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2016年の国内ネット広告媒体費は初の1兆円超え

 株式会社電通は23日、国内の総広告費と、媒体別・業種別広告費の推定をまとめた「2016年日本の広告費」を発表した。2016年の総広告費は6兆2880億円。前年比1.9%増で、5年連続プラス。制作費を除いたインターネット広告媒体費が初めて1兆円を超えた。

インターネット広告費

 インターネット広告費は13.0%増で1兆3100億円、うちインターネット広告媒体費は1兆378億円(12.9%増)、インターネット広告制作費は2722億円(13.4%増)だった。

 インターネット広告媒体費の中でも、運用型広告費は7383億円(同18.6%増)と好調。電通ではこの要因として、データ/テクノロジーを重要視する広告主が増え、データ連携可能な運用型への注目が高まったことや、高機能化によってリーチやブランディングなどの役割もカバーし始めたことを挙げている。

 市場全体で動画広告へのニーズも継続的に拡大している。これをけん引するのがSNSで、特にスマートフォンでコンテンツ間に広告を表示するインフィード広告が新しい成長領域となった。

 デバイス別で見ても、スマートフォンが引き続き伸長。モバイルへのシフトにより、PCポータル系やアドネットワーク型は減少傾向で、これまでPC中心型でマネタイズしてきたメディアが運用型へのシフトを本格化し、広告配信プラットフォームを用いた運用型の導入が活発化している。

 買い手・売り手が限定されない従来の自動広告取引市場に対し、限定された売り手と買い手が自動広告取引に参加する「プライベートマーケットプレイス(PMP)」は、国内市場への浸透が加速。広告会社、メディアレップなどで、新たなPMPサービスのリリースや広告メニューの拡充が相次いだ。

 電通では、ジオターゲティング機能の強化や、これに基づく広告会社やメディアレップによるロケーションベースマーケティングの強化など、位置情報に加えて過去の滞在情報を元にしたプランニング案件の増加と、「テレビスポット×運用型動画連動」のメディアプランニング需要の増加についても、インターネット広告における新たな注目点に挙げている。

マスコミ4媒体広告費

 新聞、雑誌、テレビ、ラジオのマスコミ4媒体広告費は、前年比99.6%の2兆8596億円。印刷媒体はいずれも減少しており、新聞広告費が4.4%減の5431億円。雑誌広告費が9.0%減の2223億円となった。放送メディアはいずれも微増で、ラジオ広告費が2.5%増の1285億円、地上波テレビ+衛星メディア関連を合わせたテレビメディア広告費が、1.7%増の1兆9657億円だった。

 衛星メディア関連を除いたマスコミ4媒体の広告制作費は3061億円(0.2%減)、うち地上波テレビCM制作費は、2188億円(2.0%増)だった。

 テレビメディア広告費のうち、地上波テレビ広告費は1.6%増の1兆8374億円。なかでも番組(タイム)広告は0.2%減ながら、スポット広告が2.8%増となった。衛星メディア関連広告費は3.9%増の1239億円で、内訳はBSが899.3億円(4.0%増)、CSが205.0億円(3.7%増)、CATVが178.8億円(同3.4%)。

プロモーションメディア広告費

 プロモーションメディア広告費は全体では2兆1184億円(1.1%減)。内訳は、屋外広告が3194億円(0.2%増)、交通広告が2003億円(2.0%減)、折込広告が4450億円(5.1%減)、DMが3804億円(0.7%減)、フリーペーパーが721億円(1.2%減)、フリーマガジンが1546億円(1.7%減)、POPが1951億円(1.0%減)、電話帳広告が320億円(4.2%減)、展示・映像ほかが3195億円(4.3%増)だった。印刷媒体が減少する一方、観光立国に向けた取り組み、地方創生、訪日観光客の増加、インフラ整備に伴った各種施設の改装案件などで、展示・映像ほかが好調に推移した。

「2016年 日本の広告費」解説記事(ウェブ電通報)より転載