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米携帯大手VerizonがVerizon Wirelessを完全子会社化

~1300億ドルの買収金額は歴代3位

 米携帯電話事業者大手の米Verizon Communications Inc.は2日、英国Vodafone Group Plcとの間の合弁会社Verizon Wirelessを完全子会社化することで合意したと発表した。

 米Verizonは英Vodafone GroupからVerizon Wireless株45%を1300億ドル(約12兆8000億円)で取得する。買収金額は企業買収規模として歴代3位となる。1位は2000年の米America Onlineによる米Time Warnerの買収(1862億ドル)、2位は1999年の英Vodafone Touchによる独Mannesmann買収(1851億ドル)で、これに次ぐ規模となる。

 合意内容によれば、Verizonは589億ドルのキャッシュ、Verizon普通株式約602億ドル、50億ドルの支払手形、Verizonが保有しているVodafone Omnitel N.V.の少数株式23.1%を35億ドル、その他取引25億ドルを含むとしている。

 Verizonは、銀行団から610億ドルの資金を確保。この銀行団はJ.P. Morgan Chase Bank、Morgan Stanley Senior Funding、Bank of America、Barclaysからなる。両社取締役会は全会一致でこの取引を承認し、取引は2014年第1四半期の完了を予定している。

 今回の買収についてVerizon会長兼CEOであるLowell McAdam氏は、「買収によってVerizonはより効率的な営業ができるようになり、よりシームレスで統合された製品とソリューションを生産することに集中し続けることができる。我々は、完全な所有権はエンタープライズとコンシューマ向けワイヤーライン市場における機会を増加させると信じている」と説明した。

 Vodafone Group CEOのVittorio Colao氏は、「この取引は、VodafoneとVerizonの両方がそれぞれの長期的な戦略目標を実現可能とするものだ。両社は長きに渡って良いパートナー関係を維持しており、Verizon Wirelessを素晴らしい勢いを持つマーケットリーダーになるまで成長させた。我々はLowellとVerizonチームの長期に渡る継続的な成功を祈っている」とコメントした。

 今回の買収の背景には、米国携帯電話市場の競争激化がある。大手2社の米AT&Tと米Verizonが争う中、ソフトバンクによるSprint買収により競争がさらに激化しつつある。また、米国FRBによる量的緩和が終了すれば、資金借り入れの金利上昇リスクにも直面することになる。

 なお利用者の観点からは、Verizon CommunicationsがすでにVerizon Wirelessの経営権を握っていたことから、特に大きな影響はないとみられている。

(青木 大我 taiga@scientist.com)