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2次元を含めて、好きでたまらない――そんな分野の新ドメイン、「.moe」誕生
3月31日付でルートゾーンに追加
(2014/4/1 06:00)
ドメイン名とIPアドレスの割り当て管理を行うICANN(Internet Corporation for Assigned Names and Numbers)が、3月31日付で「.moe」をルートゾーンに追加したことが分かった。日本語の「萌え」に対応する分野別トップレベルドメイン(generic Top Level Domain:gTLD)となる。
「.moe」は、株式会社インターリンクがICANNに対し、新gTLDとしての新設を申請していたもの。インターリンクによると、「萌え」とは、「2次元を含めて、好きで好きでたまらないという意味。『草木が萌える』と同じ語であり、『感情が萌芽する』『芽生える』という意味も含んだオタク用語」。同社は、インターネット接続サービスやドメイン名登録サービス、レンタルサーバー事業などを展開する一方で、「オタク川柳」コンテストを主催していることでも知られる。
「moe」という文字列をインターリンクが申請したのは、3文字で覚えやすい語だったことがまず挙げられる。また、企業・組織などの業務に関連する文字列のドメインはあるが、趣味・嗜好に関するドメインがなかったことも、「.moe」を申請した背景にある。
一方、現在では新gTLDとして趣味・嗜好に関する各種愛好者向けドメインが登場してきているが、例えば「.bike」「.coffee」「.guitars」「.ninja」というように、分野ごとに特化されているものが多いという。幅広い分野の愛好者をカバーできるという点は、他のドメインにない「.moe」の特徴だとアピールしている。
「日本のアニメは世界を席巻しているが、2次元も含めた好きで好きでたまらないという感情=moeを通じて、さらに日本のアニメやオタク文化を理解してもらいたい。日本の美意識である『わび(侘)』『さび(寂)』に加えて、『もえ(萌)』も世界の日本文化好きなユーザーに広まってほしい」とインターリンクではコメント。世界のインターネットユーザーに「.moe」の利用を期待しているとした。「.moe」のドメイン名登録サービスの開始日程などは、追って同社より発表される。
次は猫用ドメイン「.neko」実現を目指す
ICANNが2012年に行った新gTLDの募集には1900件以上の申請があり、審査などを経て実に1300種類以上の新gTLDが新設される見込み。すでに昨年10月以降、順次ルートゾーンに追加されており、今年3月に入ってからはロンドンを表す「.london」やニューヨークの「.nyc」、沖縄の「.okinawa」、大日本印刷(Dai Nippon Printing)の「.dnp」などが登場。3月31日までに計199種類がルートゾーンに追加済みだ。
今回、インターリンクは「.moe」のほかに「.earth」も申請している。ただし、他にも「.earth」を申請している組織があるため、どちらが「.earth」を管理するレジストリ事業者となるか調整中だという。
さらにインターリンクでは、将来的に「.neko」の新設を目指す考えだ。同社によると、「.dog」は新gTLDとして登場予定となっている一方で、「.cat」はスペイン・カタルーニャ地方のトップレベルドメインとしてすでに存在。「.cat」はカタルーニャの文化・言語をインターネット上でプロモートしていることが使用条件であり、猫関連サイトには使用できないのだという。
新gTLD約1300種類以上の追加が完了した後、果たしてICANNが第2弾の募集を行うかどうかは未定だ。しかし、インターリンクでは「犬用ドメインがあって猫用ドメインが無い現状を憂慮している」とし、次回、新gTLDの募集が行われた場合は「.neko」を申請するとしている。
【追記 2014/4/2 13:20】
ICANNが、3月31日付で「.moe」を含む13ドメインをルートゾーンに追加したことを正式発表したことを受け、一部記述をアップデートしました。