米Yahoo! CEOの学歴詐称問題、取締役会が特別委員会を設置して調査へ


 米Yahoo!のCEOであるScott Thompson氏が学歴詐称を行っていたことが複数の調査で明らかになったことを受け、同社取締役会が8日、この問題を調査するための特別委員会を設置することを発表した。また、Yahoo!の取締役であり、CEO採用責任者であったPatti Hart氏が、次期取締役には再任しないことを発表した。

 この問題は、Thompson氏がコンピューターサイエンスと会計学という2つの学士号を米国Stonehill Collegeにて取得していたと申告していたにもかかわらず、実際にはコンピューターサイエンスの学士号は取得しておらず、経営学(会計学)の学士号しか保持していなかったことが確認されたものだ。

 5月3日、Yahoo!株式を5.8%保有するヘッジファンドのThird Point LLCが調査結果を公表したことで問題が公になった。その後、Stonehill Collegeもこの事実を確認している。

 Thompson氏はYahoo!のCEOに就任する以前は、米eBay子会社PayPalのCTO、次いでCEOを務めており、当時もコンピューターサイエンスの学士号を持っていることを否定していなかった。さらに、Yahoo!のCEO就任時には米国証券取引委員会への報告書にも、経歴として記している。問題発覚後、Yahoo!は同社ウェブサイトから同氏の学歴に関する記載を削除している。

米Yahoo!の会社概要ページにあるScott Thompson氏の経歴

 こうした問題が明らかになったことによって、Thompson氏が技術に通じていると称する本人の主張に重大な疑いが生じただけでなく、個人としての資質にも重大な疑問が生じる結果となった。

 CEOの選考方法に問題があったとの声も上がっている。その結果として8日には、Thompson氏をCEOとして採用する際の採用責任者であったYahoo!取締役で米IGTのCEOであるPatti Hart氏が、次期取締役には再任しないとの発表を行った。

 8日に設置が発表された特別委員会では、Thompson氏の学歴に関する調査を行うほか、同氏がCEOに就任するに至った経緯についても調査するとしている。


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(青木 大我 taiga@scientist.com)

2012/5/9 11:30