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電子書籍リーダーに含まれるDRMソフトでPCがフリーズ、BookLive!やDMMで影響

特定環境で発生、提供元のサイファー・テックが暫定修正ファイル配布

 株式会社BookLiveは16日、電子書籍ストア「BookLive!」で提供中のWindows向け閲覧用ソフト利用時に不具合が発生する可能性があると発表した。「BookLive!Reader for Windows PC」をインストールしたPCで特定の別ソフトを使用すると、OS全体がフリーズする、さらにはフリーズ直前に書き込みを行っていたファイルの内容が破損する場合があるという。暫定的な修正ファイルをすでに公開中だが、さらなる対応を引き続き実施していく。

サイファー・テックによる特設ページ

 BookLiveの発表によると、今回の問題の原因となっているのはBookLive!Reader for Windows PCに含まれている、サイファー・テック株式会社製ソフトウェア。これはDRMを目的としたもので、具体的には「cymon.sys」という名称のファイルに起因するという。iOSおよびAndroidアプリでは問題が発生していない。

 サイファー・テックの特設ページの解説によれば、cymon.sysがインストールされた状態で「Microsoft Visual Studioでのデバッグ実行中に比較的ファイルアクセスの多い処理を実行する」あるいは「CyberLink PowerDVDでBlu-rayディスクを再生する」ことで問題が発生。マウスカーソルを動かす以外の操作が不可能となり、強制的な電源オフ以外に回復手段がなくなる。

 このほか、動作停止時に、直前に書き込みを行っていたファイルが破損する(0で埋められてしまう)という問題も報告されているが、こちらは再現性確認のために調査を引き続き行っている。

 暫定的な対策として、修正ファイルがすでに公開されている。適用するとcymon.sysが更新され、Windowsの完全な再起動を実施することにより、「インストールしているだけで問題が発生する」という状況は回避される。ただし、電子書籍を再度閲覧する場合、問題が再発しうるとしている。なお、BookLive!Reader for Windows PCを最新版にアップデートすることでも、同修正ファイルが適用される。

 問題の原因となるDRM技術はBookLive以外の製品でも採用されており、株式会社DMM.comが提供する「DMM電子書籍ビューア」やサイファー・テック社製「CypherGuard PDF」利用時にも、今回の問題が発生する可能性がある。これらの環境においても、暫定修正ファイルを適用することができる。

 DMM.comでも17日、この不具合についての告知ページを開設。サイファー・テックが配布している暫定修正ファイルを案内するとともに、引き続きサイファー・テックと連携して恒久的な改善策を講じていくとしている。

 なお、Mac版のDMM電子書籍ビューアや、スマートフォンアプリ「DMM Books」、ブラウザー視聴ではこの不具合は発生しないとしている。

 サイファー・テックでは今回の問題を特定環境で発生しうる不具合としており、「一部のブログやSNS等で記載されているような、不正かつ有害な動作を行う意図で作成されたマルウェア等に類するものではございません」とのコメントも発表している。

【追記 20:35】
 DMM電子書籍ビューアを提供するDMM.comも17日付でこの不具合について告知したことを受け、同社の情報を追加しました。

(森田 秀一)