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違法配信の利用促すムック本が後を絶たず、レコ協が対策で苦慮


日本レコード協会で法務部担当部長を務める畑陽一郎氏

 日本レコード協会は30日、インターネット上の違法音楽配信に対する取り組みを紹介する記者懇談会を開催した。法務部担当部長を務める畑陽一郎氏が、違法配信の実態に加えて、違法配信の利用を助長するムック本への対策などについて語った。

 日本レコード協会の調査によれば、2008年における有料音楽配信の市場規模は約905億円。うち9割にあたる約800億円は、携帯電話向けの「着うた」「着うたフル」などが占めている。一方、2008年に違法ダウンロードされた着うたは1億8500万曲、着うたフルは2億2200万曲で、合計4億700万曲。この数字は、同時期に流通した正規の着うた・着うたフルの楽曲数(3億2900万曲)を上回るという。

 また、違法音楽配信の利用実態に関する調査では、携帯電話ユーザーの81%が認知、31%が利用していた。特に10代の利用率が極めて高い(12〜15歳は64%、16〜19歳は60%が利用)のが特徴だ。

携帯電話向け違法音楽配信の実態 違法音楽配信の利用実態

「違法になる前にダウンロード」違法配信の利用促す雑誌が後を絶たず

 畑氏によれば、携帯電話向けの違法音楽配信は、主に「勝手サイト」の掲示板サイトで行われているという。掲示板サイトでは、個人が違法にアップロードした音楽ファイルを無料でダウンロードできる状態だとしている。

 違法配信の利用を助長するものとして畑氏は、違法サイトやファイル共有ソフトの利用方法を掲載するムック本(雑誌)を挙げる。日本レコード協会では2006年以降、のべ14社の発行元に書面で注意喚起を行い、それらの発行元ではそうした記事の掲載をおおむね自粛したという。

 その一方で、違法配信の利用を助長する雑誌は後を絶たないと、畑氏は説明する。「最近では、(違法サイトなどからのダウンロード行為を禁止する内容が盛り込まれた)改正著作権法に触れ、『違法になる前にダウンロード』と促すような雑誌もある」。

 なお、日本レコード協会などの著作権関連団体が2008年9月に実施した調査によれば、ファイル共有ソフトを利用したきっかけは、「友人・知人・口コミ」が45.1%で最多。「パソコン、ネット関連雑誌」は29.7%で2番目に多かった。

 さらに畑氏は、違法サイト運営者の収入源となっている広告にも問題があると指摘。これらのサイトに掲載されるバナー・リンク広告は、「アダルト系」や「出会い系」に誘導するものが多く、青少年が詐欺などの被害に遭うケースが数多く報告されているとした。

掲示板サイトにおける権利侵害の実態 無料ダウンロードサイトにおける広告の問題

文化庁の川瀬氏「ダウンロード違法化は罰則なしでも新しい秩序作れるはず」

文化庁著作権課の川瀬真氏(著作物物流管理室長)

 記者懇談会ではこのほか、文化庁著作権課の川瀬真氏(著作物物流管理室長)が、2010年1月1日に施行される改正著作権法について説明。いわゆる「ダウンロード違法化」が盛り込まれた著作権法第30条の内容を紹介した。

 現状の著作権法では、違法にアップロードされた音楽や映像のファイルをダウンロードすることは、私的使用目的であれば違法ではない。これに対して、改正著作権法では、私的使用目的でも違法となる。ただし、違法となるのは違法配信と知って行う場合のみで、罰則もない。

 著作権法第30条の改正について川瀬氏は、「一般のインターネット利用者にも大きくかかわる内容。来年1月1日の施行に向けて、改正内容の広報・周知を重点的に実施していきたい」と述べた。

 また、ダウンロード違法化に罰則がないことに関しては、「日本人は順法精神があると言われる民族。法改正によって『違法なんだ』という自覚を持ってもらうことで、新しい秩序が作れると考えたため、罰則は不要と判断した」と語った。


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(増田 覚)

2009/7/30 20:37

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