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熊本・大分地震の避難所Wi-Fi、基地局設備を最大850台準備
(2016/4/28 18:14)
熊本・大分地震の避難所に携帯電話キャリア各社が臨時に設置した無料Wi-Fiは4月28日時点で、株式会社NTTドコモが336カ所、KDDI株式会社が78カ所、ソフトバンク株式会社が121カ所に上る。地震発生後に各地で避難所が開設された後、早い段階でこれだけ多くの基地局を設置できた背景には、Wi-Fi基地局のバックホール回線(基幹ネットワークまでの中継回線)のフレキシビリティもあったようだ。
Wi-Fi基地局のバックホール回線は各社とも、固定回線・モバイル回線を設置場所の状況に応じて使用しているという。すぐには光ファイバー回線などの固定回線を調達できない場所でも、LTEやWiMAXをバックホール回線とするWi-Fi基地局であれば迅速に運用できる。
特に避難所への設置数が多いのがNTTドコモの基地局だが、そのインフラ整備を担当しているNTTブロードバンドプラットフォーム株式会社(NTT-BP)によると、同社では、LTEネットワークをバックホール回線として使用するWi-Fi基地局を最大で800~850台投入できる準備があったとしている。
NTTドコのWi-Fiスポットは一時391カ所(アクセスポイント489台)まで拡大。その後、避難所の統廃合により減少しているが、仮に要請があれば、約600カ所とも言われる避難所すべてにWi-Fi基地局を投入できるだけの設備は保有していたというわけだ。
もちろん、バックホール回線にLTEを使うということは、通常のLTEサービスが復旧・提供されている環境ということだ。また、キャリアでは被災地の加入者向けに契約容量超過後の速度制限解除などの支援措置も行っており、LTEサービス加入者であれば、あえて無料Wi-Fiを経由しなくとも、直接LTEサービス経由でインターネットを利用できる状況にある。
とはいえ、LTEサービスの非契約者や、普段は自宅の固定回線経由でインターネットを利用していたユーザーもいる。現在、被災地域での通信サービスはほぼ復旧していることもあり、キャリア各社では、さらなる被害地域の拡大がなければ、臨時Wi-Fi基地局を今後大きく増やすことはないとしているが、当面は避難所での利用状況を見ながら提供を継続していく考えだ。