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「8時59分60秒」挿入完了、東京・小金井やTwitter上が「うるう秒」で盛り上がる
(2015/7/1 20:59)
8時59分60秒――「うるう秒」の瞬間を目撃しようと、大勢の人が7月1日午前、東京都小金井市にある国立研究開発法人情報通信研究機構(NICT)の本部前に集まった。
うるう秒は、地球の運行(自転・公転)の観測結果に基づく時系“天文時”と、原子時計に基づく時系“原子時”とのずれを0.9秒以内に収めるために行われるもの。協定世界時(UTC)の6月30日または12月31日の最後の1分間で、1秒を追加または削除することで調整する仕組みだ。1972年以降、数年に1回のペースで実施されており、今回が26回目となるが、いずれも1秒追加するかたちだった。
今回も1秒追加するかたちで、UTCの6月30日23時59分59秒と7月1日0時00分00秒の間に「23時59分60秒」が挿入されたため、9時間の時差がある日本では7月1日の「8時59分60秒」だったわけだ。前回は2012年7月1日に実施されており、3年ぶりの実施となった。また、平日に実施されるのは、5回前の1997年7月1日以来18年ぶり。
NICTは、UTCのもとになる約400台のセシウム原子時計群のうち18台を運用するとともに、UTCと高精度に同期した「日本標準時(JST)」を維持している機関だ。その象徴として、NICT本部・研究本館のエントランス上部には大きなデジタル時計「日本標準時表示装置」が設置されており、うるう秒の実施時には、一般的な時計では対応していない「8時59分60秒」が表示される。
今回集まったのは、この表示を目撃しようという人々。テレビ局のカメラはもちろんのこと、インターネットでリアルタイム配信していると思われる人もおり、早い時間からカメラをセッティングしていた(ただし、「ドローン等の無人飛行機は使用禁止」との注意書きがあった)。さらに実施時刻が近づくにつれ、近隣の小学校の生徒が先生に引率されて見学にやって来たほか、平日で雨が降るあいにくの天候だったにもかかわらず、一般の人も続々と来場。最終的には約1000人が集まり、スマートフォンやカメラを構えながら、うるう秒の瞬間に備えた。
うるう秒まであと30秒ほどに迫ると、一部の小学生らが「29、30、31、32……」と秒数のカウントを開始。ほどなくして、うるう秒の瞬間が訪れると、当然だが1秒後にはあっさりと9時00分00秒へと移行。大きな歓声が沸き起こるわけでもなく、「ひゃあ」「おぉ」といった静かなどよめきとまばらな拍手とともにうるう秒の挿入は完了した。
NICT本部・研究本館のエントランスでは、NICTフェローの井口俊夫氏による簡単なレクチャーも行われ、うるう秒の仕組みなどが解説された。
なお、NICTによると、うるう秒に起因する大きなシステムトラブルなどは、今のところ確認されていないという。