Apple、次期Mac OS X “Mountain Lion”デベロッパープレビューをリリース
米Appleは16日、Mac OS Xの9番目メジャーリリースとなる「Mac OS X Mountain Lion」のデベロッパープレビューを公開した。Mountain Lionでは、iOSで人気の機能やアプリケーションをMac OS Xに還元するとともに、新たなセキュリティ機構を搭載する。
デベロッパープレビュー版は、Macデベロッパープログラム会員は16日から利用が可能。一般ユーザー向けには2012年夏の終わり頃に、Mac App Storeからアップグレードとして提供される。また、Mountain Lionの紹介が、Appleのウェブサイトに「Sneak Peak」として動画と共に紹介されている。
Mac OS X Mountain Lion |
Mountain Lionに搭載される主な新機能は、Messages、Game Center、通知センター、Share Sheets、Twitterとの統合、AirPlayミラーリング、iCloudへの本格対応など。Appleでは「100以上の新機能」があると主張している。
「Messages」は、iChatを置き換えるものとしており、Macから他のMacへ、また他のiOS端末向けに、無制限にメッセージや高品質の動画、写真を送受信できる。iChatと同様に、Googleトーク、Yahoo!メッセンジャー、Jabber、AIMもサポートするとしている。Messagesは、Mac OS X Lionでも利用できるベータ版が公開されており、Appleのサイトからダウンロードできる。
iOSの「Game Center」がMac OS Xにも対応し、新しいゲームをダウンロード、プレイできる。Game Centerを通して他のiOS端末やMacとの間でマルチプレーヤーゲームを楽しむことができるほか、友人やゲームコミュニティー全体との間でゲームの成績を競いあうなど、「ゲーム体験をパーソナライズすることが可能」だとしている。
iOSで各種アプリの通知を表示する「通知センター」も、今回Mac OS Xにも導入された。メールやカレンダー、リマインダー、システムアップデート、サードパーティーアプリケーションの通知などを統合して扱えるようになる。通知センターは、スワイプ操作でいつでも画面右側に表示させることができ、そこからアプリの起動や必要な操作を行えるようになっている。
新機能となる「Share Sheets」は、Appleまたはサードパーティーアプリ全体で使用できる機能で、アプリから共有したいリンク、画像、動画などを、アプリから直接Twitterなどで共有できるものだ。特に、TwitterはMountain Lionシステム全体に統合されており、ログインしておけばSafariやQuick Look、Photobooth、プレビュー、その他サードパーティー製のアプリから直接ツイートできる。
また、Mountain LionはMac OS Xとして初めてiCloudに本格的に対応。Apple IDを使用して、コンタクト、メール、カレンダー、Messages、FaceTime、Find My Mac設定を行うことができ、iCloudドキュメントは、いつでも最新のものに保たれるよう同期され、他の端末にプッシュされる。開発者向けには、iCloudドキュメントを利用するアプリケーション開発のために新APIが提供される。
新しいセキュリティ機構「Gatekeeper」も搭載される。設定画面でMacにインストールできるアプリの種類を限定することによって、マルウェアがインストールできないようにすることが目的だ。
Gatekeeperでは、インストールできるアプリの種類を、1)どのようなアプリもインストール可能、2)デベロッパーIDが付加されたアプリのみインストール可能、3)Mac App Storeのアプリのみインストール可能――の3種類から選択できる。デベロッパーIDに関しては、Appleが各開発者に対してデジタル署名を発行し、この署名が付されたアプリケーションをGatekeeperが認識することによって、身元がはっきりした開発者によるアプリのみインストールできるようにする。
また、ビジネス上注目すべき内容としては、Mountain Lionは中国のユーザー向けに機能を大幅に強化したことが明らかにされている。例えば、Safariでは中国シェア首位のサーチエンジンBaiduをデフォルトサーチエンジンとして設定できる。このほか、メールやカレンダーでは中国のウェブメールサービスQQ、126、163、Share Sheetsでは動画アップロード対象サイトとして中国の大手動画サイトYoukuとTudouの選択が可能。さらに、中国国内では利用が制限されているTwitterに代わり、Mountain Lionシステム全体で中国版Twitterともいわれる「Sina weibo(新浪微博)」をサポートするとしている。
この発表について米Appleワールドワイドマーケティング担当シニアバイスプレジデントであるPhilip Schiller氏は、「すばらしく成功したLionリリースから7カ月後にMountain Lionデベロッパープレビューが公開されることになり、これは世界で最も先進的なパーソナルコンピューターオペレーティングシステムの高速な開発速度を示している」とコメントしている。
関連情報
(青木 大我 taiga@scientist.com)
2012/2/17 11:58
-ページの先頭へ-