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グーグル、Chromeウェブストアを日本で開始〜日本向けアプリ12本を同時提供


 グーグル株式会社は16日、Chromeウェブストアサービスを開始すると発表した。Chromeブラウザから、ChromeウェブストアのURL(https://chrome.google.com/webstore")にアクセスするか、Chromeの設定画面で[拡張機能]→[他の拡張機能を見る]からアクセスできる。

 5月16日の開始時点では、日本向けに新たに制作・提供したウェブアプリは、英辞郎 on the WEB Pro(株式会社アルクネットワークス)、ついっぷる(NECビッグローブ株式会社)、JustEdit(面白法人カヤック)、Crowy(株式会社co-meeting)、ジョルダンライブ!(ジョルダン株式会社)、47NEWS(株式会社全国新聞ネット)、youRoom(SonicGarden)、Cacoo(株式会社ヌーラボ)、はてなブックマーク(株式会社はてな)、カラメル(株式会社paperboy&co.)、ブクログのパブー(株式会社paperboy&co.)、monstar.ch(株式会社モンスター・ラボ)の12本。12本はすべて無料アプリとなっている。

Chromeウェブストア 今回日本向けに新たに開発・提供されたウェブアプリケーション12本

 

「認知度向上」「マネタイズ」2つの課題を解決するプラットフォームに

Google シニアエンジニアリングマネージャー 及川卓也氏

 Google シニアエンジニアリングマネージャー 及川卓也氏は日本向けサービス開始にあたり、「単純な静的な情報のやりとりから始まったウェブ技術だが、現在はウェブサイトというよりも、アプリケーションとして捉えたほうがいいような動的なコンテンツになってきている」と述べ、ウェブサービスで提供する情報が静的なものから動的なものに移行すると同時にウェブアプリケーションでサービス提供を行うサイトが増えてきていることを指摘。

 「多くのものが、ウェブアプリケーションの形で提供されている。しかし、いいアプリケーションを提供していても、認知をあげるのが難しい、マネタイズが難しいという2つの問題がある」として、「この2つの問題を解決するために提供するのがChromeウェブストア」だと述べた。

 及川氏は、Chromeユーザー数は昨年の7000万から1億6000万に急激に増加し、ウェブアプリケーションベンダーはChromeウェブストアに登録することで1億6000万のユーザーに告知することができることを挙げ、認知度を得にくい問題が解決できるとした。

 また、ユーザーはレイティングやコメントを見て、どのアプリケーションが使いやすいか判断することができ、アプリケーションを理解して使い始めるため、開発会社から見てユーザーエンゲージメントの強化が見られたという。

 米国ではChromeウェブストアは2010年末にローンチし、すでに3000を超えるウェブアプリケーションが提供されている。及川氏によれば、米国ですでにアプリを提供中の開発会社に意見を聞いたところ、ユーザー数が劇的に増加しただけでなく、ユーザーエンゲージメントの強化が見られたという。具体的にはユーザーの滞在時間の増加、アイテム課金などを行っている場合はトランザクションの増加が見られた。

 具体的な例として、米国でWorld Golf Tour(WGT)を提供するベンダーでは、「公開直後の2カ月に5万人のユニークユーザーがアプリケーションを試し、その25%以上がWGTのアカウントを作成した。Chromeユーザーの場合(他プラットフォームのユーザーよりも)、プレイ時間が23%も長く、WGTでの仮想アイテムの購入量も平均より147%も多いという結果が得られた」という。

Chromeウェブストアの特長 Chromeウェブストアの現状 他プラットフォームに比べ、Chromeユーザーはユーザーエンゲージメントの強化が見られた

 またもうひとつの課題であるマネタイズについて及川氏は、有料のアプリケーションも提供可能で、一度限り無料で試用できる有料アプリケーションや、サブスクリプションという形での提供など、さまざまな課金形態に対応可能だと述べた。

 ただし、日本ではまだ課金システムは提供されておらず、具体的な開始時期については、現時点ではまだ明らかにする段階ではないとして明言を避けた。

 及川氏は「Chromeウェブストアでは囲い込みをするつもりはない」として、「Chromeウェブストアではアプリベンダーが独自の課金システムを使い、Chromeアプリケーションとして配布することもでき、どのようなアプリケーションでも登録していただける」とした。ただし、チェックなしで登録すると、完成していないようなアプリケーションも登録されてしまうため、アプリケーションベンダーには、最初に1回、5ドルの登録料を課金を行うようにしたという。なお、5ドルの課金は、アプリごとではなく、アカウントごとの課金となる。

 従来の拡張機能やテーマもこのChromeウェブストアに統合されており、Chromeウェブストアのトップページにアクセスすると、3ペイン構造の左ペインにはアプリケーション、拡張機能など機能別に分かれた見出しが用意されている。中央に人気のウェブアプリケーションなどのコンテンツ案内、右ペインにはスタッフのお勧めなどのリンクが設けられている。

 個々のアプリケーション紹介画面では、トップの左側に画面のスクリーンショットが表示されるが、ここにはYouTubeの動画を入れることもできる。

 

アプリを提供したはてなの近藤社長らがデモ、はてブはChrome版独自の機能も

 発表会では、はてなブックマークを提供するはてな株式会社 社長の近藤淳也氏、47NEWSを提供する株式会社全国新聞ネット社長 今井克氏および開発を担当した共同通信社メディアラボ室長 鈴木維一郎氏、「ブクログのパブー」と「カラメル」を提供する株式会社paperboy&co.取締役副社長 吉田健吾氏が登壇し、それぞれのアプリケーションの紹介とChromeウェブストアへの期待を述べた。

 近藤社長は、はてなブックマークが初期からブラウザのブックマークレットやアドオン、さらにiPhoneやAndroidアプリの提供など、「どんなデバイスを使っていてもすぐにブックマークできるように」さまざまなプラットフォームへの対応をすすめてきたことを説明。Chrome版の機能としては、指定したカテゴリの新着記事がデスクトップに通知されるデスクトップ通知機能などを装備。「自分の好きなカテゴリーの記事がどんどん読みやすくなる」と紹介した。また、Chromeウェブストアへの参加を記念して、今日15時からはてなブックマークサイトのデザインをChromeデザインに変更している。

はてな株式会社 社長の近藤淳也氏 はてなブックマークのウェブアプリケーション画面 指定したカテゴリの新着記事がデスクトップに通知される

 47NEWSを提供する株式会社全国新聞ネット 今井 克社長は、47NEWSのウェブサイトの読者プロフィールについて、「35歳以上の男性、職場で見ている人が多い」と述べ、「これまで以上のユーザーにリーチしたいと思っていた」と読者層の広がりを期待するとコメント。開発に当たった共同通信社メディアラボ室長 鈴木維一郎氏は、これまでは文字で表現するサイトだったが、東日本大震災の報道をきっかけに、写真で伝えることでユニークユーザーが大きく増加したとコメント。そうした点も踏まえ、Chromeウェブアプリケーション版では、ニュースを自動的に一定時間表示して次のニュースを表示する「デジタルデジタルサイネージモード(オフに設定可能)」を採用したとコメント。Chromeウェブストアでのアプリケーション提供を皮切りに、スマートフォン向けなどマルチプラットフォーム対応を進めると述べた。

47NEWSを提供する株式会社全国新聞ネット 今井 克社長 開発を担当した共同通信社メディアラボ室長 鈴木維一郎氏 47NEWS

 「ブクログのパブー」「カラメル」という2つのアプリケーションを提供する株式会社paperboy&co. 取締役副社長 吉田健吾氏は、電子書籍発行・販売プラットフォームのパブーについては、開始後約1年になるが、1万1000を超える作品が公開されていると紹介。また、カラメルについてはECサイトの商品をウィンドウショッピングを楽しむように選べるサービスだと紹介し、「いずれもEC、売買に関連するサービスなので、マネタイズの面でも非常に期待している」とコメントした。

「ブクログのパブー」「カラメル」という2つのアプリケーションを提供する株式会社paperboy&co. 取締役副社長 吉田健吾氏 ブクログのパブー カラメル

 

今後の展開〜日本発ゲームアプリの提供も

 及川氏は、今回日本語に対応したユーザーインターフェイスを提供開始し、日本発のアプリケーションを12本用意したが、今後開発支援などさまざまな活動を通じて、アプリケーションのプラットフォームとして認知度を上げていきたいとコメント。

 また、16日から一般ユーザーが日本語表示でChromeウェブストアを利用できるが、Chromeブラウザーからの導線などがまだ十分整備されていないことなどから、一般向けの正式ローンチはChromeブラウザーのバージョンアップなどの状況と合わせて、改めて発表することになると述べた。

 日本向けのアプリケーションについては、今回ゲームが提供されていないが、「ゲームのニーズが高いのは承知している(及川氏)」として、ゲームメーカーにはすでに声をかけているとして、今後の拡充を示唆した。


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(工藤 ひろえ)

2011/5/16 18:46