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フェイクニュースに適切な対処ができる高校生、前年度より増加~総務省「青少年のインターネット・リテラシー指標等に係る調査」

 総務省は6月27日、2024年度の「青少年のインターネット・リテラシー指標等に係る調査」(ILAS調査)の結果を公表した。

 ILASは「Internet Literacy Assessment indicator for Students」の略。同調査は、青少年のインターネット上の危険・脅威に対応するための能力とその現状等を可視化するため、これらの能力を数値化するテストを指標として開発されたもの。

 同調査のためのリスク対応能力のテストとして開発された「ILASテスト」と、インターネットなどの利用状況に関するアンケートを、2012年度から実施している。2024年度調査は2024年11月~2025年1月に全国の高校1年生を対象に実施され、30校から5314件の回答を得た。

ILASテストの結果はほぼ前年度と横ばい

 ILASテストの結果は、全体の正答率が71.5%となっており、前年度の正答率の71.4%からほぼ横ばいとなっている。リスクの分類別の正答率については、過大消費、依存、歩きスマホ、マナーなどの「不適切利用リスク」をたずねる問題の正答率が79.2%と最も高く、フィッシング、ネット上の売買などの「不適切利用リスク」をたずねる問題の正答率が63.1%と最も低かった。

ILASテスト結果
リスク分類別の年ごとの正答率比較

アンケートはリテラシー向上が伺える結果に

 アンケートでは、ペアレンタルコントロール、学校における取り組み、トラブル遭遇時の対応、生成AIの利用状況の、4つに関する調査が行われた。

 ペアレンタルコントロールの状況として、SNSなどのインターネット利用に関する家庭でのルールの有無をたずねた質問では、全体の53.4%が「ある」と解答しており、前年度の33.5%から大きく向上した。ルールの内容としては誹謗中傷の書き込みをしないなどの「発信情報の制限」が49.8%と最も多く、次いで「情報公開(個人情報)の制限」が45.4%と多くなっている。

家庭でのルールの有無・内容

 フィルタリングサービスだけでなく、OSの機能やサービスも含めたフィルタリングの利用状況では、全体の45.4%が「利用している」と回答した。

フィルタリング利用状況

 ペアレンタルコントロールの状況とILASテストの正答率の関係を調査すると、「家庭でのルールあり」かつ「フィルタリング利用あり」の場合の正答率が74.9%と最も高く、いずれもなしの場合と比較すると、5.2%高い正答率となっている。

家庭でのルール・フィルタリングとILASテスト結果

 学校における取り組みとして、インターネットを利用するにあたっての注意点や対応策について教わった内容をたずねた質問では、「偽・誤情報(フェイクニュース)」「ファクトチェック」「生成AI」の回答率が前年度より増加した。そして、学校でインターネットを利用するにあたっての注意点や対応策を教わった人の方が、ILASテストの正答率が高くなっている。

学校での学習内容および学習の有無とILAS結果

 トラブル遭遇時の対応に関連し、インターネット利用に際してのトラブルの遭遇状況をたずねた質問では、52.9%が「トラブルの経験はない」と回答しており、前年度の54.7%から減少した。遭遇したトラブル内容としては、「迷惑メールを受け取った」との回答が25.7%と最も多く、「インターネットの長時間利用により睡眠不足になった」の23.8%、「偽・誤情報(フェイクニュース)に遭遇した」の13.2%と続く。

トラブル遭遇状況

 偽・誤情報(フェイクニュース)に遭遇した際の対応をたずねた質問では、58.4%が「『他ではどう言われているか』をチェックした」と回答した。「『他ではどう言われているか』をチェックした」および「『情報源』をチェックした」「『画像等が本物か』をチェックした」との回答率がそれぞれ前年度から増加しており、調査結果では、フェイクニュースに遭遇した際の適切な対応をとれる人が増加したと分析している。

偽・誤情報(フェイクニュース)遭遇時の対応

 生成AIの利用状況をたずねた質問では、40.1%が「使ったことはない」と回答した。使ったことがある生成AI(生成AIの用途)としては、「文章の作成」が35.6%と最も多く、「わからないことを調べる」の33.3%、「チャットボットと会話する」の33.3%と続く。

 生成AIのイメージをたずねた質問では、「学習効率や効果があがる」が33.6%と最も多く、「新たな発見がたくさんできる」の30.1%、「人の仕事を奪う」の24.6%と続く。

生成AIの利用状況