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新ドメイン「.google」が登場、鏡の世界の検索サイト「elgooG」でネタのごときデビューを飾る

まさかこの日のために18万5000ドルを?

 新ドメイン「.google」が登場した。4月1日、Google検索の新しいタイプのサイトが「https://com.google/」にて公開された。

「com.google」ドメインで公開された「elgooG」

 この「com.google」というドメイン名は、既存サイト「google.com」のラベルを左右入れ替えたものと言える。これを受け、サイトの名称も「elgooG」と左右逆転。さらにページ内のレイアウトも左右が逆になっており、文字の順番が逆というだけにとどまらず、1つ1つの文字も鏡に写したようにいちいち左右反転で表示される。検索窓にキーワードを入力すると、それも左右反転。検索結果ページも、画像を含めて左右が反転しているのが特徴だ。

「elgooG」での検索結果例

 「.google」は、米Googleが新設・運営する新gTLD(generic Top Level Domain:分野別トップレベルドメイン)のうちの1つ。

 新gTLDの枠組みでは、従来は「.com」など22種類に限られていたgTLDの種類をかなり大幅に拡大。一般的な単語や地名のgTLDを新設してドメイン名登録サービスを通じて広く提供したり、企業が社名やブランド名、サービス名などをgTLDとして新設して自社サイト/サービスのために運用することも可能になった。

 Googleでは、「.google」だけでなく、日本語カタカナの「.グーグル」や中国語でGoogleを表す「.谷歌」、同社サービス/プロダクトの名称となる「.gmail」「.youtube」「.chrome」「.android」「.nexus」「.hangout」なども申請・新設している。

 このほか、ファイル拡張子風の「.mov」「.zip」あるいは「.docs」などがあるほか、さらには普通の単語の「.how」「.ads」「.page」「.new」「.eat」「.day」「.here」「.drive」「.car」「.play」「.みんな」等々、非常に多くの新gTLDを申請・新設。このうち一部は「.com」などのように広く解放され、ドメイン名登録サービスが提供されている。

米Googleは2012年5月31日付の同社公式ブログで、新gTLDを取得・運用する方針を表明。その後、実際に新gTLDとして申請した101種類の文字列を公表していた(同ブログより画像転載、本誌2012年6月1日付の関連記事を参照)

 新gTLDを取得するということは、ドメイン名・IPアドレスの割り当て管理を行う組織であるICANN(Internet Corporation for Assigned Names and Numbers)による審査を経る必要がる。その審査費用は18万5000ドルとされているほか、実際に運用がスタートしてからは年額2万5000ドルなどをICANNに納める必要がある。インターネットのトップレベルドメインを運用していくためのシステムコストも発生するため、「.google」のような新gTLDを新設・運用するということは、既存TLDでドメイン名を取得するのとコストもリソースも比べものにならない。

 こうして新設された「.google」が、インターネットのルートゾーンに追加されたのは昨年9月。これまでも同ドメインでアクセスできるページがあったようだが、google.comドメインのサイトへのリダイレクトだったため、実際に「.google」ドメインのサイトが公開されるのは「com.google」が初めてと思われる。今回、ルートゾーンへの追加から半年以上を経て、4月1日デビューとなった。

 前述の「.みんな」など、本誌で新しい新gTLDの登場を報じた際にはしばしば大喜利が開催されるほか、2次元を含めて好きで好きでたまらない感情(萌え)を示す新gTLD「.moe」の登場を報じたのが、タイミング悪く昨年の4月1日だったため、エイプリルフールのジョーク記事ととられてしまった側面もあったことなどから判断すれば、新gTLDはネタと愛称がいい可能性は十分に考えられる。

 「elgooG」は、日本時間の4月2日夕方の時点でもアクセスできるため、4月1日限定というわけではないようだが、今後、エイプリルフールにおける新gTLDの活用が進む可能性もありそうだ。

(永沢 茂)