YouTube、NHK番組の配信スタート


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 YouTubeは6日、NHKエンタープライズとコンテンツライセンス契約を締結し、NHKで放送された番組の映像配信を開始した。「NHK特集」をはじめとしたノーカットの番組などをYouTubeの「NHK番組コレクション」チャンネルで配信する。動画の視聴は無料。

 スタート時点では「ミニ英会話 とっさのひとこと」などのノーカットの動画が約200本、「篤姫」「そのとき歴史が動いた」などの番組を3分程度に編集したショートクリップ動画が約30本公開され、毎週追加されていく予定。

 ショートクリップ動画は、動画配信サービス「NHKオンデマンド」で有料配信されているもの。YouTube上では、本編をすべて閲覧するためのNHKオンデマンドへのリンクや、DVD購入サイトへのリンクも用意されている。

 なお、動画は国内からPCでのみ視聴可能となっており、iPhoneをはじめとするスマートフォンやその他の携帯電話、iPadからは視聴できない。映像の解像度は最大1080p。

 今後、ノーカット番組としては「プロジェクトX 挑戦者たち」「ためしてガッテン」「きょうの料理」「100語でスタート!英会話」など、ショートクリップ動画としては「NHKスペシャル」「プロフェッショナル仕事の流儀」などがラインナップに追加される。

NHK番組コレクションチャンネルの概要今後追加予定のノーカット番組
番組を視聴しているイメージ全画面視聴にも対応する

NHKエンタープライズがYouTube配信を決断した4つの理由

NHKエンタープライズの関本好則氏(上席執行役員ライツ・アーカイブスセンター長)

 6日に開かれた記者会見ではNHKエンタープライズの関本好則氏(上席執行役員ライツ・アーカイブスセンター長)が出席し、YouTubeに番組を提供することとなった背景について説明した。

 関本氏によれば、NHKエンタープライズはYouTubeへの番組提供に当たり、番組の著作権を持つ日本放送協会(NHK)と協議を重ねた結果、「NHKの接触者層を増やす必要がある」という共通見解を持つに至ったという。「YouTubeの視聴者は、NHKを見ていないという人が多い。YouTubeに番組を出せば、NHKに親しみを持ってもらえるのではないかと考えた」。

 また、「YouTubeのような新しいメディアにまったく接触しないのもいかがなものか」という判断が働いたことも、YouTubeへの番組提供を決断した要因の1つだったと関本氏は振り返る。

 NHKは過去の放送番組を有料配信する「NHKオンデマンド」を提供している。YouTubeでは、NHKオンデマンドで配信中の番組を3分程度に編集したショートクリップ動画を公開するとともに、NHKオンデマンドへのリンクを掲載。これにより、NHKオンデマンドへの誘導を図れることも魅力の1つだった。

 このほか、YouTubeの「コンテンツIDシステム」を活用することで、違法アップロードされている番組を検知できるという判断もあった。コンテンツIDシステムとは、YouTubeにサンプル動画ファイルをアップロードすると、その動画の特徴を抜き出したシグネチャ(IDファイル)が生成される。それに基づいて、誰かがアップロードした動画がこれと同じものだった場合に自動的に検知できるという。

 「本日のサービス開始までにコンテンツIDシステムを使ってみたが、ショートクリップ動画をアップロードするだけでも、多くの違法アップロード動画検出につながった。」

 なお、NHKでは2008年5月、主に番組の宣伝動画を掲載するチャンネルをYouTubeに開設しているが、今回の提携は「NHKとしてフルの番組を配信する初めての試み」。前回の提携とは異なり、動画再生ページには広告も掲載される。

 今後の展開としては、PCでの配信が着実に進めば、権利者団体との話し合いを経た上で携帯電話やスマートフォンなど向けにも番組の配信を行いたい考えだ。


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(増田 覚)

2010/12/6 14:58