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Android版「Google マップ」が一新、iPhone版っぽく、タブレットにも最適化

 米Googleは10日、「Google マップ」Andorid版アプリの新バージョンを発表した。ユーザーインターフェイス(UI)を一新したほか、周辺の人気スポットを簡単に検索できる機能を新たに搭載した。Android 4.0.3以上に対応しており、Google Playから無料でダウンロードできる。また、Android 4.0.3以上の対応端末を対象に、今後数週間にわたって順次アップデートを適用していく。

「Google マップ」Andorid版アプリの従来バージョン(左)と、新バージョン(右)。写真のタブレット版UIでは、メニューは地図画面の左上から内側に引き出すかたちに変更された(スマートフォン版UIでは左下から)

 UIは、昨年12月に公開されたiPhone版アプリと統一化。画面上からは、検索ボックスやレイヤーなどを選択するメニューアイコンなどが並んだツールバーの領域が消え、画面全体に地図を表示し、上部に検索ボックスだけを配置するシンプルなデザインとなっている。

 iPhone版ではまだ行われていないタブレット端末への最適化も行った。7インチ以上の画面の端末でタブレット版のUIを使用するようになっており、経路検索結果と地図を同時に表示するなど、大画面ならではの使い勝手のよさを実感できる。これまではタブレット端末で表示しても、単に地図部分が広く表示され、スマートフォンと同一のUIで使うかたちだったという。

経路画面の比較。スマートフォン版UI(左)とタブレット版UI(右)

 さらにiPhone版ではまだ実装していない新機能として、「周辺のスポット」機能を日本、米国、英国、ドイツ、フランス、イタリア、スペインの7カ国で提供を開始した。例えば近くの飲食店などを探す場合、従来は検索ボックスに「ラーメン」などど入力して検索する必要があったが、新バージョンでは、カテゴリーを辿って簡単に人気スポットを探せるようになった。

 具体的には、検索ボックスをタップすると、検索履歴などとともに、写真を背景にした「周辺のスポット」という大きなカードが表示される。これをタップすることで、さらに「食べる」「飲む」「買う」「遊ぶ」「泊まる」というカードが表示され、カテゴリーを辿って目的のスポットを検索できる。検索結果は、表示している地図のエリアに追従して絞り込まれる仕組み。

検索ボックスをタップして表示される情報。従来バージョン(左)と新バージョン(右)
「周辺のスポット」のカテゴリーごとのカード
検索したスポットの情報シートの例

 これら「周辺のスポット」としてリストアップされる情報は、「Google+ローカル」(旧プレイスページ)からのもので、店内の写真や「ストリートビュー」、店内の360度パノラマ写真の「おみせフォト」、そのスポットについての口コミ投稿情報なども参照できる。また、自身でもそこから情報の投稿やスポットの評価をしたり、そのスポットをお気に入り登録しておくことなども可能だ。

 また、これら各スポットの情報シートには、電車アイコンが表示され、その横にはユーザーの現在地からの移動時間も表示。アイコンをタップすれば、乗換案内の検索結果画面が表示される。各駅の情報シートでは路線別の時刻表などを参照できるほか、リアルタイム交通状況なども表示できるため、メニューやページをあちこち移動することなく、スポットの検索からそのスポットの情報の閲覧、経路検索まで、実際の利用の流れに沿ってGoogle マップ上ですべて行えるとしている。

検索したスポットへの経路検索結果画面

 「食べる」カテゴリーを詳しく見ると、さらに「レストラン」「居酒屋」「ラーメン」「ファミリーレストラン」「ファーストフード」といった飲食店の種類や、「旅行者に人気」「地元で人気」「サークルから」といったカテゴリーから絞り込んでいける。ユーザーが自身のプロフィール情報に登録している自宅や職場とは離れたエリアで検索すると、ユーザーが不慣れなエリアであると判断し、「旅行者に人気」「地元で人気」といったカテゴリーのカードを上部に表示する仕組みもある。また、「サークルから」は、ユーザーが参加しているGoogle+のサークルからの情報を反映したもの。グーグル株式会社によると、Google+には焼き肉屋好きのサークルなど食べ物関連のコミュニティが多くあるため、自身の好みの食べ物系サークルに参加していれば、「周辺のスポット」でも自身の好みに近いスポットの情報が効率的に得られるようになるという。

 UIの刷新や新機能の追加などを行った一方で、新バージョンから無くなった機能もある。まず、位置情報の共有機能である「Latitude」は取り除かれており、これはGoogle+側の「場所」機能に移行する。位置情報を共有するのは家族や知人などの親しい人やサークルの中の人同士であるため、Google マップよりもコミュニティ/ソーシャル系アプリであるGoogle+に搭載している方が使い勝手がいいのではないかと判断した(2013年7月11日付の関連記事を参照)。

 このほか、任意のエリアの地図データを端末内の保存しておける「オフラインマップ」機能も無くなった。ただし、保存したいエリアを見ながら、検索ボックスに「OK Maps」と入力することで、後からも見られるようになるとしている。また、「マイマップ」機能が今回のバージョンアップで一時的に無くなったが、今後のアップデートでの提供を予定しているという。

グーグル株式会社プロダクトマネージャー/Googleマップ製品開発担当部長の牧田信弘氏

 昨年12月にGoogle マップのiPhone版アプリが復活した際は、UIの大きな変更により、Android版と使い勝手が大きく変わってしまった点も指摘されていた。今回のAndroid版のバージョンアップにより、同一の地図プロダクトが統一されたUIで利用できるようになったほか、まだiPhone版には実装されていない「周辺のスポット」機能やタブレット対応など、Android版が一歩進むかたちとなった。Googleによると、近日中にiOS版もiPhone/iPad向けにアップデートし、Android版と同じ機能を使えるようにするとしている。

(永沢 茂)