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NASのドライブ1本を“リムーバブル化”する「MyArchive」、ASUSTOR NASのイチオシ機能

HGSTはHDDのヘリウム充填技術によるメリットをアピール

 名古屋の大須にあるツクモ名古屋1号店にて、7月22日(土)に「NAS・HDD合同イベント」が開催された。参加メーカーはNASメーカーのASUSTORとQNAP、HDDメーカーのHGSTとSeagate。当日は、台数限定特価のNASが用意されたほか、参加者限定のNAS製品オークションや、HDDの割引販売も実施された。さて、ここでは当日のイベント内容からASUSTORとHGSTについて紹介しょう。

ASUSTORのイチオシ機能「MyArchive」

 ASUSTORのセッションでは、NAS向けの独自OS「ADM」の最新機能や、同社NAS製品の最新機種をデモを交えて紹介。ASUSTORは、QNAP、Synologyを含む、いわゆる“NAS御三家”では後発であり、差別化に力を入れている。そのような中で、特に力を入れてアピールしていたのが、同社独自の機能である「MyArchive」だ。

ASUSTORのセッション

 MyArchiveは、言ってみれば“ネットワーク接続型のリムーバブルドライブ”としてNASを利用できる機能だ。これを活用すれば、NASに組み込んだドライブを取り外して直接PCに接続して読み書きできるなど、NASとしてはかなりユニークなファイルシステム管理とバックアップの機能と言える。

 販売代理店である株式会社ユニスター第二営業部課長で、NASサーバーを統括する越沼哲史氏によると、例えば4ベイのNASのうち、3台のHDDでRAID 5を構築した場合、残る1ベイに搭載したHDDを、RAID 5とは異なるファイルシステムとして利用できる。その1台のHDDでは、EXT4やNTFS、HFS+といった多彩なファイルフォーマットをサポートしている。

 MyArchiveに設定したHDDとRAIDアレイとの間では、NASのハードウェア機能を用いた高速なコピー機能が利用できる。MyArchiveのHDDをNTFSでフォーマットしていれば、ホットスワップして取り出したHDDを、Windows PCなどとSerial ATAやUSBアダプターを介して接続し、そのまま読み込むことができるわけだ。

 このため、MyArchiveにRAIDアレイのバックアップを取っておけば、NASのRAIDアレイが万が一故障してしまったような場合に、LANを介するよりもはるかに高速に、NASのRAIDアレイから必要な情報をPCにコピーできるわけだ。この点で、LANを経由するより短時間で復旧できる。

「MyArchive」のボリュームセットアップウィザード
ファイルフォーマットはEXT4、NTFS、HFS+をサポートする
RAIDアレイとMyArchiveドライブを1台のNAS内に構築できる。RAID 1アレイを6TB HDDのセットで構築した写真の例では、MyArchive HDD側が8TBと、容量が同じである必要もない

 MyArchiveのHDDをEXT4でフォーマットすれば、Windows PCから読み書きする難易度は上がるものの、暗号化オプションを利用可能になるため、ビジネスにおけるセキュリティを向上できる。そのほか、MyArchiveを設定したHDDは、ASUSTOR製NAS間でもデータを読み書きできることから、旧NASから新NASへの移行にも活用できる。

EXT4フォーマットで構築すればパスワードによる暗号化も可能
EXT4での暗号化を設定した場合は、パスワードの入力が必要
RAIDアレイからMyArchiveへのバックアップは、NAS内のローカルで完結する「内部バックアップ」で可能。バックアップの速度も高速に行える

 そのほかにもASUSTOR製NASの特徴的な機能が紹介されたので、スライドとともにピックアップして紹介していこう。

セットアップ時に導入するアプリのプリインストールを設定できる
システムインテグレーター向けには、デスクトップテーマを自社デザインの壁紙に変更するなどのカスタマイズが可能
NASを使った監視カメラシステムの構築は、中小企業ではポピュラーだが、通常はカメラ用のライセンスが必要だ。ASUSTOR製NASであれば、4ライセンスまで無料なので、導入コストを抑えられる
ISPなどがレンタルするルーターの配下に、無線LAN機能を備えたルーターを設置するような多段ルーター環境でも、簡単に外部からNASへのアクセスを設定できる「EzConnect」
Wake on WAN機能に対応し、外部ネットワークからNASを起動することが可能。自宅のNASなどでは、ビジネスタイムに電源を落としておく運用も多いが、急に必要になった場合でも、この機能を使ってNASを起動すればデータにアクセスできる
4ベイのNASストレージ容量エキスパンダー「AS6004U」をUSB 3.0で接続することで容量を拡張できる。対応するのは比較的新しい世代の高性能モデル。NAS側のスリープと連動した省電力機能が利用できる
最新のApollo Lake世代のデュアルコアCeleronを搭載したNAS「AS6302T」と「AS6404T」。HDMI 2.0出力を搭載し、NAS内の4K/60p映像をテレビなどに出力できる

 イベント当日は、ASUSTORやQNAPをはじめとしたNAS製品の特価販売も行われていた。

ツクモ名古屋1号店スタッフによると、ASUSTORの売れ筋は2ベイNASボックスの中でも特にコストパフォーマンスに優れた「AS1002T」。実売価格は2万円前後で、前述の無料で4台までのカメラライセンスも付属する
ツクモ名古屋1号店のNASコーナーではHDDの価格表もNAS向け製品をピックアップ。売れ筋は3~4TBモデルとのこと

ヘリウム充填HDDのパイオニアである点をアピール、HGST

 NASがテーマのイベントということで、HGSTのプレゼンテーションも、同社HDDのNAS向け機能にフォーカスして行われた。

HGSTのセッション

 HGSTのメインテーマは「ヘリウム充填」。ヘリウム充填HDDは、HGSTが他社に先駆けて採用製品を販売開始している。2013年の6TBモデルを皮切りに、現在12TBモデルについて2017年内(暑さが和らぐころ!?)の市場投入を目指しているとのこと。

HGSTのヘリウム充填HDDの歴史と出荷台数。4年間で容量は2倍に、出荷台数では2015年の100万台達成から2017年第2四半期の1700万台達成と、急速に成長している。なお、12TBモデルは現在、一部の企業を中心に出荷が開始されているとのこと

 ヘリウム充填HDDの特に大きなメリットは、株式会社HGSTジャパン営業本部ストレージソリューション部ディレクターの山本慎一氏によると、容量、省電力、耐久性の3つだ。

 ヘリウムは、主に窒素と酸素の混合気体である空気と比べて密度が7分の1であるため、気流抵抗が抑えられ、プラッタとヘッドの間をより近づけても安定した読み書きができる。そして、空気と比べて気流抵抗が抑えられたことにより、プラッタ回転時のフラッターが抑えられるとのことだ。

 これにより振動と、振動に伴うエラーの発生が減り、駆動時の動作音も抑えられるなど、さまざまなメリットが生まれる。また、プラッタを薄くできることで枚数の増加も可能になる。ヘリウム充填の採用により、従来の最大5プラッタから、現在では8プラッタまで増加可能になったという。12TBや14TBといった大容量が、3.5インチフォームファクターのHDDで実現できた理由がここにあるわけだ。

ヘリウム充填HDDは、従来の空気を用いたHDDと比べ、さまざまなメリットがあるとのこと
ヘリウム充填技術により、フラッターの抑制、プラッタの薄型化、プラッタ枚数の増加、省電力などが実現する

 気流抵抗が少ないことで、プラッタを回転させるモーターの力も少なくて済み、消費電力が抑えられる。これにより発熱も小さくなる。ただし、ヘリウム充填には漏れ対策が必要となり、製品では溶接による完全密封が施されているという。

 製造工程は、空気を利用する開放式のHDDと比べて増えてしまうが、ヘリウムならではのメリットとして酸化の問題もなくなるとのこと。発熱が少なく、酸化の問題がなくなるために、耐久性も向上するのだと言う。

ヘリウム充填HDDでは、空気を用いたHDDと比べて振動が大幅に減少
HDDの動作音も、ほぼ環境音レベルに抑えられる
HGSTのNAS向けHDD「Deskstar NAS」のスペック。ヘリウム充填HDDは8TB、10TBモデルのみとなる。振動対策のRVセンサーを搭載し、24時間365日稼働に耐える設計で、100万時間のMTBFなどを特徴とする
HGSTのヘリウム充填HDDは、2016年の日本機械学会賞を受賞しており、7月26日から8月8日まで国立科学博物館の展示会「日本の最先端科学技術の紹介」で展示されるとのことだ