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さくらインターネットら、液体窒素を利用した500mの超電導直流送電に成功と発表

 千代田化工建設株式会社、住友電気工業株式会社、学校法人中部大学、さくらインターネット株式会社で構成される「非営利共益法人石狩超電導・直流送電システム技術研究組合」は6日、500mの超電導での直流送電試験に成功したと発表した。

写真は、データセンターや太陽光パネルと超電導ケーブルを接続する「クライオスタット」と呼ばれる設備。冷凍機とも接続されており、送電線に液体窒素を循環させている

 経済産業省の委託事業「高温超電導技術を用いた高効率送電システムの実証事業」にて、北海道石狩市石狩湾新港地域に設置した高温超電導直流送電システムで試験を実施。さくらインターネットの石狩データセンターと太陽光発電設備間、および特殊試験用設備での送電を行い、送電システムとして実用化するための検証を行う。

 試験では、約3万世帯分の電力に相当するという5kA、100MVAの送電能力を確認。送電ケーブルは、国内では例のない公道への埋設を実現している。また、新たな配管構造を採用することで、送電路の熱損失を従来の半分に低減したほか、液体窒素循環の圧力損失を4分の1に下げている。500mの超電導直流送電は、世界最長級の送電距離になるとしている。

 今後は、1000mの実証実験を実施し、送電路の長距離化に向けた検証を行うとしている。また、9月にはさくらインターネットの石狩データセンターへの送電試験を開始する予定だ。

 超電導送電は、極低温になると電気抵抗がゼロになる超電導体を用いたもので、送電ロスの低減や送電容量の増大が見込める。近年、絶対零度付近の極低温ではなく、液体窒素温度(-196度)の比較的高温下で、超電導となる素材の開発が進んでおり、実用化に向けた研究開発が世界中で進められているという。

(山川 晶之)