キングソフト、ステマ依頼を否定、「ありのまま」執筆してもらう意図と釈明


 キングソフト株式会社は14日、同社セキュリティソフトについての「ポジティブな評判形成」のために、ステルスマーケティング(ステマ)ともとれるような協力の依頼を、セキュリティ研究者の高木浩光氏に対して打診していた件について、公式コメントを発表した。ステマとの認識はなかったとしており、依頼文が誤解を招く内容だったことを謝罪している。

 この件は、高木氏が13日夜、キングソフトから届いたというメールの内容を、自身のTwitterアカウントで転載してつぶやいたことで広く知れわたった。

 同氏のツイートによると、キングソフトでは、同社製品に対する現在のネット上の評判が良好でないことや、すでに改善された機能についても、ネット上に残る過去の悪い評判からネガティブな印象を持たれてしまうことが課題だと説明。次期バージョンをリリースするタイミングで「ネット、ソーシャルでの良好な評判を形成したい」として、ブログやFacebook、Twitter、Yahoo!知恵袋などに執筆してもらうことで「ポジティブな評判形成」に協力いただけないか、可能であればセキュリティ企画を各媒体に持ち込んで提案していただけないか――とし、執筆料金も相談に応じるとされている。

 キングソフトでは、数十人の業界のオピニオンリーダーや著名ライターらに対して打診メールを送っていたことを認める一方で、「今後リリースが予定されている製品について、バージョンアップによる改善点や新機能などを、良い点・悪い点含めてありのままに執筆していただきたいと考えました」「新製品のありのままの姿を伝えていただく執筆依頼という意図でした」と説明している。

 高木氏がツイートした後、ネットではステマ依頼としてとらえられ、一気に話題となる。いわば「評判形成」の依頼にジョークで応じるで形で、キングソフト製品を褒めたたえるわざとらしいコメントが「#お金ください」「#振込待ってます」というハッシュタグ付きで多数ツイートされる祭りとなった。

 キングソフトでは、同社の意図とは異なる反響になったとして説明コメントを出すに至った。

 なお、高木氏がツイートした内容はメールの全文ではないという。ツイートされた部分を見る限りでは「ありのまま」を執筆してもらう意図だったとする釈明には難があるが、ツイートに転載されなかった部分で「良い点・悪い点含めてありのままに執筆していただきたい」という旨を明確にで示していたかとうかについて、キングソフトでは明言を避けた。あくまでも、新バージョンを使用してみて関心を持ったようであれば執筆していただきたい――という依頼であり、読み手によっては誤解を受ける内容だったとしている。また、今回の依頼はまだ企画段階だったため、実際にこの協力依頼をきっかけに、他の人物による評判情報の発信が行われた例もないとしている。


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(永沢 茂)

2012/9/14 16:24