PayPal、スマートフォン向け決済など国内向け3サービスを発表


ペイパル・ジャパン代表取締役のアンドリュー・ピポロ氏

 ペイパル・ジャパン株式会社は21日、2011年の日本向け事業戦略に関する説明会を開催し、スマートフォン向けの「モバイルエクスプレスチェックアウト」、デジタルコンテンツ向けの「PayPal for Digital Goods」、中小規模ECサイト向けの「ウェブペイメントプラス」の3つのサービスを新たに日本市場に投入すると発表した。

 21日に提供を開始した「モバイルエクスプレスチェックアウト」は、iPhone/iPad/Androidのスマートフォン用ブラウザーに最適化した決済サービスで、スマートフォン向けのECサイトやアプリ内の課金サービスなどに利用できる。ユーザーは、PayPalアカウントが登録済みであれば、メールアドレスとパスワードの入力のみで支払いができるため、クレジットカード番号などを入力する手間が省ける。

 デジタルコンテンツ向けの「PayPal for Digital Goods」は、デジタルの音楽や動画サービス、電子書籍、ゲームのアイテム課金などで利用できる決済サービスで、日本では近日サービス開始予定。決済用の画面をECサイト上にポップアップ表示し、ユーザーが許可した場合には最短1クリックでの決済を可能にするなど、デジタルコンテンツの課金をより手軽に行えるようにするサービスとなる。

 中小規模ECサイト向けの「ウェブペイメントプラス」も、近日提供予定の決済サービス。PayPalではユーザー登録なしのクレジットカード決済サービスも提供しており、これをECサイト内の決済方法として導入できる。また、電話やFAXなどを利用してPayPalによる決済を受け付けることもでき、中小規模のECサイトが決済手段の多様化に利用できるとしている。

 いずれのサービスも、決済手数料は3.6%~2.9%+40円、少額決済の場合は5%+7円で利用できる(ウェブペイメントプラスでは少額決済は検討中)。

「モバイルエクスプレスチェックアウト」スマートフォン向けの決済サービスを提供アプリ内課金サービスにも利用が可能
「PayPal for Digital Goods」は有料動画配信や電子書籍、ゲームのアイテム課金などデジタルコンテンツ向けの決済サービス中小規模のECサイト向けには「ウェブペイメントプラス」を提供
ペイパル・ジャパン マーチャントサービス部長の大橋晴彦氏

 ペイパル・ジャパン代表取締役のアンドリュー・ピポロ氏によると、2010年4月から日本向け営業活動を本格化した成果として、PayPalの総アカウント数は約150万となり、半年間で約50%増加。日本国内の総取引額も前年度の約1.5倍となり、現時点では日本から海外への支払いが全体66%を占めているが、国内間の取引額は前年度の2倍以上と急成長しているとした。

 こうした成長の背景には、ユーザーがECサイトに安全性を求めていることがあるとして、クレジットカード決済が安全だと感じている割合は利用者のわずか2.9%でしかないという自社アンケートの結果を紹介。今後の日本市場のトレンドとして、スマートフォンを中心とした「モバイル」、モバイルアプリやソーシャルゲームなどの「デジタルコンテンツ」、クーポンサイトの登場による「ニューマーケット」の3点を挙げ、これらに対応する決済サービスを日本市場に投入していくと語った。

 ペイパル・ジャパン マーチャントサービス部長の大橋晴彦氏は、2010年に急拡大したクーポンサイトでは、日本でもグルーポンを皮切りに30社以上のクーポンサイトがPayPalを導入したことを紹介。クーポンサイトのPayPal取引高は2010年10月からの2カ月間に平均68%増と急激な伸びを示しており、こうした新たなマーケットでさらにPayPalの利用を拡大させていきたいとした。

 また、Ustream Asiaが年末年始に行った浜崎あゆみのカウントダウンコンサートで「PayPal for Digital Goods」が有料配信の課金方法として利用されたことを紹介。ソーシャルゲームや電子書籍など、今後さらにデジタルコンテンツの決済サービスは成長するとして、少額決済にも対応するPayPalのメリットをアピールしていきたいとした。

PayPalの国内取引額は2010年に2倍以上にカード決済を「安全だと感じる」と回答したユーザーは2.9%
グルーポンを始めとして30社以上のクーポンサイトがPayPalを導入浜崎あゆみカウントダウンコンサートの有料配信にもPayPalが使われた

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(三柳 英樹)

2011/2/21 15:45