブサイトで電子書籍を購入すると、独自アプリ(Windows/Mac/iOS/Android)のほか、ソニーの「Reader」端末でも閲覧できるようになっているのが特徴。2014年8月にはアプリの全面リニューアルを行った。
BookLive!
http://booklive.jp/
凸版印刷グループの電子書籍ストア。さまざまな出版社の作品を取りそろえる。作品の購入ごとに「Tポイント」が貯まる仕組みとなっており、1カ月あたりの購入金額に応じて翌月のポイント還元率が増加する制度もある。通信機能内蔵の専用端末「Lideo」も販売中。
honto
http://honto.jp/
大日本印刷やNTTドコモなどが出資するトゥ・ディファクトが運営。専用の電子ペーパー端末こそ販売していないが、PC/iOS/Android向けにそれぞれ閲覧用アプリをラインナップ。実用上はほぼ問題ないだろう。リアル書店とのポイントカード連携、紙書籍購入者向けの電子書籍割引制度「読割50」なども手がける。
BOOK☆WALKER
http://bookwalker.jp/
KADOKAWA(角川)系列の電子書籍サービス。いわば“出版社直営”のストアだが、それにもかかわらず他社作品を販売しているのはかなり珍しい。2013年4月ごろにサービスを大幅リニューアルし、マルチデバイス対応が大幅に進展した。
eBookJapan
http://www.ebookjapan.jp/ebj/
2000年5月創業。国内の電子書籍ストアではかなりの古株となる。「トランクルーム」機能を使うことで、マルチデバイス対応を実現。一度購入した作品の再ダウンロードも簡単になった。
Yahoo!ブックストア
http://bookstore.yahoo.co.jp/
コミックを筆頭に、一般書や雑誌もラインナップ。ネットに接続した状態であれば、スマートフォンのブラウザーで書籍の購入・読書が可能。オフライン閲覧用にアプリもリリースしている。
DMM.com 電子書籍
http://www.dmm.com/dc/book/
動画配信や郵送DVDレンタルでおなじみのDMM.comによるサービス。コミックはもちろん、ビジネス書や雑誌も取り扱う。なお、アダルト系作品の配信は「DMM.co.jp」で行っており、全年齢作品を取り扱う「DMM.com」とは切り分けられている。
ニコニコ静画
http://seiga.nicovideo.jp/book/
ニコニコ動画の静止画版。一般ユーザーが投稿したイラストの公開に加え、商業作品として流通する電子書籍も取り扱う。決済には「ニコニコポイント」を用いる。KADOKAWAグループの強みを活かし、バーチャル漫画誌「ニコニコエース」も無料配信中。
Apple iBooks
http://www.apple.com/jp/ibooks/
Appleの電子書籍サービス。iPhone/iPadに加え、Mac OS X搭載機でも作品を閲覧できる。ただし、WindowsやAndroidには非対応のため、マルチデバイス対応ではやや見劣りする。
Google Play 書籍
https://play.google.com/store/books
Androidのアプリストアである「Google Play」では、電子書籍も販売する。iOS向けアプリを配信するほか、PC(ブラウザー)閲覧にも対応。マルチデバイス対応を実現している。テーマ別特集や値引きキャンペーンなども随時実施している。
dブック
https://www.nttdocomo.co.jp/service/entertainment/dmarket/book_store/
http://book.dmkt-sp.jp/top
NTTドコモのサービスだが、マルチキャリア戦略の一環として他社携帯電話利用者でも利用可能。iOS/Androidに対応するが、PCへの対応は弱く、配信作品の確認程度しかできない。
ひかりTVブック
http://book.hikaritv.net/
NTTぷららの映像配信サービスのブランドを冠しているが、「WebID」を新規取得すれば誰でも作品を購入できる。とはいえ、ひかりTVとの連動性も魅力。その最たるものが、テレビ画面で電子書籍を閲覧できることだろう。コミックや写真集との相性が良さそうだ。
GALAPAGOS STORE
http://galapagosstore.com/
シャープが手がける電子書籍ストア。同社製スマホはもちろんのこと、iOS/Android/Windowsの各環境に対応している。「レトロ家電カタログ」では、懐かしのパソコンなどのカタログを電子復刻し、配信中。
BookPlace
http://bookplace.jp/pc/storetop/storetop
東芝の電子書籍ストア。iOS/Android向けのアプリに加え、専用端末「BookPlace MONO」からの閲覧にも対応する。なお、同じ東芝系では「BookLive! for Toshiba」もあるが、それぞれのサービスは独立しており、閲覧用アプリなどに互換性はない。
BooksV
http://booksv.fmworld.net/
富士通の電子書籍サービス。利用は同社製端末に限定されておらず、Windows/iOS/Android環境に幅広く対応する。作品閲覧には基本的にアプリが必要。
セブンネットショッピング 電子書籍
http://www.7netshopping.jp/dgbooks/
セブン&アイグループでは独自の電子書籍サービスを展開中。通販サービスの姉妹版的な位置付けなので、購入用アカウントはそのまま流用できる。閲覧用アプリはPC/iOS/Android対応。4月公開の新バージョンアプリでは本棚機能を強化した。
Doly
http://doly.jp/
カメラ量販店であるヨドバシカメラが2015年3月に本格スタートさせた。Windows/iOS/Androidでの閲覧に対応。実際の作品販売は通販サイト「ヨドバシ・ドット・コム」にて行われている。10%ポイント還元タイトル多数。
Digital e-hon
http://www.de-hon.ne.jp/digital/
書籍取次大手のトーハンが運営。紙書籍の販売をメインに行う「e-hon」と綿密に連携しつつも、電子書籍はこちらの「Digital e-hon」にて取り扱う。閲覧用アプリはWindows/iOS/Androidに対応。
専門性を追求! 分野特化型の電子書籍ストア
続いては、一般書店のような総合性を追求せず、得意分野に特化した電子書籍サービスを見ていこう。マンガだけ、特定ジャンルだけ、出版社ごと……など、各運営事業者の背景事情なども伺え、なかなか興味深い。
ジャンプBOOKストア!
http://www.shonenjump.com/j/sp_jumpbookstore/
集英社が配信する電子書籍アプリ。「ONE PIECE」「暗殺教室」など同社から刊行中の作品を中心にラインナップする。iOS/Android対応。Windowsからも閲覧できるが、作品購入は「少年ジャンプ+」から行う格好となる。
モーニング公式サイト モアイ
http://morning.moae.jp/
週刊漫画誌「モーニング」の電子版を、紙版発売と同時期かつほぼ同内容で配信する「Dモーニング」アプリの取り組みで知られる。最新版の閲覧は有料だが、PCなどでは無料版(とはいっても収録作品多数)を試し読み可能。
電撃モバイルNEO 電子書籍
http://mobile.dengeki.com/ebook/
KADOKAWAグループのアスキー・メディアワークスが運営するサイト。同社から刊行されるコミック・ライトノベルの電子版を独自に配信している。決済用アカウントは「AMWモバイルID」を使うが、スマートフォンで作品を閲覧する際のアプリは「BOOK☆WALKER」のものを利用するという独特の体制を敷く。
幻冬舎plus
http://www.gentosha.jp/list/store
幻冬舎が独自に運営する電子書籍ストア。自社作品の有料配信を行う一方、無料コラムなども掲載している。有料作品の閲覧は基本的にブラウザーを利用。具体的には、ボイジャーの「BinBビューアー」を使用しているという。
インプレス 電子版一覧
http://book.impress.co.jp/ebooklist/
操作ガイドブック「できる」シリーズをはじめ、各雑誌などの電子版を紹介する。自社サイトでの独自販売を行っているが、Kindleなど主要ストアへの販売ページにもリンクしている。出版社系サイトの中には、こういった“自社・外部併用型”の販売も多い。
新日本法規出版 eBOOKSTORE
http://ebook.e-hoki.com/
法律関連書籍の専門出版社が運営するストア。ラインナップは「非正規社員をめぐるトラブル相談ハンドブック」「判例・裁決例にみる贈与の税務判断」など、まさに専門書ばかり。Flash対応のブラウザー、専用のiOS/Androidアプリから閲覧できる。
BinB store
http://binb-store.com/
電子書籍制作ソリューションなどの開発で知られるボイジャーが運営。OSやプラットフォームを問わず、ブラウザーだけで作品が読めるようになっている。トップページはかなりシンプルな作りだが、最新コミックなどもしっかり取り扱っているので、詳しくは検索を。
Renta!
http://renta.papy.co.jp/
「電子書籍のレンタルサイト」を謳う。作品にもよるが、48時間だけ読めるプランを選択可能。料金は「無期限レンタル」と比較して半額程度となっている。作品はPCやスマートフォンで閲覧可能。なお、取得したアカウントは姉妹サイトの「パピレス」でも利用できる。
コミックシーモア
http://www.cmoa.jp/
NTTソルマーレ運営。フィーチャーフォン向けサービスを源流とし、そのサイト名の通り、コミックの配信を専門とするが、実際には小説や実用書も取り扱っている。作品閲覧は基本的にブラウザーで行う。
マガストア
http://www.magastore.jp/
「電子雑誌書店」を標榜するストアで、運営は電通。閲覧用アプリの充実度はかなりのもので、Android、iOSはもちろん、Windowsストアアプリ、さらにはKindle Fire版アプリも用意する。Flash対応のブラウザーからの閲覧も可能。
フジテレビオンデマンド 電子書籍
http://fod.fujitv.co.jp/s/books/
フジテレビの映像配信サイト。この2月からまず電子コミックの配信を開始。これにより、アニメ本編と原作コミックを同時に提供できるようになった。6月からは電子小説の配信もスタート済み。なお、利用にあたっては有料会員登録が必須。コースに応じて割り当てられるポイントで購入する仕組みとなっている。
やまだ書店
http://yamadashoten.com/
家電量販大手のヤマダ電機が運営。2014年7月まで営業していた「ヤマダイーブック」の後継サービス的な位置付けで、同年10月にプレオープンした。対応機種はAndroid。iPadおよびiPod touchにも対応する。
セルフパブリッシング、読み放題、そして電子図書館――注目サービスあれこれ
最後に、電子書籍関連の新しい動きを見ていこう。中でも特に目立っているのが“読み放題”サービスだ。月額数百円ないし無料でコミックや雑誌を楽しめるのが特徴で、ここ1~2年で急速に増えた感がある。いわゆる“無料漫画アプリ”もこの一形態と捉えることもできるだろう。
dマガジン
https://magazine.dmkt-sp.jp/
NTTドコモのサービスだが、前述の「dブック」とは異なり、こちらは雑誌の定額制読み放題サービス。月額400円(税別)で約130誌が楽しめる。対応端末はiOS/Android。具体的な配信スケジュールは「雑誌配信予定」のページで確認できる。
ブックパス
https://www.bookpass.auone.jp/
au携帯電話利用者向けの電子書籍サービス。月額562円(税別)の「読み放題プラン」に加入すると、コミックや写真集、実用書など約2万作品が無制限に閲覧できる。コミック作品に限って言えば、最新作は少なめ。懐かしの作品などを求めている人に向いているだろう。
ブック放題
http://www.softbank.jp/mobile/service/bookhodai/
ソフトバンク携帯電話利用者向けの電子書籍読み放題サービスで、6月24日にスタートしたばかり。月額料金は500円(税別)。130種類以上の雑誌、コミック約1000作品をラインナップする。
ビューン
http://www.viewn.co.jp/
ソフトバンクグループのコンテンツ定額制サービスとして2010年10月にスタート。基本となるプランは月額480円(税込)で、雑誌約70種が読み放題。さらに各種オプションを用意する。現在は、主にiOS端末向けに提供されており、ソフトバンクのAndroidスマートフォン利用者には前述の「ブック放題」の利用を勧めている。
コミックシーモア読み放題
http://yomiho.cmoa.jp/
月額780円の「ライト」と月額1480円の「フル」(いずれも税込)、2つのコミック読み放題プランを提供中。対象タイトル数や年齢制限がそれぞれ異なる。
Fujisan.co.jp
http://www.fujisan.co.jp/
紙雑誌および電子雑誌の定期購読受付を主眼とするサイト。また、電子書籍の「タダ読み」サービスを展開。実際のラインナップを見ると、発売から数カ月~1年程度経過したバックナンバーなどを配信しているようだ。ちなみに、運営元企業は7月にも東証マザーズ市場へ上場予定。
マンガボックス
https://www.mangabox.me/
DeNAが提供中の無料アプリ。スマートフォンに最適化したインターフェイスで、オリジナル漫画を楽しめる。アマチュア漫画家の作品を集めた「インディーズ」のコーナーもある。
コミコ
http://www.comico.jp/
「ハンゲーム」で知られるNHN PlayArtの無料漫画アプリ。PCでもブラウザーを使って閲覧できる。スマートフォンの縦画面に合わせ、ページを縦方向にスクロールさせる独特のインターフェースを採用する。
米OverDrive社の株式の取得完了に関するお知らせ(楽天)
http://corp.rakuten.co.jp/news/press/2015/0428_01.html
電子書籍の社会的普及に連動するかたちで、近年は“電子図書館”にも注目が集まっている。OverDrive社は、公共図書館などに導入される運営用システム開発の大手で、4月には楽天が買収した。PCやモバイル端末で貸出手続きを行い、貸出期間満了と同時に自動でコンテンツを消去するといったことが実現できるという。
日本電子図書館サービス
http://www.jdls.co.jp/
2013年設立の新興企業で、KADOKAWA、講談社、紀伊國屋書店などが出資する。OverDrive同様、電子図書館向けの貸出システム構築を手がける。この4月から事業を本格スタートした。
絶版マンガ図書館
http://www.zeppan.com/
著作権が切れた作品を無料で公開する取り組みは「青空文庫」が特に著名だが、絶版マンガ図書館(旧・Jコミ)は「広告付き無料」というアプローチでの配信に取り組んでいる。電子書籍をより身近にする手段となるか、注目したい。
Kindle ダイレクト・パブリッシング
https://kdp.amazon.co.jp/
紙書籍と比較し、電子書籍は出版のハードルが低いのも特徴だ。Amazonでは独自の出版プラットフォームを構築しており、プロ・アマ問わずあらゆるユーザーから作品を受け付けている。ただし、果たして本当に売れるかは別問題。その点はどうかお忘れなきよう。
楽天Koboライティングライフ
http://books.rakuten.co.jp/e-book/rakutenkwl/
楽天Koboでは4月から無料の電子書籍出版サービスを本格化させた。EPUBデータをアップロードすると72時間以内に楽天Koboでの作品販売が始められるという。ロイヤリティは最大70%を謳う。
パブー
http://p.booklog.jp/
GMOペパボ運営。一般ユーザーでも電子書籍の作成・販売が行える。無料での作品配信も可能。評点やランキングで作品を探せるなど、コミュニティサイト的な側面もある。
メディバンペイント
http://medibangpaint.com/
https://medibang.com/
Windows/Mac/Android(タブレット限定)対応のイラスト・マンガ制作ソフトを無料提供する。独立して機能するソフトのため、制作した作品は電子書籍ストアとしての「メディバン」はもちろん、Kindleなどの外部ストアでも販売できる。
三省堂書店オンデマンド
http://www.books-sanseido.co.jp/event/promo_20101206.html
注文を受けてから印刷することにより、在庫問題の解消を図るのが“プリントオンデマンド(POD)”だ。東京・神田神保町の三省堂書店には専用の印刷機があるため、注文から10分程度で現物を受け取れるという。ただし、世にあるすべての書籍が印刷できるわけではないのでご注意を。
TSUTAYA Airbookサービス
http://booklive.jp/landing/page/airbook-tsutaya
電子書籍ストアの「BookLive!」が、書店チェーンのTSUTAYAと連携して提供中のサービス。対象の書籍を買うと、その電子書籍版が無料で閲覧できる。利用にあたってはTカードとYahoo! JAPAN IDの連携などが必要。
まっぷるリンク
http://mapple-on.jp/products/ml
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