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小学4~6年生でスマホ派が6割突破、ケータイ派を逆転、“格安スマホ”普及も背景に

 小学4~6年生におけるスマートフォン使用者の割合が携帯電話(フィーチャーフォン、キッズケータイなど)使用者の割合を上回ったことが、デジタルアーツ株式会社が今年1月に行った「未成年の携帯電話・スマートフォン利用実態調査」で明らになった。同社の調査では、高校生はすでに2012年6月、中学生も2014年2月の時点でスマートフォンが携帯電話を逆転していた。それが格安スマートフォンの普及もあり、保護者にとってコスト面で、より低年齢の子どもへのスマートフォン購入のハードルが下がったことも背景にあるとみられる。デジタルアーツでは保護者に向けて、この年齢は発育にも重要な時期だとして、子どもにスマートフォンを持たせる場合は「まず第一に、1日の使用時間を決め、使い過ぎに気を付けること」と呼び掛けている。

 調査は、何らかの携帯電話・スマートフォンを所有する全国の10~18歳618人を対象にインターネットアンケートで実施したもの(そのため、そもそも携帯電話もスマートフォンも使用していない層は調査対象としていない。したがって、ここで紹介するスマートフォン使用者の比率は、子ども全体におけるスマートフォン使用率ではない点に留意されたい)。今回の調査では、スマートフォンを使用しているとしたのは80.3%となり、1年前の2016年1月に行った前回調査の70.6%から9.7ポイント増加した。

 学年別では、小学4~6年生(206人)でスマートフォンが60.2%。前回調査の37.9%から一気に22.3ポイント増加して過半数を超えた。中学生(206人)では82.%、高校生(206人)では98.5%だった。なお、なお、高校生の女子(103人)に限れば、スマートフォンが今回、初めて100%となった。

 スマートフォンの種類は、小学生のスマートフォン使用者(124人)では、Androidが54.8%、iPhoneが42.7%。また、このうち“格安スマホ”は21.0%(26人)だった。中学生(169人)では、Androidが45.6%、iPhoneが54.4%、格安スマホは13.0%(22人)。高校生(203人)では、Androidが43.3%、iPhoneが56.2%、格安スマホは9.4%(19人)。小学生ではAndroidや格安スマホが中学生や高校生に比べて多く、逆に中学生・高校生ではiPhoneが多数派、格安スマホは少ない傾向にある。なお、高校生の女子(103人)に限れば、iPhoneは64.1%に上った。

 デジタルアーツの吉田明子氏(管理部広報課)は、小学生にスマートフォンを使用させるにあたっては、保護者に対して、冒頭のように1日の利用時間を明確に取り決めることをはじめ、以下のようにアドバイスしている。

 「子どもは親から買ってもらう立場であり、使用料も保護者が払っている。使い過ぎや間違った使い方をした時には取り上げられることも、初めてスマホを買い与えるときに約束しておいたほうがよい。また、勉強にも使えるが、親の目が届かないところでは何をしているか、どんな危険に触れているか分からない。フィルタリングを使用することで、見えにくい危険から子どもを守ることができる。知らない人に巻き込まれて被害者にも加害者になってしまう可能性もあるため、子どもの将来のためにもシステムで守ってあげられる部分はフィルタリングを活用して欲しい。」

 なお、フィルタリングの現在使用率は全体の53.9%で、前年調査の52.3%からほぼ横ばいだった。

 もちろん、フィルタリングのようなシステムによる機械的な対策によってすべてのトラブルを回避できるというわけではなく、情報モラル/リテラシー教育が必要だ。

 デジタルアーツの工藤陽介氏(経営企画部政策担当課長/チーフエバンジェリスト)は、情報モラル/リテラシー教育のあり方を検討・議論するにあたっては、大きな被害に遭わないためにフィルタリングなどを活用しながらも、「スマートフォンを上手に使おう」という視点に立った対策が必要であり、子どもたちがスマートフォンやインターネットの経験を積むことが有効だと指摘する。むしろ大人よりも、多少の怖いことも含めてスマートフォンやインターネットをよく使っている子どものほうが現実に即した具体的な議論ができる傾向にあることが、各地の取り組み事例から分かっていることを紹介。大人が一方的に子どもにルールを押し付けるのではなく、スマートフォンの使用時間やSNS利用のローカルルールなどについて、大人がサポートしつつも、子どもたち自身に主体的に議論させることが、次世代の情報モラル/リテラシー教育のあり方として重要だと強調する。

 例えば、大人は「SNSに写真は載せないこと」と言いがちだが、そもそもSNSでは写真が主要な要素となっているため、それを否定しては意味がない。子どもたちに話し合わせると、「友達との写真をSNSに載せるときは(写っている相手に)相談する」「LINEのスタ爆はダメ」など、子どもたちは「上手に使うこと」を前提に議論できたという。

 また、「スマホは夜〇時まで」と大人は言いがちだが、子どもたちが話し合うと、「大切なのは時間より内容」「勉強や読書なら良いのでは?」ということで、「寝る前のSNSの時間を違うことに使おう(英単語学習や読書など)」といったルールが生まれた事例もあるとしている。