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児童ポルノのブロッキングリスト作成・運用に年間3000万円との試算結果


児童ポルノ流通防止協議会の第7回会合の様子

 児童ポルノ流通防止協議会の第7回会合が1日、開催され、今年度中に行われる児童ポルノのブロッキングの試験運用について報告があった。

 これは、警察庁の予算で行われる「官民連携した児童ポルノ流通防止対策に係る調査研究」という事業。今回の会合では、児童ポルノ流通防止協議会の事務局であり、同調査研究事業も受託している財団法人インターネット協会から、ブロッキングする児童ポルノのアドレスリスト作成の流れや判定基準について説明があった。

 アドレスリストは、「児童ポルノ掲載アドレスリスト作成管理団体」が警察庁やインターネット・ホットラインセンター(IHC)から情報提供を受けて作成する。同団体が受理する情報は、1)国内の児童ポルノについてはIHCがサイト管理者等に削除要請を行ったもの、2)海外サーバーで蔵置されているものについては、IHCが海外ホットラインに通報したもの、または対象国にホットラインが存在しないために削除要請が不可能だったもの――となる。

 アドレスリスト作成管理団体に情報が提供されるタイミングは、IHCにおいて上記の分類が確定した当日または翌日。これを受理したアドレスリスト作成管理団体では、数日かけて、それらが児童ポルノに該当するかどうか判定し、さらにインターネット上に存在することを確認した上でアドレスリストに掲載、それをISPなどに提供する流れだ。

 児童ポルノの判定は、「児童買春、児童ポルノに係る行為等の処罰及び児童の保護等に関する法律」第二条3項に基づくが、児童であるかどうかや、ポルノかどうか判断が難しいものについては、医師2名と弁護士1名から成るアドバイザーの判断を経る。

 アドレスリストは暗号化されたExcelファイルで提供される予定で、含まれる項目は、1)整理番号、2)掲載ページのホスト名、3)掲載ページのIPアドレス、4)掲載ページURL、5)掲載ページホストに対するDNSブロッキング可否、6)掲載ページURLに対するDNSブロッキング可否、7)該当画像のホスト名、8)該当画像のIPアドレス、9)該当画像URL、10)画像ハッシュ値、11)掲載ページのIPアドレス確認日、12)該当画像のIPアドレス最終存在確認日、14)該当画像の最終存在確認日、15)アドレスリスト提供日――となっている。

 5)の掲載ページホストに対するDNSブロッキング可否については、そのホストのコンテンツが児童ポルノ100%であり、DNSブロッキング方式によりホスト単位で丸ごとブロッキングしても問題ない場合に「可」とされる。一方、ホストの一部に児童ポルノが含まれるだけでは、DNSブロッキングでは時同ポルノでないコンテンツまでオーバーブロッキングされるため「否」ということになる。

 インターネット協会からは、来年度からブロッキングの本運用が実施された際に、アドレスリスト作成管理団体の運用にかかる費用の試算も示された。削除要請から数日経っても掲載されている児童ポルノの数を国内外で年間2000件あるとした上でスタッフの工数などを算出しており、人件費とサーバーなどの固定費を合計して、約3057万円が必要としている。

 アドレスリストの作成管理については、表現の自由に対する規制を避けるため、「政府機関や民間企業等に対し中立性が認められる民間のイニシアティブにて実施することが望ましい」(児童ポルノ流通防止協議会が3月にとりまとめた「児童ポルノ掲載アドレスリスト作成管理団体運用ガイドライン」より)とされている。

 このため、来年度以降、ブロッキングを運用するということになれば、アドレスリスト作成管理団体の運用費用についても、今後、民間から何らかのかたちで捻出していく必要がある。

対象はあくまで緊急避難の場合、安心ねっとづくり促進協議会が提言

 第7回会合では、児童ポルノ流通防止協議会とはまた別の団体である安心ネットづくり促進協議会の児童ポルノ対策作業部会から、「児童ポルノ掲載アドレスリスト作成管理団体運用ガイドライン」について提言も出された。

 同ガイドラインでは、ブロッキングの対象とするものとして、1)サイト管理者等への削除要請を行ったが削除されなかったもの、2)海外サーバーに蔵置されているもの、3)サイト管理者等への削除要請が困難であるもの、4)その他、既に多くのウェブサイト又はウェブページを通じて流通が拡大しているなど、迅速かつ重層的な流通防止対策が必要で、事前に専門委員会の承認を経たもの――のいずれかに該当するものとしている。

 安心ねっとづくり促進協議会としては、実際にブロッキングを行う事業者の立場から、通信の秘密の侵害との兼ね合いもあり、ブロッキングはあくまでも緊急避難のやむを得ない場合に限定したい考えだ。1)と2)については許容されるものの、3)と4)についてはブロッキング対象の類型から外すべきと指摘している。

 これに関しては、IHCが単に削除要請したというだけでアドレスリストに含まれてしまう流れになっていることから、削除要請しても削除されなかったものかどうかを判別できるよう求める意見も挙がった。例えば、IHCから削除要請を行った日のデータもリストに含めることで、削除要請日から該当画像の最終存在確認日まで開きがあるもののみを、削除要請しても削除されなかったものとして事業者側で抽出してブロッキングに反映させるといった対応が可能になる。

アドレスリスト作成管理団体、なり手なし?

 このほか第7回会合では、「『児童ポルノ流通防止対策専門委員会』の設置及び運営に関する要綱」案について、詰めの議論も行われた。

 アドレスリスト作成管理団体については、前述の「児童ポルノ掲載アドレスリスト作成管理団体運用ガイドライン」により、公益法人や民間団体などの中から選定されることになっている。その選定や監督を行うのが「児童ポルノ流通防止対策専門委員会」であり、当初は現在の児童ポルノ流通防止協議会のメンバーを中止として専門委員会に移行するかたちを予定している。

 要綱案についての議論で意外に時間をとったのは、専門委員会の会合を原則公開とすることを要綱に盛り込むべきかどうかというものだった。現在の児童ポルノ流通防止協議会での公開という流れを維持すべきという意見があがった一方で、専門委員会の目的はアドレスリスト作成管理団体の選定・監督ということで性格が異なるため、会議を公開することはなじまないのではないかという意見もあった。アドレス作成管理団体はただでさえ成り手がいなくて困っているのに、団体の選定・監督のプロセスまで公開するとしてしまうと、ますます名乗りを上げる団体が現われなくなるのではないかとの懸念も指摘された。


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(永沢 茂)

2010/10/4 06:00