INTERNET Watch 30周年

【1998年のINTERNET Watch】長野五輪公式サイトが当時のギネス記録! 不正アクセスや違法MP3に対する動きも

1998年の出来事

 1998年(平成10年)2月に、長野オリンピックが開催された。日本選手の活躍では、原田雅彦選手、船木和喜選手らのスキージャンプ、里谷多英選手のフリースタイルスキー(モーグル)などの活躍が大々的に報道されたが、オリンピックは、大会運営や情報発信などにおいて、最新の通信技術が活躍する場にもなっており、INTERNET Watchでも関連ニュースを報じている。

 FIFAワールドカップに、日本が初出場したのもこの年(フランス大会)。野球も国内外で盛り上がり、プロ野球セ・リーグでは横浜ベイスターズが38年ぶりのリーグ優勝を成し遂げ、日本一に。高校野球では、松坂大輔投手を擁する横浜高校が春夏の大会を連覇した。そして、大リーグでは、マーク・マグワイア選手とサミー・ソーサ選手のホームラン王争いが話題となった。流行語大賞は、横浜ベイスターズの佐々木主浩投手のニックネームである「ハマの大魔神」。

 「平成」の元号を発表した人としても知られる小渕恵三氏が、自民党総裁・総理大臣となった年でもある。この年の新語・流行語大賞トップテンには政治・経済関連の言葉が多く、総裁選に立候補した小渕氏と梶山静六氏、小泉純一郎氏の3氏を田中真紀子氏が評した「凡人・軍人・変人」、前年からの金融機関の破綻などに象徴される不況下での「貸し渋り」「モラル・ハザード」「日本列島総不況」、小渕氏を評した「冷めたピザ」「ボキャ貧」が入っている。

 この年の9月には、Googleが設立されている。INTERNET Watchで現在確認できる最も古いGoogleに言及したニュースは、1999年6月のNetscapeがGoogleと提携した新しい検索サービスを公開したというもの。1999年9月にはGoogleの正式サービス開始を報じている。

2026年2月に30周年を迎えたINTERNET Watchは、1996年2月に有料メールマガジンとして創刊し、1997年1月にウェブサイトを開設した。ここでは2026年の視点から1998年の記事を10本取り上げ、当時を振り返る。

1. 長野五輪公式サイトのヒット数がギネス記録に

長野オリンピック公式サイト ヒット数でギネスブックに登録

 長野オリンピックの公式サイト「1998 Nagano Olympic Winter Games」のヒット数が、当時の世界記録としてギネスブックに認定された。2月7日~22日の期間中の総ヒット数は約6億3500万。インターネット白書1998では、「技術もまた、長野で金メダルを獲得した」とのIOC事務総長のコメントを記録している。

 長野オリンピック冬季競技大会組織委員会(NAOC)が公開したオリンピックの情報システムの記事なども、当時のINTERNET Watchで公開している。

2. 「不正アクセス禁止法」に向けた議論始まる

警察庁、不正アクセス対策立法を提言

 3月に、不正アクセスによって他人になりすましたり、詐欺や破壊行為を行ったりする悪質巧妙な事例が増えているとの報告書を警視庁情報システム安全対策研究会がまとめた。現在の不正アクセス禁止法(不正アクセス行為の禁止等に関する法律)につながるもので、11月には郵政省が素案を発表、1999年4月に法律案がまとまり、8月に公布、2000年2月に施行された。

3. 「違法MP3サイト」撲滅に向けた動き

JASRACなど6団体、「違法MP3サイト狩り」を本格化

 12月、日本音楽著作権協会(JASRAC)らで構成される「デジタル問題対策会議」が、「違法MP3ファイル撲滅プロジェクト」を発足。独自に開発した検索エンジンを利用した、違法サイトの情報収集を開始した。音声ファイルは、高速通信ができない時代でも高音質のデータを小さなサイズに圧縮して送受信可能だったため、インターネット普及初期から違法なデータの流通が問題化していた。

 同年8月には日本レコード協会が違法MP3コンテンツの排除を要請、海外では10月に米国レコード産業協会が携帯用MP3プレイヤーの販売会社にクレーム、といった動きもあった。

4. 初期の人気メッセンジャーアプリ「ICQ」が日本語化可能に

Windows版ICQの日本語化ソフトが登場

 インターネット黎明期のメッセンジャーアプリとして知られる「ICQ」Windows版を日本語化できるソフトウェアが公開されたというニュース。ICQは1996年に公開され、友達の一覧から選んでメッセージをやり取りでき、一覧にはステータス(離籍中、作業中、など)が表示されるなど、今のメッセンジャーアプリに通じる機能を備える。

 ICQは同年6月にAOLに買収された。2016年にはICQの20周年を報じている。2024年、ICQはサービスを終了した。

当時のICQのスクリーンショット「Windows版ICQの日本語化ソフトが登場」より

5.プライバシーマーク運用開始

「プライバシーマーク」申請受付

 個人情報の保護について一定の基準を満たしていることを認定するプライバシーマーク(Pマーク)制度の運用が4月に開始。申請受付が開始された。

6. 長野県川中島町でxDSL公開実験、五輪情報など提供

オリンピック選手村のある長野市川中島町でxDSL公開利用実験開始

 長野オリンピック期間中に、選手村がある長野県川中島町でxDSL(x Digital Subscriber Line:電話線など銅線を利用した高速通信技術の総称)の公開利用実験が行われた。使われた回線網は地域の有線放送電話施設のもので、「有線放送電話網とは、昭和30年代から主に農山村地域での通信媒体として利用されているもの」と説明されている。

 翌年、川中島町有線放送は同県内のISP「JANIXネット」と国内初の商用ADSLサービスを開始する。

7. ソフトバンクがネットオークション参入、オンセール株式会社設立

ソフトバンク、インターネットオークションの新会社を設立

 7月に、ソフトバンクと米ONSALEがオンセール株式会社を設立。当時注目を集めていたオークション事業に参入した。本件は、ソフトバンクにとってECへの初参入でもあり、孫社長は「エレクトロニックコマースでも、確固たる地位を築いていきたい」とコメントしている。

 この後、ソフトバンクグループでは「Yahoo!オークション」を1999年9月に開始。オンセールは2002年8月にガンホー・オンライン・エンターテイメント株式会社に商号変更している。

8. 56kbpsモデムの標準仕様が策定される

56kbpsモデムの標準仕様がようやく決定

 2月に「56kbpsモデム」の標準仕様「V.90」が決定したというニュース。モデムとはデジタル信号とアナログ信号を相互に変換する通信機器で、アナログ電話回線を通じてインターネットにダイヤルアップ接続する時代に使われた製品。56kbpsモデムの標準仕様は、上り33.6kbpsのV.90のあと、上り48kbpsの「V.92」が2000年7月に策定されたのが最終。

 近年ではなかなか見かけなくなったモデムだが、2025年には56kbpsモデム12台でブロードバンド接続を実現するという動画が話題になるなどもしている。

9.オンラインショッピング経験者が急増との調査結果

「オンラインショッピング経験者が増加」日経BP社がユーザー調査の結果を発表

 1月に発表されたインターネットユーザーを対象とした調査結果で、回答者の40.7%がインターネットショッピングに対して「すでに買い物したことがあり、今後も利用したい」と回答しており、初めて40%を超えたという。

 2026年現在における主要なECサイトでは、「楽天市場」が1997年5月にサービスを開始している。「Yahoo!ショッピング」は1999年9月、Amazon.co.jpは2000年11月と、この調査以降の開始となる。

10.「エヴァンゲリオン」アスカ役・宮村優子さんの声でしゃべるハブ発売

アクトンテクノロジィが宮村優子の声でしゃべるイーサネットハブを発売

 アニメ「新世紀エヴァンゲリオン」で惣流・アスカ・ラングレー役を務めた声優の宮村優子さんの声で「冷却ファン異常停止」「1番ポート、リンク不能!」などとトラブル発生を知らせる、100BASE-TX×8ポートのハブが1月に発売された。

 当時の「新世紀エヴァンゲリオン」は1996年にテレビシリーズが終了した後、1997年に劇場版「シト新生」「Air/まごころを、君に」が公開されている。さらに、1998年3月には、これらの総集編的な内容となる劇場版「DEATH (TRUE)2 / Air / まごころを、君に」が公開された。