ニュース

EMCジャパン、世界規模で実施したプライバシー意識調査の結果を発表

プライバシー保護に対する日本人の行動意識は調査15カ国中最下位

 EMCジャパン株式会社は2日、オンラインプライバシーに関する世界的な消費者意識と動向をまとめた「EMC Privacy Index」の結果を発表した。世界15の国と地域、1万5000人の消費者を対象に実施した調査レポートで、日本人のプライバシー保護に対する行動意識は、15カ国/地域中で最も低かったという。

 調査を実施した国/地域は、オーストラリア/ニュージーランド、中国、日本、インド、英国、フランス、ドイツ、オランダ、中東(UAE、サウジアラビア、カタール)、イタリア、ロシア、ブラジル、メキシコ、米国、カナダ。

 調査によると、デジタル技術による「情報や知識へのアクセス性の向上」に価値を置いている消費者は91%だが、便利で使いやすいオンラインサービスを利用する代わりに、プライバシーを犠牲にしてもいいと考えている消費者は全体の27%(日本は33%)にとどまった。

 EMCジャパンでは、消費者はプライバシーを犠牲にすることなく、テクノロジーがもたらすメリットを享受したいと考えているが、調査からは消費者、企業、テクノロジープロバイダーの立場が反映された3つのパラドックス(矛盾)が明らかになったとしている。

 1つ目は「すべてが欲しい」のパラドックスで、消費者はデジタル技術のあらゆる利便性とメリットを求める一方で、個人のプライバシーが少しでも損なわれることを避けたいと考えている。「テロリストや犯罪活動からの保護」に価値を置いている消費者は85%に上る一方、そのためにプライバシーを犠牲にしてもいいと考えている消費者は54%にとどまっている。

 また、調査を実施した各国で、55歳以上の世代では利便性の代償にプライバシーを犠牲にすることを避ける傾向が高く、個人データは自分で管理したいと考えているという。

 2つ目は「何もしない」のパラドックスで、回答者の半数以上がメールアカウントのハッキングやモバイルデバイスの紛失/盗難など、何らかの形でデータへの不正アクセスを経験しているにもかかわらず、多くの人が保護のための対策を行っていない。

 パスワードを定期的に変更していない人は62%(日本は77%)、ソーシャルネットワークのプライバシー設定をカスタマイズしていない人は33%(日本は50%)、モバイルデバイスをパスワードで保護していない人は39%(日本は64%)で、いずれの項目でも日本が調査した15カ国/地域のうち最下位だった。

 3つ目は「ソーシャル環境での共有」のパラドックスで、ソーシャルメディアの利用が爆発的に広がっている一方で、個人データの保護について企業や組織のスキルを信頼しているとした回答者の割合は51%(日本は34%)にとどまり、倫理観を信頼しているという回答者の割合は39%(日本は22%)にとどまっている。

 今後、5年間でプライバシーは低下するとした回答者は81%(日本は90%)で、1年前より現在の方がプライバシーは低下したという回答者も59%(日本は50%)に上る。

 EMCジャパンでは、調査結果からは、企業や組織がよりプライバシー保護を重視した取り組みを行うことで、消費者のオンライン活動が増える可能性が高くなることが読み取れるとして、企業や行政は今回の調査結果を慎重に検討すべきだとしている。

(三柳 英樹)