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出版権を電子出版にも拡張、著作権法改正案が国会提出

 政府は14日、紙媒体による出版のみを対象としている現行の「出版権」の対象を電子書籍にも拡張する著作権法改正案を国会に提出した。改正法は2015年1月1日施行予定。

 改正案は、電子書籍が増加する一方で海賊版被害も増加していることへの対策として、文化審議会著作権分科会で検討が進められてきたもの。電子書籍に対応した出版権の整備を行うことで、出版権を設定された出版社が海賊版の電子書籍に対しても差し止め請求などを行えるようになる。

 改正案では、現行法では紙媒体のみを対象としている出版権の設定を、CD-ROMなどの記録媒体による出版やインターネットによる電子出版にも行えるように拡張する。出版権の内容については、従来の紙媒体や記録媒体による出版の権利、インターネット送信による電子出版の権利を、契約により全部または一部を出版権者が専有できるとしている。

 出版権者の義務は従来と同様で、契約による定めがない場合、原稿の引き渡しを受けてから6カ月以内に出版または電子出版を行う義務や、慣行に従い継続して出版または電子出版を行う義務がある。出版権の存続期間についても従来と同じく、契約に定めがない場合、最初の出版または電子出版から3年としている。

 このほか改正案では、視聴覚的実演家(俳優や舞踊家など)の権利保護に関する「視聴覚的実演に関する北京条約」を締結するための規定の整備が行われている。

(三柳 英樹)