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「Adobe Creative Cloud 2015」発表、Photoshop CCにモバイルウェブデザイン制作の専用UI、Illustrator CCはGPUサポート

 Adobe Systemsは16日、「Adobe Creative Cloud」のメジャーアップデートとなる2015年リリースを発表した。Creative Cloud(CC)で提供している15のデスクトップアプリはすべてバージョンアップ。新たにストックフォトサービス「Adobe Stock」(別記事にて紹介)もデスクトップアプとリとして追加したほか、一部のモバイルアプリがAndroidに対応した。

 また、Creative Cloudの中核を担うネットワーク技術を「Adobe CreativeSync」として前面に出し、さまざまなプラットフォームでの環境設定の同期や、各アプリケーションでのツール共有、モバイルプラットフォームとのさらなる連携強化を実現している。

「Adobe Creative Cloud 2015」では、15のデスクトップアプリがすべてバージョンアップ。また、新しいサービス「Adobe Stock」(別記事にて紹介)を提供する

IllustratorがGPUサポート、再描画スピード最大10倍、待望の自動保存機能も

 グラフィックソフト「Illustrator CC」では、GPU支援機能を搭載。再描画のスピードが最大10倍速くなるという。対応GPUは別途公表するとしているが、NVIDIA製のほかAMD製GPUをサポート。一部のIntel製CPUの内蔵GPUにも対応する。また、「ユーザー待望の機能」としている自動保存機能に対応した。そのほか、アニメーションズームを搭載するとともに、64000%まで拡大できるようになった(以前は最大6400%)。

 ページレイアウトソフト「InDesign CC」では、表組み機能を強化。これまでセル内に画像を配置する際にはインライングラフィックで行う必要があったため、複数の画像を埋め込む際は別々に調整する必要があった。2015年版では、1つの画像を調整するだけで複数の画像に適用可能。アスペクト比も維持され、簡単に画像配置が行える。また、「Mercury Performance」の採用でパフォーマンスが最大2倍に向上している。ただし、IllustratorのようなGPU支援には対応していないとしている。

「Illustrator CC」には“待望”の自動保存機能が搭載された
「InDesign」は表組み機能を強化している

Photoshopに霞除去のフィルター搭載、モバイルウェブデザイン制作向けの専用UIも

 写真・画像編集ソフト「Photoshop CC」では、「コンテンツに応じた移動ツール」を拡張。オブジェクトを回転・反転・サイズを変更しつつ指定の位置に移動できる。また、カメラのぼかしを再現する「ぼかしギャラリー」に、ノイズフィルターを新しく追加した。ボケを加える際に自然な仕上がりになるという。そのほか、霞を除去する「ビヘイズ」が搭載された。霞を加えることも可能だ。

 レイヤースタイルに対して複数の項目を設定できるようになり、縁文字や立体表現が簡単に作成できるようになった。また、Illustratorなどに実装されている「字形パネル」を搭載した。これは、Photoshopでもテキスト編集する機会が多くなり、デザインワークにおいてユーザーからの要望が多かったためとしている。

 また、Androidアプリを拡充。これまで「Lightroom mobile」のみの提供だったが、今回、「Photoshop Mix」「Brush CC」「Shape CC」「Color CC」の4種類が追加された。

「Photoshop CC」では霞を除去する「ビヘイズ」を搭載。「Lightroom CC」でも利用可能
「コンテンツに応じた移動」では、対象のオブジェクトの回転・反転のほか、サイズを変更して適用することができる
「ぼかしフィルター」にノイズフィルターを追加。カメラのボケをより自然に再現するという
「レイヤースタイル」に複数の項目を設定できるようになった。縁文字を多用する用途に最適としている
Illustratorですでに搭載されている「字形ツール」を搭載する
Androidアプリを拡充

 Photoshopは、レタッチ機能以外にも、スマートフォン/タブレット向けウェブサイト制作に特化した機能を搭載。ウェブデザイン制作に特化したUI「デザインスペース」を新たに採用した。サイトデザインを行う際に不要なツール・画面表示を省いている。新UIと通常のUIは簡単に切り替えできる。なお、デザインスペースはWindows 8.1/Mac OS X 10.10以上で利用できる。

 複数のアートボードを1つのPSDファイル内に持たせる「マルチプルアートボード」をサポート。複数のウェブサイトのページ遷移を確認でき、ページごとの比較が容易となる。また、デザインをiPhoneでリアルタイムにプレビューできるアプリ「Preview CC」も提供される。なお、デザインスペースはベクターベースで描画される。

スマートフォン/タブレット向けデザイン制作に特化したUI「デザインスペース」
デザインした制作物をリアルタイムにモバイルデバイスで確認できるiOSアプリ「Preview CC」を提供する

DreamweaverはBootstrapをネイティブサポート

 ウェブサイト制作ソフト「Dreamweaver CC」では、オープンソースのCSSフレームワーク「Bootstrap」をネイティブでサポートし、レスポンシブデザイン対応を強化。ボタンやイメージ、メニューなど、最初からレスポンシブデザインに対応したBootstrap標準のコンポーネントが利用できるため、比較的簡単にレスポンシブデザインのサイトを構築できるという。また、Dreamweaverの「スターターテンプレート」が利用でき、eコマースやエージェンシー、ポートフォリオ、製品ページといった目的に近いテンプレートからカスタマイズできる。

 どの画面幅で表示を切り替えるかを指定するブレイクポイントをビジュアル化した「ビジュアルメディアクエリーバー」を新たに搭載。さらに、画面サイズを簡単に変更できる「リサイズハンドル」も搭載し、コードに手を加えることなくレスポンシブデザインの挙動を確認できるようになった。画面幅を縮小した際に「2カラムから1カラムに変更する」といった指定も、マウス操作で列の幅を移動させるだけで書き換えられる。また、スマートフォンでプレビューする「デバイスプレビュー」や、素早くコーディングできる「Emmet」「Lint」をネイティブでサポートした。

「Bootstrap」をネイティブでサポート。レスポンシブデザインに対応したウェブサイトを簡単に作成できる
表示を切り替える画面幅のしきい値をビジュアル化した「ビジュアルメディアクエリーバー」と、画面サイズをマウスで変更できる「リサイズハンドル」の組み合わせで、レスポンシブデザインの挙動を確認できる
コーディングを支援する「Emmet」「Lint」をネイティブでサポートする

映像系ソフトでは、ジャンプカットを自然につなげる機能や、顔認識でキャラをリアルタイムで動かす機能など

 映像制作ソフトもアップデート。映像編集ソフト「PremierePro CC」では、同一映像内で不要部分をカットすると発生する「ジャンプカット」を抑える「モーフカット」を搭載。モーフィング技術と顔認識技術を用いて、前のカットと後のカットを自然につなぐことができる。

 カラーワークスペースとして、「ルメトリカラーパネル」を追加。色のスペシャリストなどが使用するAdobeのカラーグレーディング専用ツール「SpeedGrade CC」と同様の機能を持ちながらも、色温度、色被り補正、露光量、コントラスト、ハイライト、シャドウなどの色調整が簡単に行える。「ルメトリスコープ」という映像分析ツールも搭載している。SpeedGrade同様、32bit浮動小数点演算による映像処理エンジンを搭載している。フィルムのような色味を適用できるプリセットパターンも持つ。

 また、カラーグレーディングを容易に行えるiOSアプリとして「Adobe Hue CC」を提供。撮影した写真を含め、さまざまな画像に含まれる色彩成分を3D空間上で表示。色はボールで表現され、それぞれタップで選択するとスライダーで彩度を調整できる。取得した色情報は、PremirerProやAfterEffectsで利用可能。

プロレベルのカラーグレーディングを簡単に行える「ルメトリカラーパネル」を追加
モバイルデバイスで撮影した写真から色彩成分を抽出し、「PremierePro CC」「AfterEffects」に適用できるiOSアプリ「Adobe Hue CC」

 コンポジットソフト「AfterEffects CC」では、顔認識技術を二次元アニメーションに適用し、リアルタイムでのキャラクターアニメーションを生成する「Adobe Character Animator」のプレビュー版を搭載した。まゆげや目、鼻、口、輪郭をリアルタイムでスキャンし、リアルタイムで追随する。それぞれのパーツはIllustrator内などのレイヤー名とリンクでき、パーツに手を加えてキャラクターのテイストを変更することができる。

 Character Animatorは、プレビュー版ということもあり、録画したファイルはシーケンスファイルとして保存される。そのため、リアルタイムなネット配信での使用は想定していない作りとなっているものの、力技としてCharacter Animatorのプレビュー画面のみをリアルタイムでキャプチャできれば、リアルタイム配信用途として使えなくもないとしている。

 顔のマスクを認識する「フェイストラッキング」では、これまで搭載されていた顔位置のトラッキングに加えて、顔の表情に合わせたマスクを自動生成できるようになった。また、ワークフローの改善として、以前はパラメーターを変更すると再度プレビューを生成する必要があったが、2015年版ではパラメーターの変更を行っても、リアルタイムでプレビューが継続できるようになった。

顔認識技術でキャラクターをリアルタイムに動かせる「Adobe Character Animator」。動作はそこまで重くなく、ノートPC程度のCPUでも利用できるという
顔認識技術を用いて顔の表情に合わせてリアルタイムでマスクを作成する

フォントライブラリ「TypeKit」に日本語フォント14書体を追加

 以前よりCreative Cloudで提供してきた「TypeKit」が、日本語フォントに対応した。TypeKitは、ウェブフォントやデスクトップフォントとして利用できるフォントライブラリだ。アウトライン化できるほか、PDFファイルへの埋め込みにも対応。Adobe以外のソフトでも利用できる。

 まずはAdobeがライセンスを持つ書体から提供し、サードパーティー製フォントは今後対応するとしている。今回追加される書体は、「りょうゴシック PlusN」「りょうDisplay PlusN」「りょうText PlusN」「平成角ゴシック StdN」「平成角ゴシック Std」「平成丸ゴシック Std」「平成明朝 StdN」「平成明朝 Std」「かつらぎ SP2N」の9種類に加え、「小塚ファミリー」「源ノ角ゴシック」をプラスした計14書体が利用可能。

フォントライブラリ「TypeKit」が日本語フォントに対応
対応する書体は、Adobeがライセンスを持つ14書体。サードパーティー製フォントは順次対応

(山川 晶之)