「YouTubeは適法」「漫画のコピーは?」文化庁がダウンロード刑罰化Q&A公開
著作権法の一部を改正する法律が6月20日に国会で可決・成立、27日に公布されたことを受け、文化庁は7月12日、「違法ダウンロードの刑事罰化についてのQ&A」を公開した。
Q&Aは全8問。違法ダウンロード刑罰化が決まった経緯や内容、適法なネット配信の見分け方などを解説している。「YouTubeなどの動画投稿サイトの閲覧についても、その際にキャッシュが作成されるため、違法になるのですか」といった個別の事例についても、「違法ではなく、刑罰の対象とはなりません」との見解を示している。
また、「友人から送信されたメールに添付されていた違法複製の音楽や映像ファイルをダウンロードした」といったケースについては、「違法ではなく、刑罰の対象とはなりません」と回答。その理由として、違法ダウンロードは「自動公衆送信」を受信して行うダウンロードが対象で、友人が送信したメールはこれに該当しないためだと説明している。
このほか、違法ダウンロード刑罰化の対象となる「有償著作物等」の定義についても解説。具体例としては、CDやDVDとして販売されていたり、有料配信されている音楽や映画などが「有償著作物等」に該当すると指摘した。
ドラマなどのテレビ番組については、DVDとして販売されていたり、有料配信されていたりする作品は「有償著作物等」に当たるが、単にテレビで放送されただけで、有償で提供されていない番組は、「有償著作物等」に当たらないとしている。ただし、違法にネット配信されているテレビ番組をダウンロードすることは、刑罰の対象ではないものの違法。
文化庁ではさらに、違法ダウンロード刑罰化についてよくある質問を子ども向けにまとめた全7問で構成したQ&Aを公開。「そもそも違法ダウンロードとは何ですか?」や「違法ダウンロードは、なぜ悪いことなのですか?」といった根本的な内容も解説している。
個別のケースについても言及。「海賊版の音楽や映画を見たり聞いたりする」ことについては、海賊版と知りながら音楽や映画を録音・録画しなければ、「単に見たり聞いたりすることは、違法ではなく、刑罰の対象にもなりません」と回答した。
また、「個人で楽しむためにホームページ上にある写真や漫画を自分のパソコンにコピーする」というケースについては録画・録音に当たらず、「個人で楽しむ場合は違法ではなく、刑罰の対象になりません」としている。
違法にアップロードされた音楽・映像を違法と知りながらダウンロードする行為については、2009年の前回改正において、私的使用目的の複製の範囲外とされ、違法とされていたが、罰則は設けられていなかった。今回の改正では、このうち有償の著作物を違法ダウンロードする行為に対し、2年以下の懲役または200万円以下の罰金、あるいは併科と規定している。
関連情報
(増田 覚)
2012/7/12 20:06
-ページの先頭へ-