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Facebook主導のOCPがオープンソースのネットワークスイッチ開発へ

~OS非依存、オープンソースのToRスイッチ

 The Open Compute Project(以下OCP)は8日、仕様を公開し、かつオープンソースのOS非依存なトップオブラック(ToR)スイッチを開発するプロジェクトを開始したと発表した。

 OCPでは、主にデータセンターで使用されるサーバーやストレージなどのハードウェアを設計し、仕様を公開する活動を続けている。

 新プロジェクトは、FacebookのネットワークエンジニアリングチームのリーダーであるNajam Ahmad氏が努める。OCP代表のFrank Frankovsky氏は公式ブログでプロジェクトの目的について「オープンで、OSに依存しないトップ・オブ・ラックスイッチの仕様およびリファレンスボックスの開発に注力する」と説明した。

 なお、トップ・オブ・ラック(ToR)スイッチとは、特にデータセンターなどでラック上部に設置し、ラック間を接続するための特殊なスイッチを指す。

 プロジェクトを開始した理由についてOCPのFrankovsky代表は、「我々は、よりスマートでスケーラブルで、より効率的なデータセンター技術を設計し構築するために活動している。しかし、我々はそれらを外の世界に接続し、大規模に展開するために、ブラックボックスのスイッチを未だに使用している。使用者はそこで動作するソフトウェアを変更、交換することができない」と指摘した。

 過去に似た試みがなかったわけではない。米Googleは早くも2007年に、Google社内のデータセンターで使用するためのスイッチを外注しようとし、その特殊に設計された仕様を公開し、製造メーカーを公募したことがあった。しかし応募するメーカーがなく、現在は社内で必要なハードウェアを内製しているとされる。

 こうしたことから、Sun Microsystemsの共同創業者の1人であり、伝説的なエンジニアでもあるAndy Bechtolsheim氏が、スケール可能で、ハイパフォーマンスなネットワークスイッチを開発するベンチャーを設立。現在はそれを引き継ぐArista Networks社の会長となり、同社製品は多くのデータセンターで使用されている。

 今回のプロジェクトは、これまでのサーバーやストレージ等のプロジェクトと進め方に若干異なる点がある。これまではリファレンスデザインとなるハードウェアを発表、もしくは寄贈を受けた後にプロジェクトが開始されていた。しかし今回は、ハードウェアの設計を始める前に、ユーザーからの要望をまとめることにしている。

 今回OCPで開発されるToRスイッチはOSに依存しない。現在のスイッチで使用されているOSはいずれもプロプライエタリなOSだ。例えば有名なCiscoはIOSを、Arista NetworksはEOSを、Juniper NetworksはJunosを使用している。そのため、プロジェクトはこうした企業の戦略にも大きな影響を与える可能性がある。

 現時点でプロジェクトに名前が挙がっている企業は、Big Switch Networks、Broadcom、Cumulus Networks、Facebook、Intel、Netronome、OpenDaylight、The Open Networking Foundation、VMwareだ。これらの企業は「参加を検討している」とされている。

 またCiscoは直接的に名前は挙がっていないが、OpenDaylightやThe Open Networking Foundationには参加している。

 ネットワークスイッチは、これまでプロプライエタリな部分が多い世界だった。「ブラックボックス」と評される所以である。しかしOCPのこのプロジェクトが成功を収めた場合、サーバーやストレージと同じように、ネットワークスイッチの世界もコモディティー化する可能性は十分にある。

(青木 大我 taiga@scientist.com)