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今年の「電子出版アワード」が決定、大賞を獲得したのは「たびのたね」
(2014/12/19 16:49)
日本電子出版協会(JEPA)は18日、「第8回JEPA電子出版アワード」の各部門賞および大賞を発表した。
同アワードは、日本の電子出版物の育成・普及を目的にJEPAが2007年より実施しているもので、“広義の電子出版”の技術・仕組みが対象。今年は、選考委員会があらかじめノミネートした5部門・35のサービス/プロダクトの中から、一般およびJEPA会員企業によるウェブ投票で、以下の通り各部門賞が選出された。
デジタル・インフラ賞 「dマガジン」NTTドコモ
https://magazine.dmkt-sp.jp/
電子雑誌を定額の読み放題で提供するサービスとして、今年6月にスタート。「スマ―トフォンで読みやすいよう、雑誌専用のビューアーを開発し、ダブルタップで紙版の雑誌と同じ比率で表示される原寸ズームや、ランダムアクセス型のプログレッシブダウンロード機能など、技術的にも意欲的な面が見られる」(JEPA)。
スーパー・コンテンツ賞 「少年ジャンプ+」集英社
http://plus.shonenjump.com/
今年9月に提供が開始されたiOS/Android向けアプリ。「週刊少年ジャンプ」本誌発売日に電子版配信(有料)を行うほか、無料のオリジナル作品も掲載。また、新人発掘のための投稿型「少年ジャンプルーキー」も展開する。
エクセレント・サービス賞 「たびのたね」JTBパブリッシング
http://tabitane.com/
複数の旅雑誌から特集や連載、テーマごとに欲しい記事だけを購入できるマイクロコンテンツサービスに加えて、それらを1冊の電子書籍にまとめられる「合本」機能もある。取り扱い雑誌も、JTBパブリッシングだけではなく、「出版社の枠を超えたサービスを提供している」(JEPA)のが特徴。
チャレンジ・マインド賞 「絶版マンガ図書館」Jコミ+赤松健
http://www.zeppan.com/
絶版マンガを広告付きで無料配信するサービスとして、漫画家の赤松健氏が2010年に立ち上げた「Jコミ」が前身。今年7月に「絶版マンガ図書館」へ改称するとともに、“電子書籍版YouTube”と位置付ける新サービスを開始した。海賊版として流布しているJPEGファイルなどの“資料”を一般から受け付け、絶版かどうか判定し、権利者から許諾を得られたものを配信していく。「未単行本化マンガをオンデマンド印刷で販売するサービスなど新しい試みを次々に行い、マンガファンからも大きな支持を得ている」(JEPA)。
エキサイティング・ツール賞 「青空文庫POD」インプレスR&D
http://sarasa.la/bib/i/
「青空文庫」の蔵書をプリントオンデマンド(POD)で印刷・製本し、紙書籍として販売するサービスとして、今年2月に提供開始。新書サイズのポケット版、文字を大きくしたシニア版、アクセシビリティを最大限考慮した大活字版の3種類を同時出版できるのが特徴。
選考委員特別賞 「BiB/i」松島智
http://sarasa.la/bib/i/
JavaScriptによるEPUBビューアー。専用ソフト/アプリによらず、さまざまなデバイス/ブラウザーでEPUB電子書籍を読めるようにした。「オープンソースとして公開されているので誰でも自由に利用できるのも特徴」(JEPA)。
選考委員特別賞 「近代デジタルライブラリー」国立国会図書館
http://kindai.ndl.go.jp/
明治期以降に刊行された図書・雑誌のうち、著作権保護期間満了が確認できた資料、著作権者の許諾が得られた資料をデジタル化。2002年に約3万3000点についてインターネットでの公開をスタート。その後も取り扱い資料を順次拡大し、現在、図書約35万点などをインターネットで公開している。
JEPAは12月18日、都内で第8回JEPA電子出版アワードの授賞式を開催し、各部門賞の受賞者に記念の楯を贈呈。受賞者のスピーチの後、授賞式に出席したJEPA会員企業らによる投票をその場で行い、JTBパブリッシング「たびのたね」が大賞に選出された。