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米Yahoo!が米Tumblrを11億ドルで買収〜Tumblrは別サイトのままCEOも続投

 米Yahoo!は20日、米Tumblrを現金11億ドルで買収することで最終合意に至ったと発表した。

 Yahoo!はプレスリリースの中で、Tumblrを「台無しにはしない」と繰り返し強調、Tumblrを独立した別個のビジネスとして存続させると約束している。Tumblr創業者でCEOのDavid Karp氏は続投する。

 Tumblrは特に若い年齢層に人気のあるブログ、ソーシャルメディアサイト。毎月のユニークビジター数は3億を超え、毎日の登録者数は12万。毎秒900エントリーが投稿され、ユーザーの毎月滞在時間は240億分。これまでの総エントリー数500億とされている。美しいサイトデザインが特徴で、クリエイターや若者層に人気があり、モバイルアプリからの利用も多い。

 発表によると、買収によるYahoo!のメリットとして、Yahoo!のオーディエンスを50%、トラフィックを20%伸ばすことができ、結果Yahoo!のビジター数は毎月10億になると見込む。

 これまでYahoo!CEOのMarrisa Mayer氏は「Yahoo!の未来はモバイル」と強調していただけに、モバイルに強みを持つTumblrは魅力的だ。また老舗ポータルサイトのYahoo!は比較的高年齢層に強みを持っているが、若年層に人気のTumblrはこのオーディエンスを補完し合う関係とも言える。Mayer氏は「Tumblrのクリエイター、キュレーター、全年齢層のオーディエンスにおける絶大な人気は、Yahoo!のネットワークに重要な新しいユーザーのコミュニティをもたらすことになる」とコメントしている。

 買収によるTumblrのメリットとして、Yahoo!のパーソナライゼーション技術や検索インフラを活用でき、Tumblrユーザーはクリエーター、ブロガー、コンテンツの発見を助けられる。また収益化に関しては、「両社はまた、シームレスなユーザーエクスペリエンスを向上させる広告機会を創造するため、一緒に取り組んでいく」と説明した。

 この収益化の問題はTumblrにつきまとっている。特に買収金額の大きさを考えるとなおさらだ。

 買収金額の現金11億ドルは、Mayer CEOが2012年7月に就任して以来最大の買収案件となる。Tumblrはニューヨークに本社を持つ非公開企業でこれまで財務状況を開示していないが、米Forbes誌など複数メディアが報道したところによると、2012年の売り上げは1300万ドルと推定されている。Tumblrのポテンシャルを考慮すれば、この数倍は可能だと考えられてはいる。それでも、Yahoo!の規模からすれば微々たる収入のTumblrに対しては過大だとの見方も生じる。

 Tumblrはこれまでほとんど広告表示をせず、収益化はまだ端緒についたばかりだ。最近になってTumblr Radarにて一部広告表示を開始している。これは創業者David Karp氏の考え方から来るもので、それがTumblrコミュニティーに取っては代えがたい価値となっている。

 Tumblrに初期投資をしたSequoia Capitalはこの買収に伴ってコメントを発表したが、その中でTumblrの広告に対する考え方について、「Tumblrは伝統的なウェブ広告に抵抗した。常にビジョナリーだったDavidは、広告もまたエクスペリエンス全体と同じくらい魅力的に見える方法があるはずだと感じていた。最終的に、Davidが言うところによれば、「賞を獲得するような広告を作成するための場所とキャンバス」を代理店に与えるという独特のアプローチを思いついたのだ」と説明している。

 Yahoo!の紫のイメージやバナー広告を見るときに、Tumblrユーザーの不安は大きい。それだけに発表で「シームレスなユーザーエクスペリエンスを向上させる広告機会を創造する」と述べたこの取り組みが、買収の成否を左右すると言えそうだ。

 率直な物言いで知られるDavid Karp氏は、買収に伴うコメントで、「これがどれくらいものすごいか触れる前に、どんな懸念であろうとも和らげさせてほしい。我々は紫になることはない。我々の本社が引っ越すことはない。我々のチームが変わることはない。我々のロードマップが変わることはない。そして、我々の任務、つまりは最高の作品を作るためにクリエイターに力を与え、それに値する観衆の前に披露してもらうということ、は確かに変わることはない。」と述べ、コミュニティーの不安払拭に努めている。

(青木 大我 taiga@scientist.com)