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総務省、料金請求一本化でNTTグループに要請


 総務省は23日、NTTグループが7月に導入する料金請求・回収の一本化に対し、今後の競争環境の確保などで課題があるとして、一本化に関わるNTT各社に対して要請を行った。NTTの取り組みを差し止めるものではないが、公正な競争環境が今後も維持できるよう配慮を求めた内容となっている。

 要請の対象となったのはNTT東日本、NTT西日本、NTTコミュニケーションズ、NTTドコモ、NTT(持株)、NTTファイナンスの6社。NTTグループでは、固定通信および携帯電話の料金について、NTTファイナンスが料金の請求・回収業務を行う方針を発表していた。

 新サービスでは、債権をNTTファイナンスへ譲渡し、各社の料金関連の部署をNTTファイナンス内で統合するとしている。こうした状況に対し、KDDIやソフトバンク、ケイ・オプティコム、CATVなど競合各社は、NTTグループの一体化に繋がるもので、脱法的行為と非難。3月13日には、総務大臣の判断や考え方の提示を求め、意見申出書を総務省へ提出していた。

NTTファイナンスは法規制の対象外、公正競争への懸念

 いわゆるNTT法や電気通信事業法は、市場シェアが大きいNTTとその他の通信事業者がサービスを提供する中で、公平な競争ができる市場環境などを目指している。そうした目的を今後も維持、確保するためには、NTTには取り組むべき課題があるとして、NTT各社に要請が行われることになった。総務省からの要請では、たとえば、営業に役立つ情報の流用が行われないよう、NTTファイナンスとは役員の兼任、在籍出向を行わないことや、NTTファイナンスに独自の顧客情報管理システムを構築させることなどを求めている。

 今回の要請の背景として、総務省 事業政策課では、「これまでNTT法、電気通信事業法で規制してきたが、今回は電気通信事業者ではない企業(NTTファイナンス)が“料金業務”を行うことになった。料金の計算、回収や請求といった一連の業務を料金業務と考えているが、これまでは電気通信事業者自身がサービスを提供しつつ、料金業務を行っていたため、電気通信事業法などで規制できた。しかし、NTTファイナンスへ大規模に債権が譲渡されるとのことで、法律で守ろうとしてきた公正競争環境の確保などに対し、何もしなければ守られなくなる恐れがある。そこでNTTから事情を聞き、今回の要請に至った」と説明する。

 現行法では、たとえばNTT東日本は利用しつつNTTドコモは契約していないユーザーに対して、NTT東日本が「ドコモを利用しませんか」といった営業を行うことはできない。しかしNTTファイナンスが法規制の対象事業者ではないことで新たな懸念が生まれており、総務省では今後もNTTの動向を検証し続ける方針。また競合各社の申し出については、別途、回答するとのこと。

NTTは予定通り準備

 総務省からの要請を受け、NTTでは「あくまで、現行制度の枠内で、お客さま利便の向上と通信サービス料金の請求、回収業務の効率化を目的として、業務運営体制を見直すものであり、公正競争にも十分取り組む考え。総務省からの要請内容を真摯に受け止めて、必要な措置を講じた上で、適切に業務運営していきたい」とコメント。予定通り、7月のサービス開始に向けて準備を進めるという。

 一方、競合のうちの1社であるKDDIでは「意見申出書の提出後、速やかに対処いただいたと考えているが、今回のNTTグループの取り組みが競争環境に与える影響は大きい。NTTグループが一体になる、既成事実化が進むことは遺憾」と説明しており、今後内容を精査して、必要があれば何らかの対応を行う。ソフトバンクは、総務省の要請内容を精査しているとのことで、今後、あらためて見解を示すと見られる。


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(関口 聖)

2012/3/29 20:26