ISP業界が一転、児童ポルノのブロッキング実施に前向きな姿勢を表明
総務省「利用者視点を踏まえたICTサービスに係る諸問題に関する研究会」の第6回会合の様子 |
児童ポルノコンテンツをISPが強制的に遮断する「ブロッキング」と呼ばれる手法について、日本インターネットプロバイダー協会(JAIPA)が18日、公式見解を発表した。問題のないサイトを見ているユーザーも含めて接続先URLなどの通信内容を監視する仕組みのため、これまでは通信の秘密を侵害するとして慎重姿勢だったが、児童ポルノ被害の重大性や世論などを考慮し、ISP各社が事業の一環としてブロッキングを行うことはやむをえない判断であると認めた。
ただし、ブロッキングが認められるのは、刑法第37条の「緊急避難」にあたる場合に限定する考え。児童ポルノ画像の内容が著しく被害児童の権利を侵害するものであること、画像の削除や掲載者の摘発といった他の対策が容易に行えない海外サイトの場合であることなどが要件となる。「緊急避難」としてならば、通信の秘密を侵害しても違法性が阻却されるとの解釈は、「安心ネットづくり促進協議会」の検討グループが報告書として3月にとりまとめたが、JAIPAの方針はこれを受けたかたちになる。
遮断するコンテンツの判別は、今後設立が見込まれる第三者機関が作成・管理するURLリストに基づいて行われ、個々のISPはそのリストの中身については関与しない。
このほか、ブロッキングの導入はISPにとっても負担がかかることから、中小ISPへの公的支援なども検討するよう求めた。また、あくまでもブロッキングは児童ポルノに限って容認するものであり、他の違法情報や著作権侵害コンテンツになしくずし的に拡大されるべきではないとの考えも強調している。
18日に総務省で開かれた「利用者視点を踏まえたICTサービスに係る諸問題に関する研究会」の第6回会合では、これまで同研究会のテーマに含まれていなかった児童ポルノのブロッキングについての議題がなぜか急きょ盛り込まれ、JAIPA会長の渡辺武経氏が上記のような見解を述べたほか、NTTコミュニケーションズ、ニフティといった大手ISPからも、児童ポルノ対策としてブロッキングの導入準備に入る姿勢が示された。また、検索エンジン大手のヤフーとグーグルからも児童ポルノ対策に取り組むスタンスが説明された。
各社ともに、URLリストを作成・管理する第三者機関について、運用の中立性・透明性が確保されることが必要であると強調した。
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(永沢 茂)
2010/5/18 20:52
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