警視庁、ネットカフェに本人確認などを義務付ける条例案策定へ


 警視庁は28日、インターネットカフェに対して利用者の本人確認や利用記録の保存などを義務付ける条例案の策定に向け、一般からの意見募集を開始した。募集期間は12月11日まで。

 警視庁では、インターネットカフェの多くの店舗で利用者の本人確認や利用記録が行われていないため、店舗内のPCから犯罪が行われた場合に実行者を特定できない事案が多数見られたと説明。また、利用者がPCに入力したIDやパスワードなどを他の利用者や従業員がスパイウェアにより不正に入手する事案や、24時間営業の店舗が家出や深夜徘徊をする少年のたまり場となっている問題、フィルタリング機能を導入していないPCの使用により少年が違法・有害情報に触れる恐れがある問題などを指摘している。

 警視庁ではこれらの問題点を踏まえ、2007年4月から事業者への防犯指導などを行い、本人確認や利用記録の保存など業界の自主努力を促してきたが、2009年8月末時点で利用者の本人確認を実施している店舗は38.1%、利用記録を保存している店舗は15.3%と、対策は不十分な状況にあるとしている。

 こうしたことから、警視庁の有識者会議では、インターネットカフェに対しては法的規制と事業者に対する継続的な支援・指導が必要だと報告。これを踏まえて、警視庁では「インターネット端末利用営業の規制に関する条例(仮称)案」の策定を検討しており、検討内容についての意見募集を行う。

 条例案の内容としては、東京都内の個室または個室に準ずる施設を設けているインターネットカフェを対象として、利用者の本人確認を義務付け、本人確認記録も3年間保存することを義務付けることを検討している。また、利用者が店舗を利用した時間、どのPCを利用したかを特定するための記録も、3年間の保存を義務付けることを検討している。

 このほか、PCへのセキュリティ対策ソフトなどの導入や防犯カメラの設置など、不正利用を防止するための措置を講じる努力義務、営業の開始・廃止などについての公安委員会への届出義務、義務に違反した店舗への業務停止命令・罰則などを盛り込んでいる。


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(三柳 英樹)

2009/11/30 19:49