1ライセンス3台のWindowsとMacで使える
「ウイルスバスター2010」
トレンドマイクロの大三川彰彦取締役エグゼクティブバイスプレジデント |
トレンドマイクロは、セキュリティソフト「ウイルスバスター2010」のパッケージ製品を9月4日に発売する。「ウイルスバスター for Mac」も同梱しており、1ライセンスでWindowsとMac OSを問わずに3台まで利用できる。ライセンス期間が1年間で5980円。ダウンロード版は2日に販売を開始し、ライセンス期間が1年間で4980円。
「ウイルスバスター2010」はWindows 7/Vista/XP。Windows 7に対応しているほか、Windows Vistaは32ビット版と64ビット版に対応する。「ウイルスバスター for Mac」はMac 10.4.11以降に対応する。Mac OS X 10.6 Snow Leopardについては10月ごろに対応する予定だという。
トレンドマイクロがMacユーザーを対象に実施した調査によれば、ユーザーの50.8%はMac OSに対応したセキュリティソフトを導入していなかったという。また、ユーザーの73.9%が「WindowsとMacの両方を所有している」と回答。このことから「ウイルスバスター2010」では、Mac OSに対応した「ウイルスバスター for Mac」を同梱し、OSの種類を問わず1ライセンスで3台まで利用できる新ライセンス体系を導入したという。
ウイルスバスターの新ライセンス体系 | ウイルスバスター2010の概要 |
●不正プログラム情報をユーザーから収集、最新の脅威にも迅速な対応へ
トレンドマイクロの長島理恵マーケティング本部コンシューママーケティンググループプロダクトマネージャー |
機能面では、新種の脅威への対応を強化するために、不正なファイルやWebサイトなどの情報をユーザーから収集するデータベース「Smart Protection Network(SPN)」の関連技術を導入。不正プログラムと思われるファイルが「いつ、どこで、どのような挙動をしようとしたのか」などの情報をデータベースに送信する「スマートフィードバック」機能を新たに搭載し、最新の脅威にも迅速に対応できるようにした。
スマートフィードバックで送信された情報はトレンドマイクロが分析した上で、Webサイトの安全度を判定する「Webレピュテーション」などのSPNを構成する評価データベースに迅速に反映させる。大三川彰彦取締役エグゼクティブバイスプレジデントは、スマートフィードバックを活用することで「2.5秒に1件のペースで発生する新種の不正プログラムにも対抗できる」と自信を見せる。
トレンドマイクロの長島理恵マーケティング本部コンシューママーケティンググループプロダクトマネージャーによれば、SPNで1日に処理される問い合わせ件数は50億件、データ量は1.2TBに上る。また、Webレピュテーションの評価データベースに登録されているWebサイトの件数は16億サイト、1日に処理される新しいIPアドレスは5000万件に達するほか、1年間で処理される不正プログラムの検体数については約2億5000万件に上るという。
「これまでは、ハニーポットやクローラーを使って新種の不正プログラムを収集していたが、スマートフィードバックは従来の手法を補完することで、迅速なセキュリティ対策が可能となる。ウイルスバスターは国内シェアナンバーワンなので、スマートフィードバックは日本を狙った攻撃のサンプル収集にも効果的だと考えている。」(長島氏)
最新の脅威に対応するための技術について | Smart Protection Network(SPN)の概要 |
2008年における新種の不正プログラムの発生頻度 | Smart Protection Network(SPN)を利用した機能拡充の概要 |
なお、企業向け製品「ウイルスバスター コーポレートエディション 10」では、ウイルス定義ファイルによるクライアントPC/サーバーの負荷を軽減するために、定義ファイルの大半をSPNに置く「スマートスキャン」機能を提供している。同機能を個人向け製品に実装しなかった理由について長島氏は、「開発に時間がかかったら」と説明。「早急に実装したい」と話したが、時期は未定だという。
スマートスキャン機能では、必要最低限の定義ファイルのみをクライアントPC/サーバーに配信し、大半の定義ファイルをSPN側に移行。スキャン時には、まずクライアントPC/サーバーに配信されたパターンを使って検索し、疑わしいファイルを検出した場合のみ、SPN上の定義ファイルを使用する仕組み。
●「ウイルスバスター for Mac」でもWebレピュテーション技術を実装
機能面ではこのほか、ブラウザ上で入力したキー入力情報を暗号化するツール「GuardedID Standard」を9月中に提供する予定。ユーザーは、トレンドマイクロの無料ツールを公開する「トレンドマイクロ 無料ツールセンター」からダウンロードできる。個人情報保護については、従来もパスワードフィールドに入力した文字を暗号化していたが、新たにIDや住所・氏名などの入力フィールドの暗号化に対応した。
PCへの負荷も軽減しており、「ウイルスバスター2009」と比較して、起動時間を約3割、不正プログラムが感染しやすい場所に重点を置いて短時間でウイルス検索を行う「クイック検索」の時間を約2割短縮した。また、PCがアイドル状態のときのみにウイルス定義ファイルのアップデートや予約検索を開始する「アイドルタイムスキャン」を実装したほか、PCを最適な状態に保つ「システムチューナー」機能では新たにソフトウェアとインスタントメッセンジャーの履歴を消去できるようにした。
「GuardedID Standard」の概要 | 「ウイルスバスター2010」のそのほかの改善ポイント |
「ウイルスバスター2010」に同梱する「ウイルスバスター for Mac」は、ウイルス対策やスパイウェア対策などの基本機能に加えて、Webレピュテーション技術を実装。金融機関やショッピングサイトなどに偽装したフィッシング詐欺対策機能や有害サイト規制機能などを搭載する。
「ウイルスバスター for Mac」の主な機能 | Macを狙うWeb経由の脅威の概要 |
TwitterのアカウントがハイジャックされたケースではWindowsとMacの両方が標的にされた | フィッシング詐欺サイトや有害サイトはプラットフォームに依存しないため、Macが狙われることも少なくないという |
【お詫びと訂正 2009/09/02 12:38】
記事初出時、「ウイルスバスター for Mac」の対応OSについて、「Mac 10.4.11以降がインストールされているIntel Mac」としていましたが、正しくは「Mac 10.4.11以降」です。お詫びして訂正いたします。
関連情報
(増田 覚)
2009/9/2 14:37
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