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Evernoteアプリの先にあるもの――スキャナー、手帳、財布から靴下まで
モノ系通販サイト「Evernote Market」を立ち上げた理由
(2013/10/2 14:12)
米EvernoteのCEOであるフィル・リービン氏が来日し、10月1日に東京都内で記者発表会を開催した。同社は9月27日、世界のメーカーとコラボレーションしたグッズを販売する「Evernote Market」を公開したばかり。クラウドサービスやアプリなどデジタルプロダクトを提供するEvernoteが、なぜ“モノ”(フィジカルプロダクト)の提供を始めたのか、その理由などを説明した。
Evernote Marketでは当初、15アイテムを取り扱う。手書きのメモなど紙に書かれた情報をEvernoteに取り込むことを想定したモレスキンのノートや、PFUのドキュメントスキャナー「ScanSnap」といった、Evernoteサービス/アプリとの連携製品はもちろんのこと、Adpointのスタイラスペンなどの周辺製品、さらにはバッグや財布、水筒、Tシャツ、靴下まで、直接連携するわけではないプロダクトもラインナップしているのが特徴だ。
リービン氏は、「デジタルとフィジカル、コンシューマーとエンタープライズの間の境界線は今後消えていくだろう」との仮説に基づいてEvernoteでは事業展開していると語り、Evernote Marketのベースにもこの考え方があるという。
モレスキンとはすでに昨年より協業してコラボレーション製品を投入しているが、リービン氏は、ナレッジワーカーの作業はノートをとるだけではないと説明。「ナレッジワーカーのためにアプリの先にあるもの目指す。ナレッジワーカーの生活をよりよくするために必要な製品を届けたい」とし、ソフトウェアだけを開発してきた従来の考え方を改め、身の回りの物理的なモノの融合を考え始めたという。
とはいえ、ナレッジワーカーに“外部脳”を提供し、よりスマートな生活を送ってもらうというEvernoteの目標は同社1社では実現できないため、ハードウェアメーカーやファッションメーカーなどとコラボレーションしていくこととなった。Evernote Marketでは、前述のモレスキンやPFU、Adpointのほか、リュックやタブレット端末用スリーブケースではフランスのコート・エ・シエル、PCバッグや財布では日本のabrAsus(アブラサス)などと協業。また、靴下は、世界最高性能だという日本製となっている。
記者発表会には、「ScanSnap Evernote Edition」で協業した株式会社PFUの代表取締役社長である長谷川清氏やabrAsusブランドを展開するバリューイノベーション株式会社の代表取締役である南和繁氏らも登場。長谷川氏は、Evernoteにすべての情報を記録し、いつでもどこでも気軽に使えるようにしたいという目標は、EvernoteとPFUで同じだったとし、紙とデジタルをつなげる入り口として作り込んだのがScanSnap Evernote Editionだとした。
ScanSnap Evernote Editionでは、書類や名刺、レシート、写真を自動認識し、Evernoteの最適なノートブックの中に振り分けてくれる新機能を備えている。長谷川氏によると、PFUではスキャナーメーカーとしてこれまで多くの機能を搭載することがユーザーにとっていいことだと考えがちだったが、ユーザーがやりたいことにフォーカスし、それをシンプルに実現することでより使いやすくなるということをEvernoteとの協業により学んだと説明。紙の世界とデジタルの世界をいかに簡単につなげるか、本当にEvernoteユーザーのためを考えて作った製品だとした。