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「少数のファンから少し高いお布施を」Jコミが新型ビジネスモデルを実験


 株式会社Jコミは、同社が運営する絶版漫画の配信サービス「Jコミ」において、従来までの「広告収益モデル」とは異なる新たなビジネスモデル「JコミFANディング」のベータテストを15日正午から開始する。

 JコミFANディングでは例えば、同社社長の赤松健氏の作品「ラブひな」に10万円の目標額を設定した上で、赤松氏の「コミック未収録の読み切り作品」「記念サイン色紙」「下書き」などの特典を用意する。

 その上で、デジタル著作権管理技術(DRM)を付与せず、コピーが可能な「ラブひなパーフェクトPDFセット」の販売をサイト上で宣言。一口あたりの支援金額を設定し、一定の期間を設けて目標金額に達するまで出資を募る仕組み。

 一口の支援金額を2000円に設定した場合、50人が支援すれば目標金額の10万円に達する。その場合、支援者は「ラブひなパーフェクトPDFセット」のほかに、「コミック未収録の読み切り作品」「記念サイン色紙」「下書き」といった特典を受け取れる。

あらゆる端末でコピー可能なDRMフリーで作品を配布

 50人を超えた支援者が集まった場合は、目標金額の2倍までは支援を受け付ける。その場合、一口当たりの支援額を1000円に値下げするが、先着の支援者50人に後日届けられる赤松氏からの「直筆サイン入りハガキ」がもらえない。

 なお、指定した期間内に支援者が集まらなくても、商品は全員に配布される。「実際には限定版の予約に近い」(Jコミ)かたちだ。サイン入りハガキを希望しない場合は、最初から「1000円でハガキ無し」という選択も可能だとしている。

 DRMフリーのPDFで作品を配布することについてJコミは、楽天KoboやKindle、iPhone、PCなどどのような端末にコピーしても読めるのがメリットと説明。「Jコミが倒産したとしても」所有し続けられる「完全保存版」な商品だとしている。

 ただし、PDFには支援者の名前やメールアドレスなどを登録した「電子透かし」が施される。これにより、Winnyなどで流通することを防げるという。さらに、支援者は独占欲が発生するため、「逆にP2Pなんかに流したくはなくなってくる」とみている。

新モデルのヒントは「クラウドファンディング」と「ポッターモア」

 Jコミファンディングは、ネット上で不特定多数の人々に支援を呼びかけ、資金を支援者から調達する「クラウドファンディング」からヒントを得たもの。「少数の選ばれたファン層」から「少し高額なお布施」を集めるタイプのビジネスモデルだという。通常のクラウドファンディングは手数料が発生するが、Jコミでは収益を全額作者に還元する。

 また、「ハリーポッター」の電子書籍を販売するサイト「ポッターモア」も参考にした。ポッターの作品はDRMフリーで基本的にコピーは自由だが、電子透かしで購入者の個人情報が埋め込まれているという。

 Jコミでは14日、正式サービス開始から1年半で閲覧数が1000万を突破したことも発表した。


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(増田 覚)

2012/9/14 16:07