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iOS版にパスワード管理機能を新たに搭載、「ノートンモバイルセキュリティ」最新版

 株式会社シマンテックは、「ノートンモバイルセキュリティ」のAndroid/iOS版をアップデートし、iOS版においてパスワード保護機能など大幅な機能強化を行う。新たに1年版・2年版のパッケージを用意し、家電量販店や携帯電話販売店で4月20日より販売する。1年版は2838円、2年版は5219円(価格はいずれも税別)。

 シマンテックノートン事業統括本部プロダクトマーケティング部リージョナルプロダクトマーケティングマネージャーの住山望氏は、「パスワードにフォーカスを当てたセキュリティツールの必要性と、世界平均と比べてiOSユーザーが非常に多い日本のニーズに合ったソリューションとして、このたび日本先行でiOS版に新機能をリリースした」とした。

 iOS版では、クラウド上に安全にIDやパスワードを保存する「データ保管庫」の機能を新たに提供。ログインIDやパスワードに加え、住所、クレジットカードや銀行口座の情報などを保管できる。

 このほか、推測困難な安全なパスワードを指定した設定で作成できる機能も新たに搭載した。パスワード作成では、英大文字・英小文字・数字・記号の条件を選択して、これに応じて4文字から64文字までの推測の難しいパスワードを自動生成する。

コピーボタンで、生成されたパスワードをクリップボードにコピーできる

 データ保管庫の「ログイン情報」に保存したリストを右にスワイプするだけで、iOS版ノートンモバイルセキュリティが搭載する専用の「セーブブラウザー」が起動してIDとパスワードが自動入力され、そのままウェブサイトへログインできる。ログイン情報はあとから編集することも可能。ただし、自動入力機能を拒否するウェブサイトでは入力ができないとのことだ。

 IDとパスワードの自動入力機能は、iOSの標準ブラウザーである「Safari」の拡張機能としても提供される。ノートンモバイルセキュリティをインストールした環境で、Safariで画面下にアイコンを表示すると、「ノートン」のアイコンが登録されており、Safariでウェブサイトへのログイン画面が表示されたときに、これを選べばログイン情報が自動入力される。

 ログイン情報は、PC向けの「ノートンインターネットセキュリティ」でも「ID Safe」の機能として提供されており、PCからクラウド上にログイン情報を保存しているユーザーは、iOS版から同じログインデータをそのまま利用できる。

 セーブブラウザーには、PC向けと同様に、接続先ウェブサイトの安全性を評価するサイトレポート機能を搭載しており、危険なサイトへのアクセス時には赤い警告画面を表示する。

 「ウォレット管理」の画面では、スマートフォンのカメラでカードを撮影すると、文字を認識してクレジットカード情報を自動入力して登録可能。銀行口座の情報なども登録でき、保有するカード情報を一元的に管理できる。また、「頻繁に使う情報はお気に入りに登録してすぐに呼び出せるようになる」とのこと。

 なお、データ保管庫には、住所、プライベートメモなどを保存することも可能。アプリ自体の起動時にはPINやパスワードを設定できるほか、指紋認証でのアプリログインも対応する。

 このほか、従来のiOS版でも搭載していた機能として、専用ポータルから遠隔操作で端末位置などを確認できる盗難対策の機能や、連絡先バックアップといった機能も引き続き利用できる。

 一方、Android版では、iOS版がOSの仕様により搭載できないマルウェア対策や、Playストアアプリの安全性評価、デバイスの状態を表示するレポートカード、電話やSMSの着信遮断、SIMカードロックといった機能を提供する。

 発表会では、ノートンが日本全国8地域別に実施した「パスワード」に関する消費者意識調査の結果も発表された。シマンテックノートン事業統括本部マーケティング部部長の古谷尋氏は、代表的なパスワード流出の経路として、自身のPCやスマートフォンなどのデバイスからウイルスやフィッシング詐欺などにより情報が抜き取られるケースと、使っているサービスが乗っ取られて事業者からパスワードが漏えいするケースを挙げた。

 調査では、自身のデバイスから漏えいする危険性については49%、利用しているサービス事業者からの漏えいについては59%のユーザーが危険性を認識していたが、「裏を返せば、半分はパスワードが流出するわけがないと考えていることになる」とした。

 デバイスへのパスワードロックについては、スマートフォンでは3割、タブレットでは4割のユーザーがロックをかけていない。「タブレットは外に持ち出さないケースも多いため、ロックをかけない傾向が高い」という。また、Androidユーザーの方がロックをかけない傾向が高いことも分かった。これについては、「iOSは初期セットアップにおいて、パスワードをかけなければいけない仕様になっている。Androidは各メーカー独自の仕組みとなるため、その違いが表れている」とした。

 若年層では、8割以上がロックをかけている。これについては、「10代だと両親などとの同居がほとんどなので、プライバシーを守りたい、家族に見られたくないということのほか、学校の情報教育の影響もある」とした。さらに、男性に比べ女性の方が若干ロックをかけないユーザーが多く、また年齢が上がるにつれてロックをかけない傾向も見られるという。60代は男性が35%、女性43%がロックをかけてないとの結果も明らかになった。

 使い分けているパスワードの種類は平均で4.2個だったが、1つのパスワードのみを各サービスで使い回しているユーザーも12%いた。古谷氏は「パスワードを複数のサービスで使っていると、1つのサービスで漏えいしたパスワードが、ほかのサービスでも手当たり次第に試されて、中にはそれが通ってしまうサービスもある」とパスワードの使い回しによる危険性を指摘した。

 一方、サービスを設定するたびに違ったパスワードを使っているのはわずか11%だった。89%は同じか、いくつかのパスワードを使いまわしをしていることになる。古谷氏は「サービスに規定された制約に合わせて決まったパスワードを当てはめているユーザーや、使い分けておらず、たまたまというユーザーもいた」という。

 作成するパスワードは、過半数が何かしらの情報をもとに設定しているが、誕生日が最も多く、10代後半の女性は47%を占めていた。これに、自分に関係する家族や恋人、好きな俳優などの名前を基準に作るユーザーが多いという。生年月日の情報はSNSで公開しているユーザーも多いため、こうしたパスワードの作成方法は危険なものと言える。

 パスワードの管理方法は、6割以上が「記憶」と回答しており、2位の手帳も4割のユーザーが挙げた。手帳での管理は「紛失するとサービス自体が使えなくなってしまう」という問題もある。パスワード管理ツールを導入しているユーザーは1割未満で、古谷氏は「もっと使ってもらった方がいい」と述べた。

 パスワードの変更については、「変えたことがある」とのユーザーが意外と多いものの、その理由としては「忘れたので再発行した」との回答が多い。シマンテックでは定期的な変更を推奨しているが、これを実施しているユーザーはわずか15%となった。

 シマンテックでは、「8文字以上で、数字・英大文字・英小文字・記号を混ぜ、複雑な類推されにくいパスワード」を用い、これを定期的に変えることを推奨している。しかし、「これを自分で考えながらインターネットを楽しむのは大変」と述べ、「パスワード管理ツールを活用するのがノートンからのアドバイス」とした。