流対協、Googleブック検索の和解修正に「事前許諾」などを要請


流対協の高須次郎会長

 中小出版社99社で構成される出版流通対策協議会(流対協)は30日、「Google Book Search(Googleブック検索)」の和解修正案に対して、データのスキャニングには必ず著作権者と出版社に事前許諾を取ることなど、7項目からなる要請を行ったと発表した。

 「Google Book Search」では、図書館との提携によりスキャンした書籍の全文検索・閲覧サービスを計画しており、これに対して米作家団体(Authors Guild)と米国出版社協会(AAP)がGoogleを提訴していたが、2008年10月に和解することで合意した。

 和解案では、著作権保護期間内の書籍であっても、絶版または市販されてない書籍であれば全文の閲覧が可能となり、和解の対象者は「米国著作権を有するもの」となっているため、著作権の国際条約であるベルヌ条約加盟国の著作権者も影響を受けることとなり、各国で反対の声が挙がっていた。

 10月7日にはニューヨーク州の連邦地裁で和解案の最終審理が行われる予定となっていたが、米司法省による和解修正の要請を受けて審理は延期され、修正案は11月9日に提出される予定となっている。

 流対協では、和解案の修正に対して、以下の7項目を要請している。

1)データスキャニングには必ず著作権者および出版社に事前許諾を取ること
2)海外著作権者および出版社の和解への参加は、オプトアウト方式からオプトイン方式に変更すること
3)将来を拘束する和解である以上、いつでも海外著作権者および出版社の申し出により和解からの離脱が可能なことを明記し、その場合、データはすべて削除すること
4)Googleの許諾の範囲について、米国外における利用の禁止を明確にする(具体的かつ確実に担保、保障する)こと
5)前回の和解案の告知は不十分であり、修正案を告知する際は、業界各団体に告知するとともに、新聞公告を全国紙、地方紙の一面に複数回行うなど、告知の徹底を尽くすこと
6)修正される和解案については、全文の日本語訳(精査された翻訳によるもの)を作成し、日本のすべての著作権者および出版社に閲覧可能(インターネットだけに限定することなく)とすること
7)版権レジストリーには、各国語圏の代表の参加を保障すること

 流対協の高須次郎会長は、「不参加を表明しなければ和解に参加したとみなされる、オプトアウト方式はやはり理不尽なやり方。当初示された期限が短かったこともあって、和解への参加を表明した団体もあるが、改めてこの問題を考え直し、意見を表明してほしい」とコメント。和解案に政府として異議・反対を唱えているドイツとフランスについては、特別の配慮がなされるとの観測もあるとして、流対協では今後この問題に関係する団体や個人などと連携を図り、日本政府に対して早急に政府として和解案に影響力を行使するよう求めていくとした。


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(三柳 英樹)

2009/10/30 17:51