IE9のハードウェアレンダリング、ノートPCのオンボードGPUでも恩恵あり
米国時間の9月15日にダウンロード公開された「Internet Explorer 9(IE9)」ベータ版について、マイクロソフト株式会社が27日、報道関係者向けの説明会を開催し、その特徴を紹介した。
マイクロソフトの溝口宗太郎氏(コンシューマー&オンラインマーケティング統括本部コンシューマーWindows本部) | Internet Explorer 9(IE9)の4つの特長 |
IE9の特徴の1つとして高速性があるが、マイクロソフトの溝口宗太郎氏(コンシューマー&オンラインマーケティング統括本部コンシューマーWindows本部)は、それを実現した要素は2つあると説明する。
まず、SunSpiderのベンチマークではIE8の10倍以上の高速な結果を出したという、新開発のJavaScriptエンジン「Chakra」だ。
溝口氏によると、Windows Vista以降のPCにおけるCPUのコア数は平均2.42コアと言われており、多くのユーザーがマルチコアCPUを使うようになったことがわかっているが、従来のIEのJavaScriptエンジンはマルチコアCPUを生かしていなかったという。
これに対しChakraでは、CPUが複数のコアを持っていると判別した場合、空いているコアに対してバックグラウンドでどんどんスレッドを立ち上げ、JavaScriptコードをネイティブコードに変換することで、マルチコアのリソースを有効に活用し、高速処理を実現していると説明する。
また、IE8まではJavaScriptエンジンがIEの外部に実装されていたのに対し、ChakraはIE9内に実装されているため、ブラウザーとJavaScriptエンジンのコミュニケーション速度が飛躍的に高まったとしている。
もう1つのポイントとしてはGPUによるハードウェアレンダリングを挙げ、これがIE9の高速化に最も寄与していると溝口氏は説明する。
ブラウザー内で処理されたコードを画面に描画する際、従来のブラウザーではすべてCPUを使って行っていたが、IE9では描画処理をGPUを使って行えるようになった。溝口氏によると、単純な画面描画について言えば、GPUはCPUの10倍以上の高速処理が可能であり、GPUを使うように変更するだけで高速化されるという。さらに、これまでCPUが受け持っていた処理をGPUに受け渡すことで、CPUが他の処理を受け持つことができ、システム全体のパフォーマンス向上にもつながっているという。
新JavaScriptエンジン「Chakra」の仕組み | 新JavaScriptエンジン「Chakra」の実装方法 |
SunSpiderのベンチマーク結果 | GPUによるレンダリングの概要 |
なお、IE9で必要となるGPUの性能について溝口氏は、通常GPUというと、秋葉原で売っているような、ハイエンドのごついGPUカードを拡張する必要があると思われるかもしれないが、ノートPCなどに搭載されているGPUにも対応すると説明する。
IE9ベータ版では動作環境としてGPUの項目は特に設けていないが、Windows 7/Vistaの動作環境を満たすGPUであれば、IE9のハードウェアアクセラレーションの恩恵を受けられると説明した。具体的には、最低環境としてDirectX 9.0c以降に対応のGPU、推奨環境としては特にWindows 7ではWDDM1.1、DirectX 10.1対応のGPUを使ってほしいとした。
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(永沢 茂)
2010/9/28 11:00
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