3Dキャラの動きをぬいぐるみで操作、個人用モーションキャプチャ


クーマの試作機

 ソフトイーサ株式会社は30日、個人向けの3DCGモーションキャプチャシステム「クーマ(開発コード名)」を発表した。現在は研究開発中で、価格や発売日は未定だ。

 「クーマ」は、3DCGのキャラクターに動きを付けるための入力デバイス。開発段階では熊のぬいぐるみ型になっている。ぬいぐるみとPCがUSBケーブルで接続されており、ぬいぐるみの手足を動かすと、PC上のキャラクターが連動して動く。

 従来、3Dモデリングソフトなどでキャラクターモーションを制作するには、関節(軸)の部分をクリックして回転し、動作の始点と終点を決める操作が必要となる。3Dモデルをより自然に動かすためには、動作ごとに精密かつ地道な作業が要求される。

 「クーマ」を用いることにより、人形を動かすだけで、3DCGキャラクターに思い通りの動きが付けられ、モーション制作の時間を短縮できる。現在は、開発用に作成した独自の3Dモデリングソフトを使っているが、「LightWave 3D」や「Maya」などの一般的なソフトにも、プラグインで対応することが可能という。

システムの概要ぬいぐるみの動きを3DCGソフトに反映

製品化は早ければ1年以内、価格は1~2万円程度

ソフトイーサの開発ロードマップ

 30日に行われた発表会で、ソフトイーサの登大遊代表取締役会長は、同社が提供するVPNソフトの売り上げが好調であることを説明し、そこで得た収益を試験研究費に投入していると話した。即ビジネスにつながるものではないが、「あると便利で楽しいソフト」を開発していくという。

 試験研究段階のプロジェクトとして、安価な「監視カメラシステム」、思考でPCソフトなどを動かせるようにする「脳波信号処理」、ハムスター育成ゲームとVPNソフトを融合した「HamCore VPN」などを説明。その試験研究の1つに、今回発表した「クーマ」がある。

 「クーマ」については、ソフトイーサ技術開発部グラフィック部門の伊藤隆朗氏がデモを交えて紹介した。伊藤氏は、「3DCGの制作コストは10年前と比べてあまり改善されていない」と説明。特に、モーションは3Dモデリングソフトなどの専門知識や、高価なモーションキャプチャシステムが必要となる。

 コンテンツ市場においては、ゲームなどで3DCGの需要が増しているものの、制作費は削減傾向にあり、会社やクリエイターは苦労を強いられているという。また、コンシューマー領域においては、動画投稿サイトなどで自作の3DCGムービーを公開するユーザーも増えている。これらの市場へ向けて、安価な3DCGモーションキャプチャシステムを開発するに至った。

 デモを行った試作機では、12自由度(関節部分)を実現し、外装を除いた本体の原価はシステム基盤を含めて3000円程度だったという。今後、量産体制を整えることで、48自由度人体モデルでも原価3000円未満に抑えられる見通しとのこと。なお、製品化は「早ければ1年以内、販売価格は1~2万円程度になる」。また、外装は人気キャラクターのフィギュアにすることも可能とした。

 このほか、将来的にはリアルタイムのモーションキャプチャにも対応できると話す。リアルタイムのモーションキャプチャは従来、専用のスタジオで役者が特殊なスーツを着用し、演じた動きを3DCGのキャラクターに反映させるものだ。「クーマ」を使えば、例えば、人形師による操作をリアルタイムに読み込むことも可能となる。

従来のモーション作成との比較製品化後の初期の展開


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(野津 誠)

2009/10/30 20:23