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So-net、“世界最速”最大2GbpsのFTTHサービス「NURO 光」~月額4980円から
(2013/4/15 14:41)
ソネットエンタテインメント株式会社(So-net)は15日、通信サービスの新たなブランド「NURO」を発表するとともに、FTTHの新サービス「NURO 光」の提供を開始すると発表した。提供エリアは、関東1都6県。戸建て住宅および2階建て以下の集合住宅を対象に同日より受付を開始した。
NURO 光の最大通信速度は、下り2Gbps/上り1Gbps。個人宅向けの商用FTTHサービスで2Gbpsは世界最速だという。なお、この下り2Gbpsとは、NURO 光用に開発した宅内終端装置(ONU)のWAN側インプットの数字だ。LAN側は、1Gbpsの有線LAN×3ポートのほか、最大450Mbpsの無線LAN親機機能(IEEE 802.11a/b/g/n、2.4GHz/5GHz)を標準装備。1つのインターフェイスで2Gbps出るポートはないため、これらに同時接続したPC、スマートフォン/タブレット、テレビ、ゲーム機などの通信速度の合計が最大2Gbpsということになる。
月額料金は、2年継続契約/2年ごと自動更新の「NURO 光 G2 V」が4980円(更新月以外に解約やコース変更をすると、契約解除料9975円が発生)。このほか、継続契約期間が設定されていない月額7480円の「NURO 光 G2」もある。最大5台のWindows、Mac、Android端末で利用できるセキュリティサービス「マカフィー マルチ デバイス セキュリティ」も月額料金内で提供される。
初期費用は、契約料が840円、基本工事費が3万1500円だが、基本工事費は1050円×30カ月の分割払いとなる。
オプションサービスとして、IP電話サービス「NURO 光 でんわ」も用意。月額基本料金525円で、全国の一般固定電話へ8.4円/3分で発信できるほか、NURO 光 でんわ同士やソフトバンクグループの「BBフォン」などの提携電話サービスとは無料通話が可能だ。番号ポータビリティに対応しており、NTTの一般加入電話で利用している番号をNURO 光 でんわでそのまま利用することも可能だ。
ソフトバンクの「BB割」にも対応しており、ソフトバンクモバイルのスマートフォンとNURO 光 でんわをセットで利用すると、ソフトバンクモバイルの月額料金(スマートフォン、iPhone、iPad)から月額1480円×最大2年間割引される。また、「ホワイトコール24」にも対応しており、NURO 光 でんわの契約者が家族のソフトバンク携帯電話を登録することで、自宅のNURO 光 でんわから全ソフトバンク携帯への国内通話と、登録したソフトバンク携帯電話から全NURO 光 でんわなどのIP電話への通話が無料になる。
So-netではこのほか、4月15日から5月31日までの期間、NURO 光 G2 Vに新規入会またはコース変更する先着5000名を対象に、キャッシュバックや月額料金割引を行うトライアルキャンペーンを実施する。So-netのウェブサイト・電話・入会申込書からの申し込みで1万5000円、さらにNURO 光 でんわの同時申し込みで5000円をキャッシュバックする。また、月額基本料金を最大2カ月無料にするほか、基本工事費の分割払い料金に相当する月額1050円×29カ月間割り引く。あわせて、解約時の契約解除料と基本工事費の残額も免除する。
アクセス回線にGE-PONではなくG-PONを採用、低価格と高速化を実現
NURO 光では、加入者収容局からユーザー宅の終端装置までのアクセス回線部分の伝送規格として、G-PON(Gigabit capable Passive Optical Network)方式を採用しているのが特徴。
So-netによると、同規格の物理帯域は下り2.44Gbps/上り1.25Gbpsであり、フレッツ 光など国内で一般的なGE-PON(Gigabit Ethernet Passive Optical Network)方式の下り1.25Gbps/上り1.25Gbpsと比較して下りが広帯域。
さらに、データ伝送時におけるヘッダーなどのオーバーヘッドを除くデータ本体の占める割合(有効帯域率)は、GE-PONが72%なのに対してG-PONは92%と、3割近く効率がいいこともあわせて、下りのスループットが従来の国内の一般的な回線と比べて約2.5倍に向上するという。
また、グローバルで見れば普及している技術のため、機器が低価格で調達でき、高速化だけでなく、サービスの低廉化にもつながっているという。
なお、下り2Gbps/上り1Gbpsというのは、このG-PON方式による加入者収容局からユーザー宅までのアクセス回線部分のスペックだ。NURO 光のサービスではこれを複数加入者で共有するかたちとなる(共有数は非公表)。
NUROブランドではNURO 光のほか、NTTドコモのネットワークを利用したモバイル通信サービス「NURO LTE」や、法人向けソリューションサービスとしてソネットビジネスアソシエイツ株式会社が提供する「NURO Biz」も発表された。
15日に都内で開催された発表会では、So-net代表取締役社長の吉田憲一郎氏が、新サービス投入の背景などを説明した。
吉田氏によると、最大2Gbpsの高速かつWi-Fi標準装備のFTTHサービスを提供するに至った背景には、コンテンツのリッチ化、オンデマンドの進展、デバイスのWi-Fi化――という3つのインターネット環境の変化がある。
コンテンツのリッチ化に関しては、まず、スマートフォンなどでも動画視聴が普及していることがあるという。動画はウェブ視聴や音楽のダウンロードなどに比べて圧倒的に容量が大きいため、ユーザーからすればモバイル通信サービスのパケット上限に簡単に達してしまうという懸念がある。一方で、ISP側からも無線通信インフラの帯域のひっ迫をもたらすことになる。吉田氏はまた、スマートフォン/タブレットが最も利用されるのはユーザーの宅内でもあるとし、宅内でスマートフォン/タブレットの通信をWi-Fiにオフロードする必要性が、ユーザー側/ISP事業者側にあるとした。
コンテンツのリッチ化では、当然ながらデータ容量も大きくなる。吉田氏は、HD映像コンテンツの提供は、まず地デジ放送で2003年に開始され、追ってその約4年後にインターネットのHD映像の配信がスタート。現在ではストリーミングでもダウンロードでもHDがごく一般的になっているとした。さらにソニーが液晶テレビ「BRAVIA」において、フルHDの4倍の解像度を持つ4K対応モデルの新製品を発表したが、吉田氏は、この4K映像コンテンツが放送からインターネットへと来るまでの時間差は、HDの時よりもはるかに短くなると指摘。こうしたテレビが今後、インターネットに接続されるという観点から、自宅の高速回線とWi-Fiの役割が大きくなるとした。
ゲームについても、パッケージからオンラインへのシフトが起こりつつあるとし、プレイステーションのタイトルでは20GB近い容量のものがあるほか、グループ会社であるゲームポットが提供するPC向けオンラインゲームや、スマートフォン向けのゲームでも最近は2GB近くある本格的なタイトルが登場しているという。
2点目のオンデマンドの進展に関しては、通信サービスで提供するエンターテインメントコンテンツの役割について、ユーザーが見たい時/楽しみたい時にストリーミング/ダウンロードでユーザーの欲求に応えられるよう提供することが、放送とは異なる通信・ネットワークの役割だとした。また、3点目のデバイスのWi-Fi化は、スマートフォンやタブレット、PCなどで加速化しているが、前述のテレビでも重要になるとしている。
新しいサービスブランドのNUROとは、情報伝達をつかさどる神経細胞「ニューロン」に由来する。「無数のネットワークをはりめぐらせ、人と人、そして世界とを加速度的につないで、これまでに体験したことのない感動を生み出してゆく、通信の新しい未来を表している」という。吉田氏は、「家族全員が有線・無線と言わず、さまざまなデバイスを活用して感動を共有する」という「新しい価値の提供」を実現するのが、NURO 光だとした。
【記事更新 2013/4/16 13:25】
G-PON方式についての説明部分を加筆しました。