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文化庁のeBooks実験、1カ月で「エロエロ草紙」1万1749ダウンロード

 文化庁は7日、「文化庁eBooksプロジェクト」で2月1日から3月3日まで行った電子書籍の配信実験のダウンロード数を発表した。

 このプロジェクトは、国立国会図書館が保有するデジタルアーカイブ(デジタル化資料)を電子書籍化して配信する実験を行うもの。権利者の捜索や著作権処理を擬似的に行って電子書籍を制作。実際の電子書籍書店を通じて配信することで、課題などを明らかにすることが目的だ。

 今回の実験では、デジタル化資料のアクセス数や館内閲覧実績などを踏まえて選定した8作品と、文化庁で実施する「現代日本文学の翻訳・普及事業」翻訳対象の5作品の、計13作品を用意。「紀伊國屋書店BookWeb」を通じて無料配信した(2月1日に7作品を配信開始、さらに2月8日に6作品を追加)。

 3月3日までの配信期間中のダウンロード数は、合計9万2517件だった。最も多かったのは酒井潔「エロエロ草紙」で1万1749件。次いで芥川龍之介「羅生門」の1万163件。

 エロエロ草紙は戦前の発禁本(1930年、竹酔書房)で、国会図書館のデジタル化資料におけるアクセス数ランキングでも人気のあるもの。2012年に5カ月連続で1位を記録したという。一方、羅生門は1917年の初版(阿蘭陀書房)で、「下人の行方は、誰も知らない」と結ぶ有名な末尾の文章が異なっている。

 実験の詳しい結果は、「電子書籍の流通と利用の円滑化に関する実証実験」の報告書としてとりまとめ、4月以降に公表する予定。

(永沢 茂)