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「行動はスマホが起点」、グーグルのマルチデバイス調査

 グーグルは、スマートフォンやテレビなど各種メディアの利用傾向をまとめた調査結果を発表した。スマートフォン、パソコン、テレビを持つユーザーを対象にした調査で、スマートフォンを通じたユーザーの利用傾向に変化が見られるとして、同社からは2月より提供している広告サービスの新機能も紹介された。

説明を行ったグーグルの広告ソリューション推進本部・丹下智貴氏

 調査は、イプソスと協力して、今年1月~2月に実施。18~64歳のスマートフォン、パソコンのユーザー、テレビ視聴者1351人を対象にしており、タブレットユーザーは全体の26%を占めている。調査期間中、ユーザーにどのメディアを利用したか日記を書いてもらい、利用傾向をとりまとめた。

スクリーンメディアが9割占める

 それによれば、メディアへの接触回数のうち、テレビやパソコン、タブレット、スマートフォンといった“スクリーンメディア”の利用は全体の91%を占めた。新聞や雑誌、ラジオはあわせて9%。スマートフォンは40%を占めており、次いでテレビ(27%)、パソコン(22%)となった。タブレットは3%に留まり、ラジオと同程度。新聞は5%、雑誌は1%だった。

 スマートフォンを利用する場所については、「外出中」が38%、「自宅」が62%と回答。利用時間は短めで、ちょっとしたコミュニケーションに使うことが多いことがうかがえるという。

その日の内に“引継利用”、起点はスマホ

 マルチデバイスをどう活用しているか、という切り口では、たとえばスマートフォンで調べ始めたことを帰宅後、パソコンでも行う、という使い方を「引継利用」、テレビを観ながらスマートフォンを使ったり、パソコンとスマートフォンを使ったりすることを「同時利用」と定義。そのうえで「引継利用」をするのはユーザーの87%を占めており、しかもほとんどの人(引継利用するユーザーのうち96%)がその引継行為は当日中に行っている。また、他のデバイスと比べて、スマートフォンで検索したり、ショッピングをし始める割合は高く、グーグルでは「オンラインでのアクティビティの起点はスマートフォン」と分析している。

 スマートフォンが普及するにつれて、グーグルが利用される傾向も高まっており、グローバルでの月間検索回数(検索クエリ数)は1000億件、そのうち15%が、これまで検索されてこなかったキーワードとのこと。

 なお、今回の調査において、フィーチャーフォンは対象外。日本ではスマートフォンが普及する以前から、多くのユーザーがフィーチャーフォンを活用してきたが、スマートフォンの普及がどういった変化をもたらしたのか、今回の調査では示されていない。ただ、グーグルによれば、今回の調査で得られた結果の多くが、米国で実施された同様の調査と類似した内容だったと説明。唯一、オンラインアクティビティの起点としてスマートフォンが利用される割合が70%を超えていたのは、日本だけに見られた結果だったという。

グーグルの広告サービス、「3つのコンテキスト」に対応

 説明を行ったグーグルの広告ソリューション推進本部 丹下智貴氏は、「ユーザーは、1つのデバイスではなく、複数のデバイスを活用している。瞬間的に知りたい、ということで近くにあるデバイスを使うが、スマートフォンによって時間をうまく利用できるようになった」と説明する。

 その上で、グーグルでは今年2月より、広告サービス「アドワーズ」において新機能「エンハンストキャンペーン」を導入。“キャンペーン”という名称だが、一過性の取り組みではなく、高度化した機能として導入したもので、ユーザーの行動にあわせて広告表示を変化させるという。

 このエンハンストキャンペーンは、「デバイス」「所在地」「時間帯」という3つの要素を組み合わせて実現している。グーグルでは、これらを「3つのコンテキスト」と呼ぶ。たとえば「ピザ」という検索ワードでも、夕方、ショッピングモールにいるユーザーがスマートフォンから検索すると、広告内容はテイクアウトできるショップを優先する形となる。ところが自宅からパソコンを使ってランチタイムに「ピザ」と検索すれば宅配ピザの広告が優先される。ユーザーの状況を推測して、より最適化された結果を提供する仕組みというわけだ。

 7月29日には、今回の調査結果などを紹介する特設サイトがオープンする。グーグルでは、今回の調査を通じて、ユーザーのアクションの変化が明らかになったとして、そうした変化にあわせた広告サービスをアピールしていく。

(関口 聖)