グーグルがAndroid 1.6を解説、地図サービスにも新機能


 グーグルは、HT-03A向けに提供が開始されたAndroidの最新版「1.6」の新機能などを解説する説明会を開催した。また、Android 1.6のHT-03Aから利用できるグーグルマップの新サービスについても説明が行われた。

  NTTドコモは22日、OSにAndroid 1.5を搭載したスマートフォン「HT-03A」のバージョンアップを案内し、23日からAndroid 1.6にバージョンアップを行える更新ファイルの配信を開始している。更新ファイルは約1週間をかけて全ユーザーに順次配信される予定で、ダウンロードまで自動で実施され、インストール(アップデート)はユーザーが手動で行う。

Android 1.6の新機能グーグル デベロッパー アドボケイトのクリス・プルエット氏

 グーグルでは、この更新ファイルの配信とAndroid 1.6の提供開始を受け、担当者が記者向けに説明を行った。グーグル デベロッパーアドボケイトのクリス・プルエット氏は、1.6で実現される新機能として「クイック検索ボックス」「カメラ・動画アプリの機能向上」「セキュリティ強化」の3点を挙げた。「クイック検索ボックス」では、従来のインターネット上の検索に加えて、端末に搭載した音楽や連絡先、アプリケーションも検索対象となる。カメラアプリは、機能向上により動画アプリと統合され、ワンボタンでカメラと動画を切り替えられるようになったほか、YouTubeやPicasaといったWebサービスへ簡単にアップロードできる機能を備える。セキュリティの強化としては、VPNへの対応やIEEE802.1xのサポートなどが明らかにされた。

 また、そのほかの細かなアップデート内容として、電池使用時間の確認機能が案内された。これは、稼働中の各アプリや機能が、どのぐらいの電池を消費しているか%で表示するもの。これにより、電池消費の多いアプリや機能を発見することができ、設定を見直すきっかけとして利用できる。また、ユーザー補助機能としてバイブレーションや音によるユーザーインターフェースを追加できるほか、英文のテキストについては読み上げ機能もサポートされる。

クイック検索ボックスカメラアプリの機能向上
セキュリティ機能の強化そのほかの新機能

Androidマーケットで有料アプリを配信

 プルエット氏からは、1.6の大きな特徴としてAndroidマーケットの進化にも触れられた。すでにドコモからも案内されているように、HT-03AではAndroid 1.6から利用するAndroidマーケットにおいて、新たに有料アプリの購入が可能になった。また、Androidマーケットの外観も変更され、アプリのスクリーンショットの表示にも対応している。説明会の会場ではAndroidマーケットでアプリを購入する動画が再生され、Google Checkoutを利用してクレジットカードで簡単に購入できる様子が紹介された。なお、有料アプリは最初のダウンロードから24時間以内であれば利用をキャンセルでき、その場合は課金されない仕組み。1度キャンセルしたアプリでも、2度目のダウンロードでは即時に課金される。

Androidマーケットで有料アプリの購入が可能にUIが変更され、アプリのスクリーンショットも表示される

現在地の情報を共有できる「Google Latitude」を提供開始

「Google Latitude」の説明を行ったグーグルの岸本 豪氏

 グーグルではまた、HT-03AがAndroid 1.6にバージョンアップされることに合わせて、同端末で利用できる機能としてGoogle Latitude(グーグル ラティチュード)を提供する。当面はHT-03Aでのみ利用できる。

 「Google Latitude」では、ユーザーの現在位置を共有することができ、あらかじめ登録したユーザーの現在位置をGoogle Map上に表示させることが可能になる。表示には「2時間前」「3分前」といった情報も付加される。位置情報の共有はお互いの許可が必要で、登録したユーザーそれぞれに対し、自分の位置情報を通知するかどうかや、通知を「東京都渋谷区」などおおまかな住所までにとどめるかどうか、現在地とは関係なく任意の地点を通知する、場所をまったく通知しないなどの各種の設定が可能になっている。

 グーグルは、「Google Latitude」の提供時期について、Android 1.6が提供され、準備が整ってから「様子をみて提供する」としており、Android 1.6の更新ファイルが大半のユーザーにダウンロードされた後にサービスが開始される見込み。なお、サービスが開始されると、HT-03Aの地図アプリのサブメニューにGoogle Latitudeの項目が表れる。

「Google Latitude」の概要位置情報の共有では、さまざまな設定が可能

「バージョンアップで新しい窓口が広がる」

NTTドコモ フロンティアサービス部アプリケーション企画担当部長の山下哲也氏

 説明会には、NTTドコモフロンティアサービス部アプリケーション企画担当部長の山下哲也氏も出席し、挨拶を行った。山下氏は「バージョンアップの内容は地味に見えるかもしれないが、ひとつの完成品が発表されたとは思っていない」と述べ、「OSをバージョンアップするのは、日本ではiPhone以外はなかった。使い方やアイデアなど、毎日の変化に追従していける。柔軟に、スピーディーに世界が広がっていく」と、ドコモとしても新しい取り組みとなるOSの更新に期待を寄せた。また、新たな機能がOSレベルで追加されることで「新しいデベロッパーへの窓口が広がった。新しいアイデアでチャレンジしてもらいたい」とも語り、アプリの開発者に向けてもメッセージを送った。山下氏は今後についても、「ドコモとして、機種数は積極的に拡大していく予定」とAndroid端末を拡充していく方針を示した。


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(太田 亮三)

2009/10/23 19:27