ブリタニカ百科事典が印刷版の製造を終了、オンラインサービスへ移行
英Encyclopaedia Britannicaは13日、244年にわたって発行を続けてきた印刷版の「Encyclopaedia Britannica」(ブリタニカ百科事典)英語版の製造を終了し、現在庫分がなくなり次第、販売を終了すると発表した。
同社は今後、信頼できる情報源のデジタルプロバイダー、eラーニングソリューションの事業を展開する。同社はすでに会費制「Britannica.com」によるオンライン版百科事典サービス、eラーニングサービスなどを提供している。
Encyclopaedia Britannicaは、2年ごとに全32巻を発行してきた。学術的にも信頼できる情報源として高い評価を得ており、インターネット百科事典の「Wikipedia」が台頭してきてからはしばしば比較対象となってきた。
今回の決定について、Encyclopaedia Britannica社長のJorge Cauz氏は、「我々には印刷版の長い歴史があるとはいえ、中核となるミッションは単一のメディアでも、印刷でもビットでもないのだということを指摘しておきたい。我々のミッションは、一般的な市民のために、知識と学習のための信頼できる、最新の情報に基づく学術的な情報源となることだ」と述べ、今回の決定が同社の存在目的に影響するわけではないことを改めて説明した。
同氏によると、Britannica.comのサービスを開始して以来、情報は絶えずアップデートしたり、追加していくため、データベース規模は印刷するには大きすぎるほどになってしまったとしている。アップデート頻度は1日数回で、最新の情報に保つために必要であれば数分以内に対応することもあるという。
印刷版百科事典の終焉は多くの人が予測していたとはいえ、多くの人は一抹の寂しさを覚えているようにも見える。
関連情報
(青木 大我 taiga@scientist.com)
2012/3/15 11:22
-ページの先頭へ-