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KDDI、NTT「光サービス卸」への検証や制度的措置を求める要望書を総務省に提出

 KDDI株式会社は10日、NTT東西が秋以降に提供を予定している「光アクセスのサービス卸」に対する要望書を総務省に提出した。同サービスが競争環境を阻害しないか厳正に検証し、禁止行為規制のあり方を含めた検討を十分に行うことや、必要な制度的措置を講じることを求めている。

 NTTが5月13日に発表した「光アクセスのサービス卸」は、NTT東西が提供している「フレッツ光」をサービスとして他の事業者に卸売りするもの。通信事業者などがこのサービスを仕入れることで、自社ブランドでのサービス展開が可能となる。NTTでは、事業者が自前で設備を持つ必要がないため、幅広い事業者が参入でき、市場の活性化に期待できると説明している。

 これに対してKDDIでは、NTT東西の光サービス卸は設備競争に重大な悪影響を及ぼし、巨大な特殊法人であるNTTの実質的な再統合・一体化につながる点で大きな問題があると指摘。今後、NTT東西が光サービス卸をNTTドコモやNTTコミュニケーションズなどのグループ会社に提供しつつ、グループ連携を強化すれば、これまでのNTTの分離・分割の趣旨をないがしろにすることになるとして、特にNTTグループの営業機能の統合が進めば、巨大な顧客基盤を共用して市場を囲い込むことになり、競争が後退することは避けられないとしている。

 こうしたことから要望書では、NTT東西の光サービス卸がこれまで機能してきた競争環境を阻害しないか厳正に検証し、多様な事業者による公正な競争を促進するため、禁止行為規制の在り方を含めた検討を十分に行い、必要な制度的措置を講じることを総務省に求めるとしている。

 光サービス卸に対しては、株式会社ケイ・オプティコムなどの光ファイバー通信事業者9社と、株式会社ジュピターテレコムなどのケーブルテレビ通信事業者213社が6月6日、総務省に要望書を提出。NTTの光サービス卸は「電気通信事業法やNTT法の趣旨から逸脱している可能性がある」「NTTグループの実質的な再統合・一体化につながる」「設備競争に重大な影響を及ぼし、大規模プレーヤーによる市場支配を招きかねない」といった点で大きな問題があるとして、公正競争が阻害されることのないよう必要な制度的措置を講じるとともに、措置を講じるまでの間はNTTに光サービス卸の提供を開始しないよう指導することを総務省に要望している。

(三柳 英樹)