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ネットバンク不正送金被害、7カ月で3億6000万円、基本的なウイルス対策を

 インターネットバンキングの不正アクセスによる被害の多発を受け、一般社団法人日本インターネットプロバイダー協会(JAIPA)は26日、インターネットユーザーに向けた「インターネット利用における基本的なウイルス対策の実施のお願い」と題したページを同協会の公式サイトで公開した。

 インターネットバンキングにアクセスする際に入力したID・パスワードが窃取され、それらのID・パスワードを第三者が使って他人名義の口座へ送金する不正アクセス事案が多発。2013年に入ってからの被害は7月末時点で398件に上り、被害総額は約3億6000万円に達するという。すでに2012年の1年間の被害総額である約3億800万円を上回っており、深刻な状況にある。

 JAIPAでは、このような不正アクセスは、PCなどのウイルス感染などが原因となっていることが多いと説明。インターネットユーザーは未然の被害防止のために基本的なウイルス対策を徹底する必要があるとして、ウイルス感染が疑われる症状や事象、ウイルス感染を確認するチェックリストを示した上で、ウイルス対策の手法やポイントをまとめている。

 このほか、インターネットバンキング以外の不正アクセス被害として、複数のサービスで同じID・パスワードを使い回しているアカウントを狙った、いわゆる“リスト型攻撃”による不正ログインが多発していることにも言及。

 ID・パスワードの使い回しは、それらを忘れてしまってサービスを利用できなくなる可能性を低くする一方で、「使用しているID・パスワードがひとたび盗まれてしまうと、そのID・パスワードによって他のサービスも不正に利用されるリスクや、サービスに登録されている個人情報等が盗まれてしまうリスクが高まる」とし、「このような被害から身を守るためには、ID・パスワードが盗まれた際のリスクを認識し、守りたい情報の重要度に合わせて、適切な管理を心がける必要がある。例えば、クレジットカード情報などが登録されているサービスについては、特に異なるID・パスワードを使うようにするなどが考えられる」としている。

 インターネットバンキングの不正送金事案の多発を受け、総務省では8日、ユーザーに対して基本的なウイルス対策を講じることを周知するよう、電気通信事業者団体に対して協力を要請していた。JAIPAと同様のお願いを、一般社団法人テレコムサービス協会でも公開している。

(永沢 茂)