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被災免れた異ベンダーの通信設備で“暫定光ネットワーク”構築するシステム

 独立行政法人情報通信研究機構(NICT)と株式会社KDDI研究所は19日、製造ベンダーが異なる光ネットワーク装置を協調動作させるための「ネットワーク統合制御管理システム」を開発したと発表した。

 東日本大震災が発生した際は地震と津波によって光ファイバーやネットワーク装置などの通信設備が多数損壊し、復旧までに長期間を要した教訓を受けて研究開発したもの。実用化されれば、災害時に損壊を免れた生残設備を利用て“暫定光ネットワーク”を構築することが容易となり、通信の早期復旧に貢献できるとしている。

 NICTらによると、光ネットワーク装置とその制御方式、コマンド類、管理機構などは製造ベンダーの知的財産やノウハウが盛り込まれた独自仕様になっているため、異なる製造ベンダー間では、光入出力インターフェイスが見かけ上同じで、実際に光の入出力ができたとしても、装置同士の協調動作はできないのが普通。そのため、通信事業者は同一ベンダーの装置群で複数のネットワークを構築し、それぞれの制御システムで別個に運用しており、製造ベンダーの異なる装置を用いて暫定ネットワークを迅速に構築することはこれまで実質的に不可能だったとしている。

 NICTらが開発したネットワーク統合制御管理システムは、光パス設計と光パス制御を行う「統合制御管理部」からの命令を、ミドルウェアで各ベンダーの装置の命令に変換した上で、それぞれのベンダーの制御システムを制御する仕組み。異なる製造ベンダーの2つのネットワークを接続して、これをまたがる光パスを設定し、コンテンツを配信する実証実験を行った。

「ネットワーク統合制御管理システム」の仕組み

 NICTとKDDI研究所では、同技術を通信事業者の管理システムにあらかじめ実装しておくことで、災害時の大きな備えになるとしている。今後、アラームを同時に管理する機能などを順次実装する予定だ。

 ネットワーク統合制御管理システムは、3月25日~26日に仙台で開催される「耐災害ICT研究シンポジウム及びデモンストレーション」において動態展示する。

(永沢 茂)