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米Mozilla、Firefox新規タブへの広告コンテンツ表示計画を中止

 米Mozillaは9日、Firefoxタブページへのスポンサーコンテンツ表示計画を中止したと発表した。

 Mozillaはタブページを改善するためのテストは継続するが、直ちに新しい収入源となるような機能追加は行わない模様だ。

 今回の決定理由について、米MozillaのFirefox担当副社長Johnathan Nightingale氏は、「我々のコミュニティの多くの人が説明の意図を図りかねていた。利用者が自らコントロールもできず、何のメリットもないのに、Firefoxを最高額入札者のロゴだらけに変えてしまうのではないかと心配した。しかし、そうしたことが起こることはない。我々Mozillaはそういうことはしない」と説明した。

 Mozillaは今年2月に、Firefox新規ユーザーのタブページに、スポンサーコンテンツを表示する計画があることを発表し、テストを行っていた。これらのスポンサーコンテンツは、新規ユーザーの位置情報に基づいて選択、表示されることになっていた。

 Nightingale氏は、「様々なプラットホームのFirefoxで実験を行い、我々が学んだことは何であれユーザーに出荷される前に説明する。そして、我々はこれがユーザーにとって良いものとなるようフィードバックと提案に耳を傾け続ける。それが我々Mozillaだからだ」と理解を求めた。

 これから数週間のうちに、Firefoxの新規ユーザーのタブページについて、改善できることがないかどうかプレリリースチャンネルでテストを行うが、スポンサーを募るような機能にするかどうかは不明で、「ユーザーに価値を提供できる自信を得ることが先決」とした。

 米Mozillaは、収入の9割以上をGoogleの広告収入に依存していることから、新規収入源になる可能性のあるプロジェクトとして注目される一方、スポンサーからの影響やプライバシー保護の観点から不安の声も上がっていた。

 Mozillaについては、今年4月にBrendan Eich氏がCEO就任後わずか数日で、米カリフォルニア州の反同性婚法案を過去に私的に支持していたことが表面化したことが原因で辞任に追い込まれている。現在はMozillaのチーフマーケティングオフィサー(CMO)だったChris Beard氏が暫定CEOとなっている。

(青木 大我 taiga@scientist.com)