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「日本の物作りを立ち上げる」Cerevoがガジェット特化クラウドファンディング


 株式会社Cerevoは12日、電子機器や周辺機器といったガジェットに特化したクラウドファンディングサービス「Cerevo DASH」を公開した。ガジェットの開発や販売に必要な費用を複数の個人から集め、Cerevoが持つ製造・販売・サポートのノウハウを合わせることで、ガジェットの商品化を図る。

 クラウドファンディングの仕組みは、株式会社ハイパーインターネッツが運営するウェブサービス「CAMPFIRE」のプラットフォームを活用する。

Cerevo DASH

ノウハウと資金面でガジェット商品化を支援

 Cerevoによれば、ガジェットを商品化するには筐体の試作やデザイン、強度・温度試験、最低生産数量などで、多額の費用が必要。また、量産体制やサポート体制の構築、販売手法の確立といったノウハウも必要なため、個人や少人数チームでガジェットを商品化するのは難しいという。

 Cerevo Dashでは、PC不要でUstreamの中継が行える機器「Live Shell」などのネット家電を手がけるCerevoのノウハウをガジェット開発者に提供するとともに、クラウドファンディングを通じて商品の購入希望者を募集できる。このため、開発者は「ノーリスクで量産化に踏み切れる」(Cerevoの岩佐琢磨社長)。なお、簡単なアドバイスや適切な業者の紹介は無料だが、実作業が発生するサポートは別途費用が必要。

 ガジェット開発者は、Cerevo DASH上で目標金額とプロジェクトの概要を登録し、指定期間内に目標金額に到達するとプロジェクトが成立する。ガジェット開発者は集まった金額から20%の手数料を差し引いた金額を受け取れる。一方、支援者は開発者が設定したリターン(試作品の先行体験、製品の割引販売、ノベルティグッズなど)を入手できる。目標金額分に到達しなければ、支援金の受け渡しは行われない。

 なお、ガジェット開発者はCerevo DASHにプロジェクトを登録する際、Cerevoによる審査に通過する必要がある。審査時には試作機を提出し、Cerevo側が「実際に商品化できるか」「非現実的なプランを描いていないか」といった基準を元に判断する。

 「審査で最も重視するのは『作れますか?』ということ。クラウドファンディングで不幸なパターンは、当初の見積もりを誤ったせいで、5000円で作れると思っていたのに1万円かかるようなケース。売れば売るほど赤字になってしまう。さらに悪いのは、お金を集めたのに商品化されないケース。審査では、我々がガジェットの専門家として、そういったケースを未然に防ぐ。」

クラウドファンディングはピボットではない、Cerevoの集大成

Cerevoの岩佐琢磨社長

 Cerevoはこれまで、「CEREVO CAM」「CEREVO LIVEBOX」「LiveShell」といったネット家電を開発・販売してきた。そんな同社がなぜ、クラウドファンディングサービスを手がけるのか。岩佐氏は「事業のピボット(方向転換)と思われるかもしれませんが、このサービスはCerevoの集大成」と話す。

 「ガジェットを商品化するには筐体の試作をはじめ、金型、パッケージ、組み立て、サポート、工場、倉庫の手配などケアすべきことが山ほどある。そのため、個人が熱い思いで試作機を作っても、ノウハウがないために商品化に踏み切れない例が多かった。そこで我々のノウハウを提供すれば、ガジェット開発者にとってもメリットがあると考えた。」

 Cerevo DASHではさらに、プロジェクト成立後のガジェットの権利をCerevoが買い取り、ガジェット開発者と共同名義で量産販売していくプランも用意する。

 「ガジェットを量産するにはリスクが生じる。ある人は、Cerevo DASHでプロジェクトが成立すると、ガジェット販売に専念するために起業するかもしれないが、そこまでの覚悟がないといって量産をあきらめてしまう人もいる。そうしたガジェット開発者のために、Cerevoとのダブルブランドで量産し、売り上げを折半するプランを提案する。」

 Cerevo DASHの第1弾プロジェクトとしては、長さ1.5mの巻き尺を内蔵したCerevo考案のiPhoneケース「iConvex」の商品化に向けて支援を募る。iConvexは専用アプリと連携することで、さまざまなものを測定し、写真とともに記録できる。支援金額は500円から5万円まで7プランを用意し、プランに応じて入手可能な特典が異なる。

 iConvexは、専用アプリを起動すると測定画面が表示され、巻き尺部分を伸ばせすことで、長さが自動的に計測される。巻き尺の長さの1.5m以上を計測したい場合は、「Hold」ボタンをタップすれば複数回の計測結果を合計することが可能。アプリからカメラを起動し、巻き尺で測った長さを写真に記入する機能も備える。測定結果はiPhone内に保存できるほか、直接TwitterやFacebokに投稿することも可能だ。

iConvexの専用アプリからカメラを起動すると写真に長さを保存できる。巻き尺を伸ばし、画面をタップすれば、写真に計測結果を記入することが可能だ
本体は巻き尺を内蔵してケースと一体化しているため、外見は普通のiPhonekケースと変わらない。筐体はMacbook Airなどの商品でおなじみのアルミ削り出しだ

 クラウドファンディングサービスに着目した理由は、「次に作る商品がどれくらい売れるのかをリサーチしたかったから。反応が良ければ、自信を持って量産化を進められると考えていた」という岩佐氏。そうした中、ノウハウがないために商品化に踏み切れないガジェット開発者が多いことに気付き、Cerevo DASHを立ち上げることとなった。

 「Cerevo DASHは、僕らがこういうものがあれば利用したいと思っていたもの。ガジェット開発者の立場からプラットフォームを作ったという自負がある。まずは夏ごろまでに5〜6件のプロジェクトを成立させたい。将来的には全国にある小さな工場で埋もれているような製品の販路になれば、ニッポンの物作りが立ち上がってくる。」


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(増田 覚)

2012/3/12 12:56