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ヤフーがイー・アクセスを買収、「Y!mobile」を6月開始

 ヤフー株式会社は27日、イー・アクセス株式会社の株式99.68%(議決権比率33.29%)をソフトバンク株式会社から3240億円で取得し、インターネットキャリア事業「Y!mobile(予定)」を展開すると発表した。取得予定日は6月2日。

ヤフーの宮坂学社長

 イー・アクセスは株式会社ウィルコムと6月1日に合併する予定で、その後に存続会社となるイー・アクセスの株式をヤフーが取得する。新会社の「ワイモバイル株式会社(予定)」には、代表取締役会長にイー・アクセス社長のエリック・ガン氏、代表取締役社長にヤフー社長の宮坂学氏が就任する。

 宮坂氏は、「(新会社は)MVNOではなくフルセットの通信会社になる」と説明。「インターネットをすべての人の手元に届けたい」と語り、料金やサービス概要などについては6月のサービス開始前に詳細を明らかにするとした上で、インターネットを中心としたキャリアとなり、現在の加入者数約1000万を2倍以上にすることを目指すとした。

Y!mobileのロゴ
株式取得の流れ
株式取得の概要
取締役陣

第4の通信キャリアではない「インターネットキャリア」を目指す

 宮坂氏は、イー・アクセスとウィルコムを「これまでも巨大な通信会社に挑んできた、挑戦者のDNAを持つ会社」と評し、社名の由来が「ならず者」であるヤフーとともに「思い切ったビジネスをやるべきだと考えている」と説明。ヤフーのミッションである「課題解決エンジン」は、情報技術で社会や人々の課題を解決していくことを意味しており、新会社は通信における課題を解決していくと語った。

 通信の現状については、日本ではYahoo! BBをはじめとするISPの努力により、86%の家庭にインターネットが届くようになったが、スマートフォンやタブレットの日本での利用率はまだ低く、ユーザーの手元にまではまだ十分にインターネットが届いていないと説明。こうした課題を解決するため、新会社では「電気や水道のように、すべての人の手元にインターネットを届けたい」とした。

 そのために、新会社は「第4の通信キャリアではない、日本初のインターネットキャリア」として、インターネットにフォーカスしたサービスを展開していくと説明。料金やサービスの詳細については改めて発表するとした上で、通話ではなくインターネットへの接続を事業の中心として、料金体系は誰にでも分かりやすく極力シンプルにする、とするコンセプトを語った。

Yahoo! JAPANのトップページで意見を募集

 宮坂氏は、株式取得により、ヤフーにとっては「通信事業によるシナジー」「Yahoo! JAPANサービスの利用によるシナジー」「市場拡大によるシナジー」の3つがあると説明。通信事業については、2020年には1人あたりの所有デバイスは6台以上になるという見通しを示し、「かつて『パソコンはソフトなければただの箱』と言われたが、これからは『電波なければただの箱』の時代になる」とした。

 さらに、携帯電話への支出も2000年から3倍以上に増えているという調査結果を示し、これからのモバイル通信事業は魅力的な事業領域だとして、現在イー・アクセスとウィルコムの合計で約1000万件の契約者数を2倍以上に増やすことを目指すと説明。取り扱う端末については、当面はAndroid端末が中心になるとした。

 また、約3000店の実店舗というオフラインチャネルを手にすることも大きな魅力だとして、「Yahoo!プレミアム」の促進などサービスのプロモーションにも活用していきたいとした。

 かつてYahoo! BBの登場によりISP間での競争が活発になり、それがインターネットの普及につながり、Yahoo! JAPANをはじめとするインターネットサービスの企業も成長したとして、新会社がスマートフォンやタブレット端末の利用を促進することで、こうした利用者の増大による市場の拡大がYahoo! JAPANの成長につながるとした。

 宮坂氏は、今後のサービスについては現時点でもまだ検討中だが、Yahoo! JAPANのトップページでも「未来のインターネットキャリアがどうあるべきか」の意見をユーザーから募集し、さまざまな検討を行っていきたいと説明。「我々はテレコムの会社になりたいわけではありません。我々はあくまでもインターネットの会社として、すべての人の手元にスマートインターネットを届けたい」として、どのようなサービスが欲しいかという意見をヤフーに寄せてほしいと語った。

 また、既存のPHSサービスやMVNO向けサービス、ADSLホールセールなどの事業については、今後も継続して提供していくとともに、ユーザーがより満足できるサービスを展開していきたいとした。

(三柳 英樹)